はじめに
ピックアップトラックは、実用一辺倒のクルマであり、牧草や羊、もしくは建材のようなものを運搬するための道具だと考えるのではないだろうか。しかし、英国での購入者の大多数にとって、フォード・レンジャーはそれ以上のものだ。
それは統計にも表れている。英国で販売された先代モデルの80%が、ワイルドトラック仕様だった。レンジャーに馴染みのない読者諸兄へ説明しておくと、これはフル装備仕様だ。見栄えのいいアルミホイールやレザーシート、ソフトタッチのインテリア素材、そしてあらゆる装備が与えられている。
これは、アメリカ発信のトレンドのようだ。彼の地では長年、フォードF−150がベストセラーの座についていて、その用途が農業用トラックばかりではないことは明らかだ。多くが日常使いの乗用車だったり、ボートを牽引したり、キャンプ道具を運んだり、という目的で購入されている。
2023年、フォードは欧州向けピックアップのレンジャーを新型へ移行した。このジャンルの変化するニーズを念頭に置き、今回のテスト車両はワイルドトラックに中間機種の2.0Lツインターボディーゼルを積んだ仕様を選択。一般ユーザーの使い方を想定して、オン/オフ双方での性能を検証する。
意匠と技術 ★★★★★★★★★☆
ライトコマーシャルヴィークルであるピックアップトラックは、乗用車ほど流行に敏感ではないため、フルモデルチェンジの頻度はそう多くない。先代の登場は2011年で、自動車業界的には古いモデルだといえる。しかし、2015年のビッグマイナーチェンジと、2019年の新型パワートレイン導入で、クラストップを維持してきた。
そのエンジンと10速ATをキャリーオーバーしたのは、賢明な判断だった。2.0Lディーゼルには、レスポンスのいい小型の可変ジオメトリー高圧ターボと、固定ジオメトリーの低圧ターボが1基ずつ備わる。出力は205psで、これより低出力なシングルターボや、3.0Lの新型V6も用意される。ガソリンモデルは、高性能版のラプターに搭載されるV6のみだ。
フレームは先代のそれをアップグレードした。ラダーシャシーにリアのリーフスプリングを用いるリジッドアクスルを使用するのは、積載重量を最大限確保するためだ。
それ以外は実質的に新開発だ。前輪は50mm前進し、ホイールベースが伸びてフロントオーバーハングが短縮された。トレッドも50mm拡幅され、V6搭載スペースが確保された。先代レンジャー最大のエンジンは3.2L直5で、V型ほどのエンジン幅がなかったからだ。
V6が用意されたのは、フォルクスワーゲンのおかげだ。新型アマロックのベースがレンジャーで、開発はフォードが主体になったものの、アマロックをややプレミアムな値付けとしたいフォルクスワーゲンが、V6搭載にこだわったのだと言われている。
シャシーの拡幅は「ほかの駆動テクノロジー」の採用も可能にする、とフォードでは説明している。これはF−150ライトニングのような電動トラックの、欧州市場に適したモデルを求めるユーザーに向けて、レンジャーの電動モデルが開発されることを匂わせている。
そう、新型レンジャーはF-150よりは小さい。それでも、かなり大きなクルマだ。新型レンジローバーと全幅は同等で、全長は30cmも長い。ルックスはF-150似で、切り立ったスクエアなフロント周りを採用している。
いっぽう、ホイールアーチはこぎれいにフレアし、サイドにはショルダーラインが走る。無塗装バンパーにスティールホイールの実用本位グレードも用意されるが、上級仕様は本当にぶつかっても耐えられそうなゴツいバンパーが装備される。
英国市場では、レンジャーはシングルキャブとダブルキャブ、荷台のないシャシーキャブが設定される。スーパーキャブは、需要が小さいため用意されず、関連車種のSUVであるエベレストもラインナップされていない。
先代レンジャーと同じく、新型もフォードがオーストラリアに設置しているプロダクトデベロップメントセンターで開発の大部分が行われた。小型トラックマーケットの規模を考えれば、妥当な判断だ。欧州向けレンジャーは、アマロックとともに、フォードの南アフリカ・シルバートン工場で生産される。
