開幕戦岡山の優勝と第3戦鈴鹿の2位フィニッシュにより、2号車muta Racing GR86 GTが一気に抜け出した感があった今季のスーパーGT・GT300クラス。しかしながら、そこから先の2レースで形成は逆転。65号車LEON PYRAMID AMGが第4戦富士と第6戦SUGOで連勝し(第5戦鈴鹿は延期)、逆に大量リードを築くことに成功したのだ。
65号車LEONの今シーズンは開幕戦岡山でのポールポジションから始まったが、決勝では2号車mutaのタイヤ無交換作戦の前に敗れ2位。AMGと相性の良い富士での第2戦はトラブルに泣いたが、同じく富士での第4戦では見事ポールトゥウイン。フルコースイエロー(FCY)を見越したタイミングでのピットインにも成功し、ライバルに大差をつけてのチェッカーだった。
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そして迎えた今回のSUGO戦は、天候不良により予選がキャンセルに。公式練習での順位がグリッドに採用されたが、65号車は15番手からのスタートとなった。しかしながらスタートドライバーの蒲生尚弥は激しい中団争いをかき分けてポジションを上げていくと、2度出動したセーフティカーにも助けられて、あれよあれよという間に先頭集団となっていった。
そしてピットストップで篠原拓朗に交代したLEONの前に立ち塞がったのが、PONOS RACINGの45号車だった。篠原はリル・ワドゥーに再三プレッシャーをかけたが、なかなか攻略できなかった。
「ピットから出た時に2位(に上がっている)と言われた時も驚きでしたが、1位の選手が結構近くにいたので、SC明けはプッシュしました。本当は早く仕留めたかったのですが、思いの外時間がかかってしまいました」
そう振り返る篠原。最終的には20周ほどかかってから、残り13周の1コーナーへのブレーキングでオーバーテイクを成功させたが、長らく決め手を欠いていた理由については次のように説明した。
「ウエットコンディションからドライコンディションに変わる中で、クリッピングポイントの先の部分、コーナーのミドルとなる部分で水が残っていました」
「そこは単独で走っていても、コーナーの立ち上がりやミドルで滑ることがありました。ブレーキング勝負で(相手の懐に)入ることはできたと思いますが、その先で曲がれなかったり、というリスクは感じていました。だからこそ、確実にいけるところを探していました」
15番手スタートから望外の勝利となったLEON。ドライバーふたりとも「まさか勝てるとは思わず、びっくり」と口を揃えるが、ベテランの蒲生は「(前半スティントは)いかにウエットタイヤで長く走れるかが重要だと思っていましたが、ブリヂストンタイヤのペースが良く、追い上げることができました。FCYが出るタイミングでのピットインもうまくいき、運も味方にできたのかなと」と勝因を分析する。
LEON RACINGと言えば、2018年に蒲生と現在の黒澤治樹監督のペアでGT300チャンピオンに輝いてからは、蒲生の相方が菅波冬悟→篠原と変わった以外は大きな体制変更はなく、AMG GT3とブリヂストンタイヤのパッケージは変わらず。しかも2019年以降の5シーズンの年間ランキングも5位→3位→6位→10位(事実上の8位)→4位と非常に安定しており、上位の常連であり続けた。
その中で今年特に高いパフォーマンスを出せている要因について蒲生に尋ねると、「劇的に変わったことはありませんが、長くブリヂストンタイヤとAMG GT3を使っているので、各サーキットのセットアップが少しずつ煮詰まってきているのと、今回と前回のレースは運の要素も大きかったので、運も引き寄せられているシーズンになっていると思います」と答えた。
残るは3レースとなっている今シーズン、当然6年ぶりのタイトルも意識せずにはいられないだろうが、ふたりは共に欲をかかずにしっかりとレースを戦いたいと語った。
「まだ3レースありますし、どうなるかわからないですが、その時のベストを尽くせば結果は出せると思います。変に狙うのではなく、僕たちのレースを続けられればと思います(蒲生)」
「今回はポイントを獲ろうと、やることをやった結果勝てたので、(次戦以降も)欲をかくことなく、着実なレースができればと思っています。僕自身も課題はまだまだありますので、成長を続けてチームに貢献しながら良いレースをして、シーズンを締め括りたいです(篠原)」
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