現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > 「フェラーリ166(1948)」F1GP参戦とロードカー製作【フェラーリ名鑑】

ここから本文です

「フェラーリ166(1948)」F1GP参戦とロードカー製作【フェラーリ名鑑】

掲載 更新
「フェラーリ166(1948)」F1GP参戦とロードカー製作【フェラーリ名鑑】

Ferrari 166 Inter

F1で勝利を手にするためにロードカーを製作

フェラーリ250シリーズ誕生(1953-1956)【フェラーリ名鑑】

1948年に125をF1GPに投じて以来、エンツォ・フェラーリはさまざまなモデルをレースに参戦させていった。その闘志の直接の原動力となっていたのは、もちろんアルファロメオやマセラティといったイタリアの名門メーカーと戦い、勝利すること。そしてまた、そのためにまず必要となるのは十分な技術力とともに資金力であることをエンツォは熟知していた。F1GPを戦うために、エンツォは自らの名前を掲げた自動車メーカーを興したのだとは良く聞かれる逸話だが、それもあながち間違いとはいえないのかもしれない。

Ferrari 125 F1

125で始まったフェラーリのF1GP参戦。1949年にはそのマシンは「125 F1」とネーミングが改められ、1950年のモナコGPには125SのV型12気筒エンジンにルーツ式のスーパーチャージャーを装着して姿を現した。最高出力は230psを発揮したが、それでもなお、アルファロメオ158などのライバルの前に125F1の成績は奮わなかった。フェラーリは125F1でのF1GP参戦を諦める決断を下す。

Ferrari 375 F1

後継モデルとなったのは、アウレリオ・ランプレディが設計した、さらに大排気量のV型12気筒自然吸気エンジンを搭載する「275F1」、「340F1」、「375F1」といったマシンだった。この中でも特筆すべき1台が、1951年のイギリスGPでフロイライン・ゴンザレスのドライブで優勝を果たした375F1。ツインプラグ方式を採用した4494ccのV型12気筒エンジンは350psの最高出力を誇り、ここに至ってエンツォは遂にアルファロメオという伝統の名門チームに勝利したのだ。

166シリーズ誕生。ミッレミリア参戦モデルやGTなどを派生

GPマシンの話が長くなってしまったが、ここではそれに参戦するための手段とも例えられる、この時代のフェラーリ製ロードカーについて触れておこう。

1947年に最初のモデルである125Sをサーキットへと送り出したフェラーリだが、ロードカーとしてマラネロの本社からデリバリーされた最初の1台は、1947年に製作された「166SC」だった。SCとはスパイダー・コルサの意味で、166はもちろん搭載されるV型12気筒エンジンの1気筒あたりの排気量を示している。このエンジンをフロントに縦置きし、11.0の圧縮比とツイン・イグニッションを採用。3基のウェーバー製キャブレターを組み合わせて、最高出力では130psを発揮したと記録されている。

Ferrari 166SC

ちなみに166SCは3台がマラネロのファクトリーで製作された記録が残るが、現存する最古のフェラーリとなっているのは、2番目に製作された166SCのS/N:002Cだ。002Cは、それ自身も珍しいヒストリーを持っており、当初それは、個性的なサイクル・フェンダーを持つことからも分かるように、レース仕様の159Sとして製作されたモデルだった。それをカスタマーのリクエストで166SCの仕様に改め、ロードユースへと転用したのだった。

Ferrari 166 Allemano Coupe

166SCには、ほかにもさまざまなモデルが存在する。1948年のツール・ド・シチリアには、サイクル・フェンダーをもたない、オープンボディの「166S」がエントリーされているし、同年のミッレミリアを制したのも「166アレマノ・クーペ」だった。2000ccにも満たないV型12気筒エンジンというと、さほどパワーには期待できないようにも思えるが、一方でわずかに500kg程度という軽量性が、その運動性能を大幅に高めてくれたことが166ファミリーのモータースポーツにおける成功の大きな理由となっていることが分かる。

Ferrari 166 Inter

そして1948年の中盤になると、フェラーリは166ファミリーに、それまでのSやMM(ミッレミリア)に加えて「166インテル」と呼ばれるモデルを限定で追加設定する。限定生産といっても、実際にボディを製作したのはヴィニャーレやツーリング、ギア、ベルトーネ、スタビリメンティ・ファリーナといったカロッツェリア。彼らが生み出したデザインはどれも秀作といえるものばかりだ。それらはフェラーリ初のGT=グラン・ツーリズモとして、カスタマーの心を大いに刺激したのである。