内装 ★★★★★★★★☆☆
乗り込む際には、飛び抜けて背が高いのでもなければ、ランニングボードとAピラーのグラブハンドルがありがたく思うだろう。そのキャビン、ピックアップトラックと聞いて、黒いプラスティックに取り囲まれることを想像するかもしれないが、ワイルドトラック仕様はそうではない。
よく見れば硬い素材もみつかるが、ダッシュボードやドアの上部はパッド入りの合成皮革に覆われ、送風口周りの塗装されたトリムやクローム加飾といった見栄えのいいパーツも用いられている。BMWの内装と見間違えるほどではないが、同じフォードのフォーカスをアップグレードしたくらいの感じはある。
これが下位グレードとなると話は違う。XLやXLTを選ぶと、予想通りの黒いプラスティックに埋め尽くされていて、いかにも働くクルマといった雰囲気になる。
全体的なデザインは、大画面のディスプレイも含めてレンジャー全車に共通している。ただし、下位グレードは10.1インチの画面が、ワイルドトラック以上では12.0インチとなる。画面には常にエアコン関連の情報が表示され、しかも兄弟分のアマロックにはない、実体エアコンパネルも備わっている。
メーターパネルはエントリーモデルでもデジタルで、ラプターと近日追加されるプラチナムは大型化される。設定機能は充実していないが、十分にクリアで、ステアリングホイールのスイッチでの操作はしやすい。
最近のピックアップトラックに慣れていないと、これほど大きなクルマを運転するのは気が重いかもしれない。しかしレンジャーには、驚くほどすぐになじんでしまう。運転席はかなり低くできるが、長くフラットなボンネット越しに前方を見下ろすために高くセットしたくなる。
ボディのスクエアな角とストレートなサイド部、大きなミラーと細いピラーは、視認性を高め、取り回しもしやすい。ほとんどのSUVさえ見下ろす目線は、王様気分を味わえる。
荷台の長さを最大限取ったので、後席レッグルームはCセグメントハッチバック程度だが、フラットなルーフと直立したリアウインドウはかなり広いヘッドルームをもたらしてくれる。ダブルキャブピックアップの典型といったところで、トヨタ・ハイラックスより少し広いくらいだ。
後席座面は跳ね上げ可能で、その下には車載工具やジャッキを積むくらいの物入れがある。背もたれを前方に倒せば、荷物置き場として使うこともできる。
ピックアップトラックの最重要箇所は、やはり荷台だろう。ラプターを除く全車とも1tを超え、2.0L・205psのワイルドトラックXは1035kg、シングルキャブのXLは1207kg。先代よりワイドになったので、競合モデルと同様に荷積み用のユーロパレットが積めるようになった。
全車とも、フックや結節ポイントが荷台のあちこちに設けられている。側面は塗装を保護するプラスティックパネルが張られているが、、小さなフラップを外せばさらなるマウントポイントが隠れている。
フォードが用意した長いオプションリストには、ラックシステムや分割システム、ハードトップなども含まれる。それで足りなければ、アフターマーケット品が豊富に揃っている。
テスト車には、吹き付け式荷台ライナーと、作動良好な電動シャッターが装備されていた。テールゲートは標準仕様のトーションバー式だが、開閉は軽く使いやすい。
走り ★★★★★★★★☆☆
最近のディーゼルエンジンを積むライトコマーシャルヴィークルは、もはや遅いクルマではない。テスト車に搭載された205psの2.0Lは、下位の170ps仕様と、上位の240psを発生するV6との、ちょうど中間に位置する。トランスミッションは、10速ATのみの設定だ。
実測2348kgと、絶対的にみてライトとは言えない車両重量は、乗用車の基準に照らしてかなり重いだけでなく、少し前にテストしたトヨタ・ハイラックスに対しても100kg上回る。にもかかわらず、0−97km/h加速はハイラックスがマークした10秒フラットをなんとか切り、9.8秒に収まった。
