この記事をまとめると
■車名が長すぎるクルマたちを紹介
■長すぎることでブランド力を稼ぐことに成功したモデルもある
■メーカー名と車名を合わせて60文字にも及ぶほど長いモデルもあった
あまりにも車名が長すぎてもはや早口言葉!
落語に「寿限無」というポピュラーな噺があります。子供の息災を願った親が、和尚に縁起のいい名前をピックアップしてもらった挙句、すべてをチョイスした結果とても長い名前になったというもので、タイトルだけでも耳にしたことがあるかと。さすが落語のスタンダードだけあってオチも秀逸ですが、長い名前をいうのはそれだけでも何がしかストーリーを生むようです。クルマの名前でも、調べてみれば「寿限無」並みに長いものがいくつかありますが、それぞれ個性とかヒストリーには事欠きません。
スバル・レガシィツーリングワゴン 2.0GT DIT EyeSight Premium Leather Selection
レガシィがアイサイト、すなわち予防安全装置を伝家の宝刀かのようにアピールしていた頃のネーミング。当時はわりと目新しかったアイサイトは、たしかにキャッチーな名前ですが、前後に連なるDITやプレミアムレザーパッケージとなると、車名にまでくっつけるのはさすがに長くて重たい気がしないでもありません。
ちなみに、DITはDirect Injection Turboの略で、いわゆる直噴ターボを略したもの。車名がグレードを表しているかのようで、わかりやすいっちゃわかりやすいのですが、「寿限無」と同様に言いづらい(笑)というか、口にするのもちと恥ずかしい。愛車の自慢なんかする場面だと「ワシのクルマはスバル・レガシィで2.0GT DITのアイサイト・プレミアムパッケージなんだけど、速くて燃費がいいのだ!」みたいにならざるを得ないわけです。
もっとも、この長い車名のおかげなのか、同シリーズ中でも優秀な売り上げだったとか。長くても、わかりやすいのがウケたのでしょうか。
日産 セドリック 4ドアハードトップ V30ツインカムターボグランツーリスモアルティマタイプX
ボディタイプを車名として名乗るところが1990年代っぽい。ハードトップに対し、セダンもラインアップしていたゆえ、区別できることを考慮しているわけです。そして、エンジンに関するネーミングまでは標準的ですが、その後のグランツーリスモやアルティマ、タイプXという修飾ワードの連結によって先のレガシィ同様に冗長化しているのかもしれません。
バブルが弾けたあとのリリースですから「せめて車名だけでも景気よく行こうや」といった苦慮もあったのでしょう。それにしても、タイプXってクルマ以外でもよく目にするワードですけど、意図を汲みづらい。年代的には覆面レスラーとか、宇宙から降ってきた何かを想起してしまいます(笑)。
ラリー界のスーパースターたちは名前も凄かった
スバル・インプレッサ WRX typeRA STi VersionII V-Limited 三菱 ランサーエボリューションVI トミ・マキネンエディション
ご承知の通り、いずれもラリータイプの一流スポーツカーで、しかもモデル寿命の長かったクルマ。これは車名が長くなるのもうなづけます。まずは何代目なのかわかるようにすることや、仕様(バージョンやエディション)のアピールも商品価値を大きく向上させてくれるに違いありませんからね。ところで、インプレッサで使われているリミテッド(限定版)というワードも愛車自慢の際には使いやすいのかと。「オレのはリミテッドだし」などと上から言われると、なんだか限定じゃない方は「お、おう」となりがち。
また、トミ・マキネンという名ドライバーの名前も飛び道具。「なにしろトミ・マキネンだからね」と言われると、これまた「お、おう」とぐぅの音も出ません。速いクルマにこそ有効なキラーワードでしょうから、マクラーレンもゴードン・マーレーエディションとか、ランボルギーニ・フェルッチオメモリアルなんて付けたら売り上げも倍増するかもしれませんね。
ランチア・デルタ アッカエッフェ インテグラーレ エボルツィオーネ ドゥエ コレツィオーネ エディツィオーネ フィナーレ
もはや漫画の必殺技ネームすら超越して、クルマ版の「寿限無」と呼んで差し支えないでしょう。陽気なイタリア人にしては、ずいぶん真面目に理屈を並べたものだと感じます。アッカエッフェはとりもなおさずHF、すなわちHigh Fiderityを表し、ランチアで主にラリー向けに高性能チューンを担っていた部門のバッジということ。で、インテグラーレはイタリア語で「完璧」とか「完全」といった意味で、全輪駆動を指していたかと。それが進化(エボリューション=エボルツィオーネ)しちゃった末に、2代目(ドゥエ)のコレツィオーネ(コレクション、つまりは限定的)に編集(エディツィオーネ)されたものの、最終版(フィナーレ)となりました、的な車名。
生真面目なまでに車名を構築した結果、世にも珍しい長いものとなっているわけで、販売側の苦労が目に浮かぶようです。道路でこのランチア・デルタを発見しても「あ、ランチア・デルタ アッカエッフェ インテグラーレ エボルツィオーネ ドゥエ コレツィオーネ エディツィオーネ フィナーレだ!」などと言ってる間に、クルマははるか彼方まで走り去っているはず。ここまで長いと、略称というかニックネームでも付けたほうが便利っぽい。もっとも「インテのエボドゥエフィナーレ」とか中途半端に長くなりそうですけどね(笑)。
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