【SPECIFICATION】

フェラーリ 166インテル

年式:1948年
エンジン:60度V型12気筒SOHC
排気量:1995cc
最高出力:66kW(90hp)/5600rpm

乾燥重量:900kg
最高速度:150km/h

解説/山崎元裕(Motohiro YAMAZAKI)

こんな記事も読まれています

こんなクルマよく売ったな!【愛すべき日本の珍車と珍技術】三菱渾身の合理的設計で生まれた5ナンバーミニバン[ディオン]の数奇な運命
こんなクルマよく売ったな!【愛すべき日本の珍車と珍技術】三菱渾身の合理的設計で生まれた5ナンバーミニバン[ディオン]の数奇な運命
ベストカーWeb
新型フリード爆誕!~情報まとめ&新旧比較/ライバル比較~
新型フリード爆誕!~情報まとめ&新旧比較/ライバル比較~
グーネット
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
ファンティック「キャバレロ ラリー125」【1分で読める 原付二種紹介 2024年現行モデル】
webオートバイ
[カセットアダプター]最強の発明品説!? 旧車の純正カセットデッキでもスマホ音楽イケる魅惑の機械がスゴかった
[カセットアダプター]最強の発明品説!? 旧車の純正カセットデッキでもスマホ音楽イケる魅惑の機械がスゴかった
ベストカーWeb
ここまで広ければ不自由しない! 装備もバッチリなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
ここまで広ければ不自由しない! 装備もバッチリなトヨタ タウンエースがベースのキャンパー
月刊自家用車WEB
【ポイントランキング】2024年FIA F2第7戦レース1終了時点
【ポイントランキング】2024年FIA F2第7戦レース1終了時点
AUTOSPORT web
フェルスタッペンが0.4秒の大差で通算40回目のPP獲得。角田はQ3進出ならず【予選レポート/F1第11戦】
フェルスタッペンが0.4秒の大差で通算40回目のPP獲得。角田はQ3進出ならず【予選レポート/F1第11戦】
AUTOSPORT web
ロッキー/ライズやWR-Vと張り合えるクルマがない! なにやってるの日産! マグナイトがあるじゃないの!
ロッキー/ライズやWR-Vと張り合えるクルマがない! なにやってるの日産! マグナイトがあるじゃないの!
ベストカーWeb
バニャイアの完全なる土曜日。レコード更新のポールからスプリント独走優勝を果たす/第8戦オランダGP
バニャイアの完全なる土曜日。レコード更新のポールからスプリント独走優勝を果たす/第8戦オランダGP
AUTOSPORT web
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
フェルスタッペン、ノリスとの接触は”攻撃的すぎたわけじゃない”と釈明「ブレーキング中に動いたわけじゃない。だって……」
motorsport.com 日本版
【正式結果】2024年F1第11戦オーストリアGPスプリント
【正式結果】2024年F1第11戦オーストリアGPスプリント
AUTOSPORT web
フェラーリ育成ベアマンが今季初優勝。宮田莉朋は全体ファステストを記録/FIA F2第7戦レース1
フェラーリ育成ベアマンが今季初優勝。宮田莉朋は全体ファステストを記録/FIA F2第7戦レース1
AUTOSPORT web
スプリントでアロンソを押し出したヒュルケンベルグに10秒加算ペナルティ。罰則ポイントも/F1第11戦
スプリントでアロンソを押し出したヒュルケンベルグに10秒加算ペナルティ。罰則ポイントも/F1第11戦
AUTOSPORT web
中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
中古ミニバンで悩んでる方超必見! プレマシーvsウィッシュvsフリード コンパクトミニバン三つ巴ガチンコ対決プレイバック!!!
ベストカーWeb
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
強豪チームが定義する常勝ホイールの性能要件。タイヤの伸びしろを引き出す知られざるホイールの役割/BBS RI-A
AUTOSPORT web
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
ランド・ノリス、フェルスタッペンとの接触に憤慨「今日の彼は”やりすぎな日”だった……必死になりすぎているように見えたよ」
motorsport.com 日本版
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
マクラーレン750S 詳細データテスト 本能を揺さぶる加速 ダイレクトなハンドリング 引き締まった脚回り
AUTOCAR JAPAN
F1オーストリアGP決勝速報|首位争ったフェルスタッペンとノリスがまさかのクラッシュ! ラッセルが”棚ぼた”優勝。角田裕毅14位
F1オーストリアGP決勝速報|首位争ったフェルスタッペンとノリスがまさかのクラッシュ! ラッセルが”棚ぼた”優勝。角田裕毅14位
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.02215.0万円

中古車を検索
チャージャーの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

598.5651.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

40.02215.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離(km)

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村