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1位はマクラーレン セナ!──2018年の「我が5台」 Vol.4 大谷達也編

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1位はマクラーレン セナ!──2018年の「我が5台」 Vol.4 大谷達也編

レーシングカーそのままのパフォーマンスはあまりに衝撃的。とりわけ圧倒されたのがブレーキ性能で、エストリル・サーキット(ポルトガル)で乗り始めた直後はポテンシャルの半分ほどしか使っていなかったことに試乗の終盤で気づいたほど。

走りのキャラクターは、軽量ボディと引き締まった足まわりで機敏かつ正確なハンドリングを実現しつつ、ロードカーのレベルをはるかに越えたエアロダイナミクスで常識外れのスタビリティを確保するというもの。この思想が極めてレーシングカー的であると同時に、マクラーレン・オートモーティブの目指す方向性を見事に体現していると感じた。

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ロードカー仕様でさえこれだけのパフォーマンスなのだから、わずか75台が限定生産されるサーキット走行専用のセナGT-Rはどんなクルマに仕上がるのか、まったく想像もつかない。

セナは500台の限定生産で価格は約1億円。庶民には価格面で到底手が出ないばかりか、500台は発表時点で完売済み。「それでもやっぱり先鋭な走りのマクラーレンが欲しい」という向きには、セナと走りの方向性がピタリと重なる600LTが用意されている。こちらの価格は約3000万円で、来年10月までに申し込めば確実に手に入る模様。価格は安くないが、サーキット走行を基礎から学ぶうえで最適なスーパースポーツカーの1台であることは間違いない。

もはやここまでくるとどちらが1位でどちらが2位と決めるのも野暮な話だが、企画上、順位をつけることになっているのでやむを得ない。そもそも同じスーパースポーツカーでも、セナとアヴェンタドールSVJでは表現しようとする世界があまりにもかけ離れている。

アヴェンタドールSVJでランボルギーニが創り出した世界観は、彼らのヘリテージに深く根ざしたものだ。それは自然吸気V12エンジンの官能性とパワー感であり、そして見る者を圧倒するエキゾチックなスタイリングである。アヴェンタドールはそれらを見事に受け継いだうえに、“SVJ”という歴史的モデル名まで与えられた。

ランボルギーニにとって初のスーパースポーツカーとなったミウラには“イオタ”と呼ばれる幻のモデルが存在した。これは社内のエンジニア陣が、レースにも活用可能な次世代技術を開発するために生み出した試作車だったが、モータースポーツへの参画を望まない創業者フェルッチオ・ランボルギーニはこの計画の継続を認めず、プログラムは試作車1台を作っただけで幕を閉じる。

このとき“J”と呼ばれた試作車こそイオタ(JOTA)の正体で、スペイン語のJOTAを別名としてあてたのは、イタリア語にJの発音がなかったためとされる。Jはほどなく事故で失われてしまうが、その神秘的な存在に憧れたファンが自ら所有するミウラをJのように改造して欲しいとランボルギーニに依頼、結果、改造された5~6台のミウラに与えられた名前こそ“SVJ”だった。ちなみにランボルギーニがSVJの名前を用いるのは、1970年代にミウラSVJが作られて以来という。

完成したアヴェンタドールSVJは770psにまでパワーアップした自然吸気 6.5リッター V型12気筒エンジンを搭載する。ランボルギーニ・オリジナルの可変空力技術「ALA 2.0」を装備したエクステリアはいかにもアグレッシブだ。

実際、V12エンジンの感触は、まわすと五感が痺れるほど官能的であるが、洗練されたスタビリティ・コントロールなどにより安定した弱アンダーステアのハンドリング特性が与えられているため、サーキットでの挙動は意外にも穏やか。

イタリアン・スーパースポーツカーらしい華やかさを扱い易いキャラクターでまとめたところに、最新ランボルギーニの方向性が鮮やかに表れている。

メルセデス・ベンツ Gクラスといえば“オフロード界のレジェンド”というべき存在であるが、誕生から40年近くが経過し、快適性や操縦性といった部分で時代遅れな存在になりつつあった。いっぽうで、そのアイコニックなスタイリングから一部のセレブリティに愛用される不可解な現象も起こり、Gクラスの真価を知る者は「本当はそういうクルマじゃないんだけれど……」といったジレンマを感じていたようにも思う。

そんなGクラスが、特徴的なスタイリングはそのままに中身を一新した。乗ってみると、操縦性や快適性は見事に現在の水準に進化している。そのいっぽうで、圧倒的ともいえるオフロード性能を維持するだけでなく、さらに進化したのだから驚くしかない。

Gクラスのオフロード性能の源、それは驚異的なトラクション能力にある。スリップし始めた駆動輪のグリップを回復するには、エンジンパワーを絞るという手法が一般的。トラクションコントロールのことを思い起こしていただければ、この原理はよく理解できるだろう。

