2023年9月7日~10日(現地時間)、WRC世界ラリー選手第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャがギリシャ中部のラミアを起点に開催され、トヨタのカッレ・ロバンペラが優勝、チームメイトのエルフィン・エバンスが2位、3位にはヒョンデのダニ・ソルドが入った。勝田貴元(トヨタ)はスピンやパンクなどに見舞われる苦しい展開となったが、それでも6位でフィニッシュしている。
ラフロードに犠牲者続出、賢く生き残ったロバンペラが勝利
カーブレイカー・ラリーとして知られるアクロポリス・ラリー・ギリシャの性格は、今年も健在だった。
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まず餌食となったのがMスポーツ・フォードのプーマ2台。本格的なラリーの開幕となる金曜日午前のセクションで、ピエール-ルイ・ルーベがSS2で、オイット・タナックがSS3後にともにウォーターポンプのトラブルでストップして早くも優勝争いから脱落してしまう。
土曜日の午後のステージではさらなる波乱が待っていた。グラベルスタートで有利なスタート順も活かして首位に立っていたティエリー・ヌーヴィル(ヒョンデ)は、セバスチャン・オジェ(トヨタ)と熾烈なバトルを展開する中、SS10半ばで路面に開いていた大きな穴に右前輪を落としてサスペンションとステアリング系統を壊してスピン、そのままデイリタイアとなってしまう。
これで首位に浮上することになったオジェも、SS12で左リアをヒットさせてやはりサスペンションに大ダメージ。大きくタイムロスしてなんとかステージは走り切ったものの、サービスまでの一般道路を走り切ることはこの状態では不可能で、まさかのデイリタイアとなってしまった。
大量リードに守られて、シーズン3勝目を達成
結果的に土曜日を終えて首位に立っていたのは、選手権ポイントを考えてあえて大きなリスクを犯さず、慎重な走りに徹していたロバンペラだった。
この時点で後続との差は2分以上。大量リードに守られて3SSしかない翌日曜日のステージも無難に走り切ったロバンペラはこれでシーズン3勝目を達成。トヨタはエバンスもソルドとの僅差を争いを制して2位となり、1-2フィニッシュとなった。
フィニッシュ後のロバンペラは、「とにかくホッとした。フィンランドの直後だったからね。いいラリーができた。スーパーストロングで、速いクルマを作ってくれたチームに感謝したい」と無念のリタイアを喫した前戦の地元戦からの復活とあって安堵の表情。これでドライバーズ選手権では2番手エバンスとの差が33点となり、また一歩、2年連続王座に近づくことになった。
2023年のWRCも残すところあと3戦。次戦第11戦「ラリー・チリ・ビオビオ」は、9月28日~10月1日、チリ中南部の都市、コンセプシオンを起点に開催される。ラリー・チリの路面はグラベルで、コースは森林地帯の中高速ステージが大部分を占める。(文:新村いつき)
2023年 WRC第10戦アクロポリス・ラリー・ギリシャ 結果
1位:K.ロバンペラ(トヨタ GRヤリス ラリー1)3h00m16.7s
2位:E.エバンス(トヨタ GRヤリス ラリー1)+1m31.7s
3位:D.ソルド(ヒョンデ i20N ラリー1)+1m35.9s
4位:O.タナック(フォード・プーマ ラリー1 )+4m28.4s
5位:E.ラッピ(ヒョンデ i20N ラリー1)+39.1s
6位:勝田貴元(トヨタ GRヤリス ラリー1)+6m22.3s
7位:A.ミケルセン(シュコダ ファビア RS ラリー2)+9m41.0s
8位:G.グリーンスミス(フォード フィエスタ ラリー2) +9m51.3s
9位:Y.ロッセル (シトロエンC3 ラリー2)+11m07.0s
10位:S.オジェ(トヨタ GRヤリス ラリー1)+11m43.4s
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