F1イタリアGPの1周目、マックス・フェルスタッペン(レッドブル)はメルセデスのふたりとそれぞれ別件の接触に関与していた。
フェルスタッペンはこのレースで、7番グリッドからスタート。メルセデス勢はその前におり、ラッセルが3番グリッド、ハミルトンが6番グリッドにいた。しかしラッセルはスタート直後の第1シケインでロックアップし、エスケープロードを通ることになり順位を落とした。ラッセル曰く、前を走るオスカー・ピアストリ(マクラーレン)のブレーキングポイントに対応しきれなかったことがロックアップの原因だという。
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そして一方のハミルトンはターン1にかけてカルロス・サインツJr.(フェラーリ)と軽微な接触があったが事なきを得て、シケインをショートカットしてきたラッセルをフェルスタッペンらと共にかわしながら、第2シケインに向かっていた。
様々なオンボード映像を分析した結果、第2シケインへのブレーキングではフェルスタッペンの鼻先とハミルトンの右リヤが並んでいたことが分かる。そしてハミルトンはコーナーのエイペックスに近付くにつれて、若干右側、つまりフェルスタッペンの方に動いている。フェルスタッペンはアウト側に幅寄せされるような格好となり、ターンインの際に2台は軽く接触した。
接触直後、ハミルトンは「マックスに当てられた……右リヤだ」と反応。一方のフェルスタッペンも「ルイスが1車身空けていなかった」と不満を口にした。
実はシケインを立ち上がる際にも、もう一件接触が起きていた。立ち上がりで失速したフェルスタッペンのリヤと、その後ろを走っていたラッセルのフロントが並ぶ形となったが、フェルスタッペンの取った立ち上がりのラインからアウト側にいたラッセルの行き場がなくなってしまい、接触したのだ。
これにより、ラッセルのフロントウイング右側のエンドプレードが破損してしまった。エンドプレートの壊れたラッセルのマシンは中継映像でも捉えられていたが、その裏にはこういったインシデントがあったのだ。ラッセルは当初、無線で「ピアストリがブレーキングゾーンで僕の前を横切った」とだけ訴えていたが、1周目終了時にはチームにフロントウイングをチェックするよう求めている。
一方フェルスタッペンは、レッドブルに対して「少し接触したと思うから、左リヤタイヤをチェックしてくれ」と要求。ただレースは問題なく続行できる状況で、これはハミルトンも同様であった。
しかしラッセルはそうもいかなかった。フロントウイングのダメージにより「かなりのパフォーマンスを失った」といい、12周目にタイヤとフロントウイングを交換するためピットインするまでに、セルジオ・ペレス(レッドブル)にも追い抜かれてしまっていた。
ラッセルは最終的にペレスを逆転することには成功したものの、フェルスタッペンには1.8秒届かず7位でレースを終えた。一方でハミルトンはフェルスタッペンを下して5位だった。
レース後、ハミルトンのドライビングに満足しているかと尋ねられたフェルスタッペンはこう答えた。
「おそらく1周目は、前のクルマに集中していて、ミラーも見ていない」
ハミルトンとフェルスタッペンの接触は、同じく第2シケインでのマクラーレン同士の争いや、序盤に起きたニコ・ヒュルケンベルグ(ハース)とRB勢との接触などの影に隠れて、あまりフィーチャーされていなかった。
メルセデスのトラックサイド・エンジニアリング担当ディレクターであるアンドリュー・ショブリンは、ラッセルはフェルスタッペンと接触してダメージを受けたことで、「早期かつ長時間のピットストップを強いられた」と説明。もしピットのタイミングを遅らせて1ストップ作戦が実行できていれば、フェルスタッペンの前でフィニッシュできたかもしれないと話している。
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