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トヨタ「bZ4X」2022年夏頃に発表予定の新型EVの概要を発表【動画】

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トヨタ「bZ4X」2022年夏頃に発表予定の新型EVの概要を発表【動画】

トヨタは2021年10月29日、2022年夏に正式発表予定としている電気自動車のニューモデル「bZ4X」の概要を公表した。「bZ4X」は2021年4月に開催された上海モーターショーでコンセプトモデルとして世界初公開しているが、そのときのスタイリングそのままが量産モデル化されることが確認できた。

bZ4Xは電動化戦略のワンピース

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トヨタは、今後のカーボンニュートラルの時代に向け、EV化を選択し絞り込むのではなく多様な手段、ハイブリッド、PHEV、BEV、FCEVという電動車のフルラインアップ化を推進することを宣言しているが、この新開発EVはそのワンピースという位置づけとなっている。

車名の「bZ4X」は、トヨタのEV「bZ」新シリーズで「Byond Zero:ゼロを超えた価値」を意味している。「4X」については4が車両サイズ、Xが車型を意味している。つまり4はC+サイズのセグメント、XはクロスオーバーSUVということを表しているわけだ。

しかしその一方で、bZシリーズはモジュラーEVプラットフォーム「e-TNGA」をベースとしており、トヨタ単独ではなく他社との共同開発という手法が多用され、トヨタの軸足がbZシリーズだけに置かれるわけではないとしている。

またトヨタは、2025年までにbZシリーズで7車種、その他のEVも含め合計15車種を投入するとしている。

トヨタはすでに中国市場でC-HRのEV、UX EVを発表しているが、これらは既存のプラットフォームを電気駆動化したモデルであるのに対し、bZシリーズは完全にEV専用のプラットフォームで、そういう意味で初の本格的なEVということができる。

このe-TNGAは、トヨタ、マツダ、デンソーの3社でスタートした合弁会社「EV C.A. Spirit」で基本的な骨格や規格を煮詰めている。そのEV C.A. Spiritは、後にスバル、スズキ、ダイハツ、日野、いすゞ、ヤマハ発動機が参加し、事業完了のため2020年6月に解散している。

その第1弾が今回のbZ4Xと、スバルのソルテラとなる。つまりbZ4Xはトヨタとスバルの共同開発で、bZ4X/ソルテラはスバルの技術陣がトヨタに常駐する形で企画、開発が進められている。そして、このbz4Xではスバルの衝突安全技術、4WD技術、X-MODEが活用され、トヨタの電気駆動技術、バッテリー技術と融合されているという。

bZ4Xのコンセプトとプラットフォーム

bZ4Xの開発コンセプトは「Activity Hub」とされ、その意味は単なる移動手段ではなく、乗員全員が楽しい時間や空間を共有できワクワク感のあるクルマとし、インテリア、スタイリング、運転フィーリング、走行性能など、それぞれの分野で革新にチャレンジし、ワクワク感のあるクルマを目指している。

そしてEV専用のプラットフォーム「e-TNGA」を開発し、EVならではの要件を盛り込み、低重心・高剛性化したプラットフォームにより1台のクルマとして魅力のある、滑らかで意のままになる走行性能と、本格SUVとしての走破性を追求したとしている。

このプラットフォームは、フロア面にバッテリーを搭載し、前後にモーター、減速ギヤ、インバーター、トランスアクスルなどを一体化したe-アクスルを前後に配置可能としている。なおトヨタのEVとしては初のe-アクスル採用となる。またこのe-アクスルは従来のトヨタのEVとは違って左右シンメトリカルレイアウトになることも優位点だ。

そして前後のe-アクスルはエンジン ユニットよりはるかにコンパクトで4WDであってもプロペラシャフトが存在しないため、ロングホイールベース、フラットフロア、前後のショートオーバーハングになるなど、低重心、高剛性が特長となっている。

床下に搭載されるバッテリーの容量は71.4kWhだ。トヨタは500kmt程度の航続距離を目指しており、航続距離を伸延させるためにより大容量のバッテリー搭載を追求せず、床下に1層のバッテリーレイアウトとすることにこだわっている。またバッテリーの総電圧は355V。急速充電は最新規格の最大150kWに対応しているのも注目点だ。この高出力急速充電器を使用すれば10分間で100km走行分を充電することができる。

その一方で、トヨタはハイブリッド車の市販化以来培ってきたバッテリーの高い信頼性をアピールしている。実用上、特に冬場での航続距離の確保のためにヒートポンプ式エアコンの採用や、キャビン全体の暖房ではなく乗員周辺を暖房するシステムを導入するなどし、冬場での航続距離確保を実現。さらに世界トップレベルの電池容量維持率(10年後90%)を目標としている。なおバッテリーパックは液冷式とし、バッテリー性能の確保を実現している。