しかし、オンロードで有効なこの手法がオフロードでは当てはまらないことがあり、その際は軽くスリップさせながらさらに強い駆動力をかけることでトラクションを稼ぐ、といったテクニックが有効となる。Gクラスが得意とするのはまさにこの走り方で、急な勾配や滑りやすい路面でも、4本のタイヤを軽く滑らせながら、悪路をものともせず進んでいく。その突進力が生み出す迫力には息を呑むばかりだ。

あまたあるSUVには真似できないそんな走りができるのは、3つのデフをすべてロックできるデフロック機能を備えているからだ。もちろん、タイヤのグリップ性能を最大限引き出すサスペンションや、低回転から溢れるようなトルクを生み出すエンジン特性も貢献しているが、ダッシュボード上に並んだ3つのデフロック・スイッチこそGクラスの象徴的な存在といって間違いない。

個性的なスタイリングと卓越したオフロード性能を守りながら、最新SUV並みの快適性と操縦性を手に入れた新型Gクラスは、今後も長くオフロード界のレジェンド”として活躍するはずだ。

いまGクラスの素晴らしさを賞賛したばかりだけれど、その10分の1ほどの価格でGクラスに迫るオフロード性能を発揮するクロスカントリーモデルがある。それがスズキ・ジムニーだ。

1970年に初代が誕生したジムニーもこれで4代目。しかもフルモデルチェンジは20年ぶり。それだけにスズキの情熱のこもった力作といえるが、実際のところ、新型ジムニーは驚くほど完成度が高い。

まず、新型Gクラス同様、快適性と操縦性が大きく進化した。細かく見れば、サスペンションが大きくストロークしたとき、リジッドアクスル特有の左右方向に引っ張られる挙動を見せる。これがハンドリングにも影響を与える場面もあるが、普通の道を普通に走っているときの快適性はすこぶる高い。大きなタイヤを履いているため、安心感が普通の軽自動車を大きくしのいでいる部分も魅力だ。

しかも、オフロード性能が舌を巻くほど高い。ジムニーはGクラスの項で説明したデフロック機構こそ備わっていないものの、ブレーキを活用した新しいLSD機能や副変速機とともに、およそ1000kgの軽量ボディの優れたオフロード性能を誇る。あまり知られていないことであるが、車重の軽量化は、オフロード性能を高めるうえでも極めて効果が大きい。ジムニーはこれを活用して、一般的なSUVを大きく凌ぐ走破性を実現したのである。

ジムニーはいまオーダーしても納期は1年先といわれるほどの人気モデルになっているが、それも当然のことかもしれない。

定番中の定番である。そういうモデルを選ぶのは、評論家としての見識を疑われることにもなりかねないが、やっぱりいいクルマはいいと認めざるを得ない。先日、911GT3に試乗して、そんな思いを新たにした。

911GT3でよく語られるのが、水平対向6気筒エンジンの官能性である。4.0リッターの排気量から500psを生み出す911唯一の自然吸気エンジンは、最高回転数がなんと9000rpm! ここまで回したときのエンジン・サウンドは全身に鳥肌が立つほど刺激的だ。しかもトップエンドの回転フィールは機械的な緻密さとある種の暴力性が渾然一体となったもので、もはやなんとも形容しようがない。私の記憶をたぐっても、「厳かな神の世界に近づいているときの漠然とした不安感」という印象しか残っていない。

しかし、それにも増して魅力的なのが911GT3のシャシー性能である。近年、快適性が大幅に向上した911の各モデルに比べれば、いくら日常性が改善したとはいえ911GT3の足まわりははっきりと硬い。けれども、この硬さは、路面とタイヤの関係をドライバーに伝えるうえでなくてはならないものなのだ。このおかげで、タイヤの接地状態が瞬時にして、そして細大漏らさずドライバーに伝えられる。この情報をもとにドライバーがステアリングやスロットルをコントロールすると、911GT3は素早く反応し、タイヤのグリップ状況もこれに応じて変化するという一種のループを作り上げているのだ。

このループこそ、ドライビングプレジャーを生み出す源といっていい。そしてそのサイクルが911GT3では驚くほど速く正確で、これがまたドライビングプレジャーを一層深めてくれるのである。

スタビリティの高さ、グリップレベルの高さだけでいえば911GT3より優れたスポーツカーはほかにもある。けれども、タイヤのグリップをコントロールするという作業をこれほどダイレクトに行えるスポーツカーは、911GT3をおいてほかにないと断言できる。

【著者プロフィール】
大谷達也(おおたにたつや):1961年生まれ。大学卒業後、電機メーカーの研究所にエンジニアとして勤務。1990年、(株)二玄社に入社し、『CAR GRAPHIC編集部』に配属される。2002年、副編集長に就任。2010年よりフリーランスのライターとして活動を開始した。

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