10月13日、2024年全日本スーパーフォーミュラ選手権第7戦決勝レース(41周)が静岡県の富士スピードウェイで行われ、ポールポジションからスタートした坪井翔(VANTELIN TEAM TOM’S)が一度もトップを譲ることなく、ポール・トゥ・ウインを達成。第6、7戦を連勝で飾り、シーズン3勝目をマークした。
2位は福住仁嶺(Kids com Team KCMG)が入り今季ベストリザルト。3位は牧野任祐(DOCOMO TEAM DANDELION RACING)が入る表彰台となった。
前日の第6戦決勝とほぼ同じ時刻にスタートを迎えた第7戦決勝は、日差しは強く、気温25度、路面温35度と、第6戦時より少し温度が高いコンディションでスタートした。
好スタートを切ったのはポールシッターの坪井。イン側グリッドからスタートした野尻智紀(TEAM MUGEN)をけん制しながらTGR(1)コーナーへトップで飛び込んでいく。さらに4番手スタートの牧野もスタートダッシュが良く、1コーナーでアウト側から野尻をとらえて2番手に浮上した。
牧野はそのまま坪井に詰め寄り、2周目の1コーナーで並びかけ、順位の入れ替わりはなかったものの激しいバトルが続く。しかしこの周では、後方でアクシデントが発生。ダンロップ・コーナーで三宅淳詞(ThreeBond Racing)と木村偉織(San-Ei Gen with B-Max)が接触してしまった。
三宅がスピンしたところでよけきれなかった車両があり、ニック・デ・フリース(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)も絡むアクシデントとなる。デ・フリースはノーズにダメージを負ったか、そのままピットイン。三宅の車両がストップしてしまったため、レースは早々にセーフティカー(SC)が入ることになった。
7周目に入るところでレースはリスタートが切られた。オーバーテイク・システム(OTS)で加速した福住が、直後の1コーナーで野尻をかわし3番手にポジションアップする。
福住はさらに翌周、牧野もとらえて2番手に。ポジションダウンした牧野は10周を終えたところで真っ先にピットへと向かった。同じタイミングでのタイヤ交換を選択したのは野尻、小林可夢偉(Kids com Team KCMG)、国本雄資(ITOCHU ENEX TEAM IMPUL)、大嶋和也(docomo business ROOKIE)の4台だ。
翌周には、大湯都史樹(VERTEX PARTNERS CERUMO・INGING)、山本尚貴(PONOS NAKAJIMA RACING)、大津弘樹(TGM Grand Prix)、小高一斗(KONDO RACING)の4台もピットインする。ところが、アウトラップを終えた直後の国本と大嶋が1コーナーで接触。大嶋はスピンしコースサイドでマシンをストップさせてしまった。
このアクシデントがモニターで映し出された直後、すでに最終コーナーをクリアしていた上位陣の中で、福住がピットインを選択した。ターゲットとなるのは牧野だが、福住は牧野より前でコースに復帰し、『ウラ』のトップで後半スティントに入る。
その後、1コーナーのアウト側でストップした大嶋の車両を回収するため、このレース2度目のSCが導入。SCボードが表示されるやいなや、トップの坪井を含めタイヤ交換を終えていないグループが一気にピットロードへなだれ込み、坪井は福住よりも前でコースに戻ってトップをキープした。
それに続いてピットロードを出てきたのは佐藤だったが、ピットロードエンドのホワイトラインを過ぎたかどうか、ギリギリのラインで福住、牧野と交錯する。
福住は佐藤に対して完全に先行していたため、先に1コーナーへ向かう。しかしそのすぐ背後に迫っていた牧野は判断が難しいタイミングで佐藤と並ぶこととなり、2台は1コーナーで軽く接触しつつ、牧野が先行して2コーナーへと入っていった。
その後、SC中の追い抜きに抵触する可能性を考慮したか、牧野は佐藤に3番手のポジションを譲っている。
17周目に2度目のリスタートを迎えると、3番手に上がった佐藤がOTSを使って猛プッシュ。ストレートで福住をかわして2番手に浮上する。しかし福住も食い下がり、翌周には同じようにストレートで佐藤をかわして2番手を奪い返すなど、白熱したバトルが繰り広げられた。
そして佐藤はかわされた直後のコカ・コーラコーナーで飛び出してしまう。その影響で福住を逃がすばかりか、さらに後方から追いかけてきた牧野にも22周目にとらえられ、4番手にポジションダウンとなった。
中団では、最終鈴鹿大会の欠場が決まっており今大会がSF最終レースとなるデ・フリースが躍動する。17番手からスタートし、2周目のアクシデントでノーズ交換も余儀なくされたデ・フリースだが、坪井と同じタイミングでのピットインが奏功し、23周目にはポイント圏内の10番手まで浮上していた。
ここからさらに、9番手を走る山下とのバトルを展開。31周目の1コーナーではアグレッシブなオーバーテイクで山下をかわしポジションアップすると、33周目にはコカ・コーラコーナーで野尻をとらえて8番手までポジションを押し上げた。(レース後、山下とのバトルに関して統一規則第15条1.1)2)(他社への衝突行為+コースアウト)違反を理由に、デ・フリースの競技結果に対して5秒加算ペナルティが課せられている)
その直後、11番手を争っていた阪口と山本が1コーナーの立上り区間で接触。山本のマシンが阪口のタイヤに乗り上げる形で一瞬宙に浮き、そのまま2台そろってコースサイドに飛び出してしまった。このアクシデントでレースは3度目のSCが導入される。
山本は無線で首の痛みを訴えていたが、コックピットから降りてくる様子がモニターで確認された。2台の車両を回収するのにSCランは長引き、レースは残り3周で再開。再開後、トップ3の顔ぶれは変わらず、リスタートを危なげなく決めた坪井が2日連続でトップチェッカーをくぐった。
2位は福住で、今回がシーズンベストリザルト。3位には牧野が入った。4番手でチェッカーを受けたのは佐藤だったが、ピットアウト直後の牧野との接触に対し10秒のタイム加算ペナルティを受けることに。またレース後に最低重量違反が見つかり、失格の裁定が下っている。
力強い追い上げを見せて8番手でチェッカーを受けたデ・フリースにも、先述のペナルティが下り、正式結果では11位となった。上位2台が順位を下げたことで、9番手でフィニッシュした野尻は7位に繰り上がった。
坪井はこれでシーズン3勝をマークし、ポイントランキングでも大量リードを築いて最終大会の鈴鹿2連戦に挑むことになる。
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