シトロエニスト ランデブー オーナーズ・フェスティバル2023
それは初回開催とは思えないほどこなれた雰囲気でありながら、シトロエンに対する愛情や情熱を、オーナーたちも主催者であるステランティスジャパンも新たにした、絶好の機会だったといえる。2023年9月の3連休を利して、中日の17日(日)に岐阜県は高山市、位山交流広場で行われた「シトロエニスト ランデブー オーナーズ・フェスティバル2023」のことだ。
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C3やベルランゴの人気でシトロエンの勢いが止まらない
これまでフランス車のミーティングといえば「フレンチブルーミーティング」が知られていたが、ここ10数年、「カングー ジャンボリー」がルノー・ジャポンの主催によって盛り上がりを見せ、走行会やサーキットイベント以外でもワンメイクもしくは単一車種の横のつながりが強い、フランス車独特のオーナー・コミュニティが拡大しつつあった。
「C3」や「ベルランゴ」といった新世代モデルがロングヒットしているシトロエンの、ブランドマネージャーである中山 領氏に、今回のイベント開催に至った理由を尋ねてみた。
「近頃のシトロエンは昔ながらのマニア以外の方も、例えば“ベルランゴだから”といった理由で買って乗ってくださっています。われわれとしても素晴らしいことです。一方でシトロエンは100年以上の歴史がある自動車メーカーですから、ブランドのことをより知ってもらえたら、もっと楽しんでもらえるだろうと。逆に旧いシトロエンのオーナーの方々には、新しいシトロエンに触れるよい機会にもなれば。そうした想いで、交流の場を設けたいと考えたのです」
「シトロエニストによるシトロエニストのためのイベントにしていきたい」
朝7時半から、位山の駐車場には続々と、新旧のシトロエンが入ってきた。名古屋など中京地区がやはり多いが、関東圏もあれば関西も相当に多いし、東北や北陸のナンバープレートを付けたエントラントも少なくない。会場内の駐車スペースは大まかに年代ごとに分けられていた。
1990年代以前のヒストリックなシトロエンと、ヤングタイマーといえる1990年代、そして2000年代と2020年代といった風に、直近の30年間のモデルが10年ごとに分かれ、さらにベルランゴのスタンダード&ロング双方が大きなスペースを占めた。ベルランゴのスペースの前には、ちょうど太平洋と日本海の分水嶺を示すモニュメントがあり、まさしく地理的にも日本の中心地での開催となった。
9時半からはオープニングセレモニーが特設ステージ上で始まり、開会の挨拶でステランティスジャパン代表取締役の打越 晋氏は、来場者に感謝と歓迎の意を、こう表した。
「シトロエンのグローバルCEOのティエリー・コスカスからも言われている通り、私の使命はシトロエン顧客の笑顔を増やすこと。1回限りではなく、5年10年と続けていって、シトロエニストによるシトロエニストのためのイベントにしていきたい」
シトロエン独自の「ゆとり」「余裕」がつなぐ交流の輪
旧い街並みにモダンなカフェなど、新旧が融合した高山市は、シトロエニストには格好の旅行先ともいえる。列席した同市副市長の清水雅博氏も、
「シトロエニストの聖地として定着することを願い、一生懸命サポートさせてもらいます」
と、イベントへの力添えを力強く約束した。つまりエントラントたちだけでなく、主催者側にとってもこのイベントは、待ちに待った念願の機会だったのだ。
なぜか? といえば、シトロエンがパリ発の自動車メーカーというだけではなく、飛び抜けてコンテンツ・リッチなブランドだからだ。ハイドロに代表される独自のメカニズムや、創意豊かなエンジニアリング、そして独特のデザインは、そもそも「なぜそれに乗っているか? 選んだか?」という格好の話題を提供してくれる。
普段から個性的なシトロエン乗りたちも、この日は同行の士に囲まれ、あちこちで見知らぬ者同士で交流の輪が広がる。まるで互いのペットの動物の話をしているような。ちなみにこの日はゲレンデを利して、大型・中小型犬それぞれのドッグラン・スペースも設けられていた。
クルマでありながらそういう感覚が芽生えるのは、もとよりシトロエン特有の、包容力の豊かな使い勝手に帰せられる。「2CV」から「アミ8」に「BX」、「CX」といった旧いモデルでも、あるいは現行世代でも車格を問わず、ロングドライブでもシトロエンならではの快適性や使い勝手のよさは確保されている。だからこそ、イベントの場所まで誰もが持ち寄ることができて、作り上げられる独特の雰囲気、「ゆとり」や「余裕」がデフォルトで漂っているかのようだ。
シトロエンの魅力に触れるコンテンツが盛りだくさん
そんな親しみやすさの一方で、100年以上続くカルトな老舗だけに、〇×クイズやビンゴのような催しは、初心者にも親しみやすいもののカルトな出題も無くはない。ビンゴシートは数字の代わりに歴代モデルが記され、司会も担当した前出の中山 領マネージャーが車名を読み上げるも、なかなか当たりが出ないところもユニーク。公式イベントならではの本邦初のノベルティ・グッズを争って、熱戦が繰り広げられたのだった。
またこの日、予約制とはいえキャンセル待ちが出るほど、新旧のオーナーたちから人気を集めたのが、現行ラインナップの試乗会。やはりまだ乗ったことのないシトロエンに、誰もが興味津々で、飛騨のワインディングで試す絶好の機会だったのだ。あるいはデイキャンプの道具一式を展開して、芝の上でくつろぐ家族もいれば、フリーマーケットの出展者たちはそれぞれの売り物を並べて、来客と談笑していた。そしてベルランゴは、やはりフリマ出展者にも圧倒的人気であることが窺えた。
* * *
次回は来年か再来年か、まだフィードバックから検討段階とはいえ、また催されることは確実。オーナーもエントラントたちも主催者も、誰もがそう確信をもてるほど、充実した盛り上がりを見せた初回開催だった。
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