それより大事なのは、パワートレインの日常使いで効果を発揮するフレキシブルさだが、そこに不足はない。これは、おおむねトランスミッションのおかげだと言える。10速というのは、作動状況を追うには段数が多いものの、作動そのものはじつにうまく行われている。
スムースでレスポンスがよく、スロットルペダルを踏む足に力を入れると、素早く1~2段のシフトダウンをしてくれる。急加速中は、クロス気味の中間ギアを目まぐるしく入れ替え、その度の回転落ちは数百rpmにとどまる。ハイラックスのゆったりした6速ATよりダイレクトに感じるが、ちょっとCVT的でもある。
マニュアルモードは2通り。セレクター横のMボタンを押すと、ギアボックスは+と-のボタンで選んだギアに固定される。Mボタンを押さずに+か-の操作をすると、リミッターのように機能し、その選んだギアを越えて変速することがなくなる。
エンジンそのものは、しっかり仕事をやり遂げてくれるが、全体的に印象に残るほどのことはない。シーケンシャルターボはかなりフラットなトルクカーブを生み、それは5速・48−113km/hが10.7秒という数字に反映されている。なお、4速では113km/hに達しない。
しかしながら、全開で走らなければならないときには、商用車のディーゼルエンジンにありがちなガラガラ音が聞こえてくる。ひどいというほどではないが、このジャンルの洗練性に新基準を打ち立てられるものでもない。
ワイルドトラックには、四輪ディスクブレーキが装備されているが、ひとつ下のグレードまではリアがドラムだ。しかし、四輪ディスクでもブレーキ性能は限定的で、その原因はマッド&スノータイヤにある。オプションでオールテレインタイヤも選べるが、舗装路での制動性能はさらに悪化しそうだ。
113km/hからの完全停止に要する距離は55m。乗用車ならガッカリな数字だが、このジャンルではハイラックスよりわずかに長いのみだ。
使い勝手 ★★★★★★★★★☆
インフォテインメント
レンジャーのインフォテインメントは、全車ともフォードの最新版ソフトであるSync4と、縦型の大画面を用いる。ディスプレイは直立していて、位置は視線より低い。走行中の視界に入ってくることはないが、視野角は理想的とは言えない。
とはいえ、インターフェイスそのものは優秀だ。大画面は、使用頻度の高い機能を常時表示できる。低い部分にはエアコン情報、その上にはよく使う機能へのアクセス用ウインドウが常に置かれ、その上にスマートフォンのミラーリングやメディアプレイヤー、ナビなどが表示される。最上部右側の車両アイコンをタップすると、即座にセッティング画面を呼び出せる。
ナビは、総じて上々の機能ぶりを見せる。ただし、いくつか地図上の地点の特定ができないことはあった。
Android AutoもApple CarPlayも、接続はワイヤレス。テスト車にはUSBポートが、AとCの各タイプ2口ずつ備わっていたが、下位グレードではその数が減る。ワイヤレス充電はオプションで、テスト車には未装備。8スピーカーのバング&オルフセンは、音はいいが並外れてはいなかった。
燈火類
ヘッドライトは、エントリーグレードではハロゲンだが、ワイルドトラックではLEDプロジェクター。マトリックスLEDは、最上位のプラチナムに採用される見込みだ。
ステアリングとペダル
ブレーキペダルは比較的右寄りだが、これは下位グレードのMT車用にクラッチペダルのスペースを空けておく必要があるため。ステアリング位置は正常で、チルトもテレスコピックも調整範囲は広い。
操舵/安定性 ★★★★★★★★☆☆
ハンドリングに関するフォードの名声を、この商用系モデルにの期待するのは高望みだろうか。そんなことはないことを、バンモデルのトランジットは示してくれた。レンジャーもまた、最初のあいさつ程度でそれを確信させてくれる。
ステアリングは、トラックと聞いて想像するほどスローではないし、表面的にはほかのフォード車のような、直進付近で経過なフィールがある。本格的に切ると、安心感はあるが過剰に重くはない手応えが感じられる。クイックさと正確さは同類を上回り、サスペンションはロールをかなりよく抑えてくれる。