また安全面でも、バッテリーに多数のセンサーを配置し、バッテリー異常の兆候を早期に発見できるように多重監視システムを採用するなど、高度な安全性を追求しているほか、最新の予防安全パッケージ「トヨタ セーフティ センス」の採用や、全方位衝突に対応する強固なボディ構造、衝突時の保護性能確保に寄与する頑丈な電池パックの採用などにより高い安全性を訴求している。

そのため、主要骨格部にホットスタンプ材、高張力鋼板を採用し軽量・高剛性なボディ構造と、バッテリーパックとその周辺、EVユニットやラジエータ搭載部、前後サスペンション周りなど、各部の剛性も高いレベルを実現している。

パッケージとデザイン

bZ4XはFFモデルと4WDモデルを設定しており、ボディサイズは全長4690mm、全幅1860mm、全高1650mm、ホイールベース2850mm。つまりRAV4並みのC+サイズで、ワイドな全幅なども含め、特にアメリカや中国市場を意識したクルマであり、中国、ヨーロッパ、米国、日本など先進国市場に投入する計画だ。

EVならではのコンパクトなe-アクスルを搭載していることと、超ロングホイールベースのため、キャビン内のスペースはDセグメントと同等かそれ以上となり、フロント左右席の間隔は1000mmを実現し、足元のスペースも前後ともミディアムクラスSUVと比べてもトップレベルとなっている。

そしてインテリアは、低い位置のインストルメントパネル、大開口パノラマルーフ(装着車を設定)により解放感を強調。落ち着いたリビングを思わせるファブリック張りのインストルメントパネルとするなど、従来のトヨタ車とは一線を画する仕上げになっている。

エクステリアのデザインは、「ハイテック&エモーション」をテーマとし、EVとしての先進感とクルマ本来の美しさを融合させ、スリークさと、SUVらしい力強さを両立させており、従来のトヨタデザインとは違う新たなフォルムを生み出している。

フロントは、従来車のラジエータを象徴したセンター強調のテーマと異なり、空力アイテムが織り込まれたコーナー部と、上下に薄いバンパー形状によりEVの独自性を表現。またボンネットからヘッドランプ上部へと連続するハンマーヘッド形状で独自性にチャレンジしている。

リヤは、コンビネーションランプ、バックドア、バンパーがタイヤへ向かう台形のデザインとし、低重心で力強いスタンスを表現している。

先進装備

インフォテイメントも先進技術を導入し、クラウド上の地図情報を活用し、交通情報や駐車場の空き情報をリアルタイムで取得するコネクティッドナビを採用。通常のナビゲーション機能に加え、移動支援、充電施設表示、航続可能エリア表示等、EV専用の機能にも対応している。また操作系の一部は音声による操作も可能にしている。

またキーはスマートフォンを使用するデジタルキーを新採用。画面操作なしでロック、アンロック、システムスタートなどが可能になっている。

この他に運転支援システムのトヨタ セーフティ センスとマルチメディアシステムは常時無線通信によるソフトウエア・アップデート(OTA)も採用している。

またオプションでルーフにソーラーパネル装備モデルも設定。従来のプリウスPHVは年間1000km走行分の発電性能であったが、bZ4Xでは1800km走行分まで性能を向上させ、充電スタンドがない駐車場でもある程度の充電が可能なほか、災害時など緊急時でも太陽光による充電が可能となっている。

先進装備としては初のステアbyワイヤーも導入している。標準モデルは通常のステアリングだが、オプションで航空機の操縦ハンドル形ステアリング形状とし、左右操舵角は150度でハンドルを回転させる必要をなくし、革新的な操縦感覚をアピールする。

ステアbyワイヤーはすでにスカイラインが実現しているが、スカイラインは故障時のバックアップ用に機械的なステアリングシャフトを装備しているのに対し、bZ4Xは故障時のバックアップ方式は現時点で不明。当然ながら操舵は左右輪用の独立したモーターで行なわれ、ハンドル部にも操舵感を発生させるモーターを装備する3モーター方式だ。

なおこのステアbyワイヤーは法規の関係で、日本、中国市場だけに投入されると想定されている。

bZ4Xの生産は、現時点では中国工場と日本で行なわれ、内燃エンジンモデルやハイブリッドモデルとの混流生産になると説明している。

bZ4Xは、ボディサイズ、カテゴリーでもまもなく発売される日産アリアと真正面から競合することになり、アリアは4WDモデルについて、現在考えられる4WD制御とシャシー制御を統合制御するハイレベルの最新技術「e-フォース」の採用をアピールしている。これに対しbZ4Xの走りはどのレベルにあるのか興味深い。

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