佐藤琢磨が立ち上げた復興地応援プロジェクト”With you Japan”が主催するキッズカートのプロジェクト「TAKUMA KIDS KART CHALLENGE 2024」のファイナル大会が、11月17日(日)モビリティリゾートもてぎのレーシングカートコースで行なわれ、全国から合計94人のキッズカーターが参加。小学5年生の児玉惺七(コダマ・セナ)がその頂点に輝いた。
2014年にスタートした「TAKUMA KIDS KART CHALLENGE 2024」も今年で11年目。全国25のサーキットでのタイムトライアルを経て、ラップタイム上位だった合計100名(実際の参加は94名)が、もてぎでのファイナルに駒を進めた。
【ギャラリー】TAKUMA KIDS KART CHALLENGE 2024 FINAL
この日の朝にマカオから帰国したばかりの佐藤琢磨もこのイベントに参加。小学生カーターたちの熱い走りに目を輝かせた。
始まった当初は、カートに乗り始めたばかりという参加者も多く、どこかほのぼのとした印象があった。しかしそれから11年以上が経過し、参加者、そして父兄の皆さんの熱量も、以前とは比べるべくもないほど高まっているのが感じられた。
この日は朝から練習走行とタイムトライアルが行なわれ、そのタイムトライアルでのラップタイム順に予選ヒートが組分けされて行なわれ、決勝ヒート、敗者復活戦、決勝ファイナルと進んでいく。各レースで勝ち上がっていかなければ次はない、それぞれが真剣勝負である。中には先頭を走りながらも他車と接触してスピンし敗北し号泣するドライバー、それに涙を浮かべながら謝罪する接触相手、『自分のマシンは走らない』と佐藤琢磨に詰め寄る者……そのどれもが、真剣に頂点を目指すが故の姿勢だ。
運営側も、参加者が満足いく戦いができるよう、マシンを念入りに準備。マシンによるパフォーマンス差が生じないように、徹底した調整も行なわれた。また各参加者のドライビングにもしっかりと目を配り、走行中マナーに問題があったドライバーにはペナルティを科すだけでなく、なぜそれがペナルティ対象となったのかを、佐藤琢磨が自らそのドライバーに納得いくまで説明する、そんなシーンもあった。
参加者も、佐藤琢磨をはじめとした運営側も、真剣にこのイベントに挑んだのだ。
そして決勝ヒートを勝ち抜いた14名が、10周で争われる決勝ファイナルに挑んだ。
この決勝ファイナルで圧倒的な速さを見せたのは、ハーバーサーキット木更津のタイムトライアルから勝ち上がってきた児玉。ポールポジションから抜け出すと、後続を寄せ付けない走りでトップチェッカーを受けた。
「支えてくれる人たちがたくさんいたから勝てました! 誰よりも速く、今後もレースで1位を獲れるように頑張っていきたいです」
レース後、勝った児玉は、そんな大人顔負けのコメントで驚かせた。
「将来はカートで、日本一とか世界一を目指したいです」
児玉曰く、憧れのドライバーは佐藤琢磨だというが、「インディ500とかF1は速すぎて、今は考えられないです。速いのはまだ怖いんですよ」と冷静。ただその速さに慣れていけば、先が開けることもあるかもしれない。ちなに名前は”セナ(惺七)”だが、アイルトン・セナに由来しているわけではないらしい……。
また佐藤琢磨もこの日のイベントを総括。参加した全員を労った。
「みんなにおめでとうと言いたい」
「悔しい気持ちを抱えているドライバーもいるかもしれないけど、その悔しい気持ちは、ここから次のステップに上がるための力になるはずだから、先を見て頑張ってほしい」
奇しくも同じ日に、初めてマカオGPの決勝レースに挑んだ佐藤琢磨の息子、佐藤凛太郎も、この「TAKUMA KIDS KART CHALLENGE」が、レース人生の第一歩だった。この日戦ったキッズドライバーの中から、佐藤凛太郎のようにマカオに挑む者、モータースポーツ界のスーパースターになる者は現れるだろうか?
なおこの日のファイナルで上位8人に入ったドライバーには、協賛の江崎グリコのお菓子の詰め合わせと、12月に新東京サーキットで開催予定の佐藤琢磨が自ら指導する特別講習プログラム「ACADEMY」への参加権が贈られた。なお勝った児玉選手には、ボルグワーナートロフィーも授与された。このボルグワーナートロフィーは、小さいながらもインディ500勝者に贈られるのと同様、正真正銘ボルグワーナー社の協賛によるものである。
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