それでも、オフロード向けのマイルドなタイヤなので、ミラクルは望めない。ステアリングへのフィードバックは取り立てて言及するほどではなく、普通車に慣れているとグリップも限られたものに思える。グリップ限界が近づいていることは、ハッキリしたスキール音で知ることができる。
それでも、安全面のマージンは十分にあり、トラクションとスタビリティの各電子制御デバイスは、ドライバーがおふざけをする前にそれをスムースに制してくれる。
快適性/静粛性 ★★★★★★★★☆☆
乗り心地についても、ラダーシャシーとリアリジッドではさほど期待しないだろう。実際、レンジャーはこのセッティングの悪癖を完全に排除できてはいないし、ひどい轍ができているような路面では、衝撃や振動が出ることもある。比較的ソフトなサスペンションと、65扁平タイヤをもってしてもだ。
とはいえ、全般的には快適に走れるクルマだ。トラベルの長いサスペンションは乗用車より柔らかめだが、オフローダーに比べればしっかりしていて抑えが効いている。プライマリーライドは穏やか。ホイールを曲げたりダンパーを底突きさせたりしないで済むことを確信して、路肩や舗装の穴に迫り、やり過ごせるという落ち着きや安心感はかなりのものだ。
遮音性もまた、商用トラックに乗っていることを忘れさせる。113km/hで67dBAというのは、プレミアムなクロスオーバーやハッチバックに匹敵する。シートは広く、快適性にはほぼ満足。ワイルドトラックには、電動調整とランバーサポートが備わる。残念なのは、座面の伸長ができず、チルト機構に不足があったことだ。
購入と維持 ★★★★★★★★☆☆
使い勝手に関しては高得点だった。2台のサイズはおおむねライバルと同等で、積載重量は1t以上あり、牽引重量は最大3.5tに達する。他車を凌ぐまではいかないものの肩を並べており、マイナス要素はない。
ただし、最廉価版でも上位仕様でも、ピックアップ市場でもっとも低価格な選択肢ではないのも事実だ。同等装備であれば、トヨタ・ハイラックスよりやや高く、いすゞD−マックスやサンヨン・ムッソならもっと安い。なお、レンジャーがベースで、より上級志向で乗用車的なフォルクスワーゲン・アマロックは、レンジャーより数千ポンド高い。
ラプターを除くレンジャーはライトコマーシャルヴィークルに区分される。車両重量2040kg超のピックアップは、英国では主要道路の制限速度が低く設定されるがダブルキャブのレンジャーはこれに相当する。
テスト時の平均燃費は、性能計測を含めた1週間の走行で10.2km/L。ハイラックスと同等だが、フォードのほうが世代の新しいエンジンとトランスミッションを積んでいることを考えると不満が残る。ただし、ツーリングでの13.0km/Lはなかなか優秀。重く、フロントエンドが直立したクルマとしては、高速道路の一定巡航での経済性は高いと言っていい。
スペック
レイアウト
T6プラットフォームを用いる先代を徹底的に進化させた現行レンジャーは、スティールのラダーフレームにボディを載せる構造だ。
サスペンションはフロントがダブルウィッシュボーン、リアがリーフ・リジッド。前後重量配分は、実測で54:46だった。
エンジン
駆動方式:フロント縦置き四輪駆動
形式:直列4気筒1996ccツインターボ、ディーゼル
ブロック/ヘッド:鋳鉄/アルミニウム
ボア×ストローク:φ84.0×90.0mm
圧縮比:15.8:1
バルブ配置:4バルブDOHC
最高出力:205ps/3750rpm
最大トルク:51.0kg-m/1720~2000rpm
エンジン許容回転数:4550rpm
馬力荷重比:91ps/t
トルク荷重比:22.8kg-m/t
エンジン比出力:102ps/L
ボディ/シャシー
全長:5370mm
ホイールベース:3270mm
オーバーハング(前):885mm
オーバーハング(後):1215mm
全幅(ミラー含む):2220mm
全幅(両ドア開き):3580mm
全高:1886mm
全高(開閉部位なし):1886mm
足元長さ(前席):最大1100mm
足元長さ(後席):730mm
座面~天井(前席):最大1050mm
座面~天井(後席):925mm
積載重量:1041kg
構造:スティールラダーシャシー/スティールボディ
車両重量:2243kg(公称値)/2348kg(実測値)
抗力係数:−
ホイール前・後:7.5Jx18
タイヤ前・後:255/65 R18 111H
グッドイヤー・ラングラー・テリトリーHT
スペアタイヤ:フルサイズ+アルミホイール
変速機
形式:10速AT
ギア比/1000rpm時車速〈km/h〉
1速:4.70/8.9
2速:2.99/14.0
3速:2.15/19.5
4速:1.77/23.7
5速:1.52/27.5
6速:1.28/32.8
7速:1.00/41.8
8速:0.85/49.1
9速:0.69/60.8
10速:0.64/65.8
最終減速比:3.55:1
副変速比:3.06:1
燃料消費率
AUTOCAR実測値:消費率
総平均:10.2km/L
ツーリング:13.0km/L
動力性能計測時:6.3km/L
メーカー公表値:消費率
低速(市街地):9.3km/L
中速(郊外):11.6km/L
高速(高速道路):13.3km/L
超高速:10.4km/L
混合:11.2km/L
燃料タンク容量:80L
現実的な航続距離:818km
CO2排出量:234g/km
サスペンション
前:ダブルウィッシュボーン/コイルスプリング
後:リジッド/リーフスプリング
ステアリング
形式:電動機械式、ラック&ピニオン
ロック・トゥ・ロック:2.5回転
最小回転直径:12.9m
ブレーキ
前:332mm通気冷却式ディスク
後:302mm通気冷却式ディスク
制御装置:ABS
ハンドブレーキ:電動、センターコンソールにスイッチ設置
静粛性
アイドリング:42dBA
全開時(4速):73dBA
48km/h走行時:56dBA
80km/h走行時:62dBA
113km/h走行時:67dBA
安全装備
ABS/ESP/AEB(歩行者・自転車検知)/後退駐車アシスト+ブレーキング/LKA/死角モニタリング
Euro N CAP:5つ星
乗員保護性能:成人84%/子供90%
歩行者保護性能:74%
安全補助装置性能:84%
発進加速
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
0-30マイル/時(48km/h):3.4秒
0-40(64):5.1秒
0-50(80):7.2秒
0-60(97):9.8秒
0-70(113):13.3秒
0-80(129):18.3秒
0-90(145):24.8秒
0-100(161):36.1秒
0-402m発進加速:17.6秒(到達速度:126.8km/h)
0-1000m発進加速:32.5秒(到達速度:156.9km/h)
ライバルの発進加速ライバルの発進加速
トヨタ・ハイラックス2.8 D−4D GRスポーツ(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温7℃
0-30マイル/時(48km/h):3.6秒
0-40(64):5.2秒
0-50(80):7.3秒
0-60(97):10.0秒
0-70(113):13.1秒
0-80(129):16.9秒
0-90(145):23.0秒
0-100(161):31.7秒
0-402m発進加速:17.6秒(到達速度:130.8km/h)
0-1000m発進加速:32.2秒(到達速度:161.7km/h)
中間加速
20-40mph(32-64km/h):3.5秒(2速)/3.6秒(3速)/4.0秒(4速)
30-50(48-80):3.8秒(3速)/3.9秒(4速)/4.4秒(5速)/5.0秒(6速)
40-60(64-97):4.7秒(4速)/5.2秒(5速)/5.4秒(6速)/6.7秒(7速)/9.8秒(8速)
50-70(80-113):6.3秒(5速)/6.4秒(6速)/7.3秒(7速)/8.8秒(8速)/16.1秒(9速)
60-80(97-129):7.7秒(6速)/8.8秒(7速)/10.0秒(8速)/14.1秒(9速)
70-90(113-145):13.6秒(6速)/11.6秒(7速)/12.2秒(8速)
制動距離
テスト条件:乾燥路面/気温17℃
30-0マイル/時(48km/h):9.8m
50-0マイル/時(64km/h):27.4m
70-0マイル/時(80km/h):55.1m
60-0マイル/時(97km/h)制動時間:2.95秒
ライバルの制動距離トヨタ・ハイラックス2.8 D-4D GRスポーツ(2023年)
テスト条件:乾燥路面/気温7℃
0-0マイル/時(48km/h):9.9m
50-0マイル/時(64km/h):27.2m
70-0マイル/時(80km/h):53.4m
各ギアの最高速
1速:40.2km/h(4550rpm)
2速:64.4km/h(4550rpm)
3速:88.5km/h(4550rpm)
4速:107.8km/h(4550rpm)
5速:125.5km/h(4550rpm)
6速:149.7km/h(4550rpm)
7速:180.2km/h(4305rpm)
8速:180.2km/h(3677rpm)
9速:180.2km/h(2966rpm)
10速(公称値):180.2km/h(2738rpm)
10速・70/80マイル/時(113km/h/129km/h):1711rpm/1956rpm
結論 ★★★★★★★★★☆
ピックアップトラックセグメントの衰退ぶりを見れば、フォードは新型レンジャーの開発を適当に済ませたくなったとしてもおかしくない。ところが、そうはしなかった。ライトコマーシャルヴィークルの妥協点の数を減らすべく、中身のある改良を施したのである。
新型レンジャーは、商用トラックとしても乗用仕様としてもルックスはすばらしく、オフロード性能が半分以下の乗用車でもこれより乗り心地が悪いクルマはわずかながらある。ハンドリングは、大型SUV並みだ。ワイルドトラック仕様なら、インテリアもSUVとそう変わらない。大事なのは、それでいてトラックのキモがすべて備わっているという点だ。
そのヘヴィデューティな作りの影響をすべてカバーできているわけではないが、ライバルたちはこのレンジャーの域に達してはいない。音のうるさいディーゼルエンジンも、このクラスの基準に照らせばさほど不満には感じない。価格は高いが、V6を選ぶことで簡単に解決できる問題でもある。
総じて新型レンジャーは、きわめて完成度の高いピックアップで、商用トラックに乗っていることは、意識させられる機会より忘れてしまうほうが多い。仕事にもレジャーにも使えるといういまどきのピックアップトラックの目指すものはしっかり備えているが、それはなかなかのいい仕事ぶりだ。
担当テスターのアドバイス
イリヤ・バプラート個人的に買うことはないと思えるSUVやクロスオーバーは多い。客観的に見て、同格のハッチバックに劣っているものを、ちょっとばかり車高が高いというだけの理由で選ぶことはできない。しかしレンジャーは、バンなど完全に見下ろす高さで、悪路もスイスイ走る。別格だ。
マット・ソーンダースたしかにF−150ライトニングと比べれば、レンジャーは英国の路上でもバカげた巨体には見えない。それでも、これだけのサイズのクルマは、駐車場所を考える必要がある。
オプション追加のアドバイス
最廉価グレードのXLと1段上のXLTなら、装備の差はさほど大きくないので、XLで十分。日常使いにはワイルドトラックがいい選択だが、オフロード志向のユーザーにはトレマーかワイルドトラックXのほうが向いているだろう。レンジローバーを買える金銭的余裕があるなら、追加予定のプラチナムを待ちたい。
改善してほしいポイント
・2.0Lツインターボディーゼルは、もっと音を静かにしてほしい。
・ステアリングホイールには、もう少し上質なレザーを使ってもらいたい。
・ATセレクターの節度感はもっと強くないと、ブラインドではRレンジに入れにくい。
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