ボルボのフラグシップSUV「XC90」の4シーター・ヴァージョン「エクセレンス」に小川フミオが試乗した。後席ではなく、あえて前席優先で試乗した印象とは?
キラリと光る味付けの良さ
ランドクルーザープラドがアップデート! ブラック基調の特別仕様も追加へ
世のなかには、ショーファー・ドリブン(運転手による運転)専用のクルマ、ショーファー・ドリブンのほうがいいクルマ、そして、ショーファーに運転させたくないクルマがある。「XC90 T8 Twin Engine AWDエクセレンス」は3番目。自分で運転して楽しめるSUVだった。
特徴は、前輪を2.0リッター直列4気筒ガソリンターボ・エンジンで、後輪を電気モーターで駆動するハイブリッド車の「XC90 T8 Twin Engine AWD」をベースにしながら、後席空間をうんとぜいたくに仕立てたところ。
2985mmのホイールベースはベース車両と同一なので、レッグルームがうんとあるわけではない。しかしこれで狭いと思うひとは、まずいないのではないだろうか。毛足が長めのカーペットにフットレストが置いてあり、楽ちんだ。
リアシートの評価は、辛酸なめ子さんのリポートを読んでいただくことにして、今回は自らドライブしての印象を記したい。
このクルマでは、ブラックあるいはブロンドと呼ぶベージュ系(試乗車)の内装色が選べる。レザー張りのシートをはじめ、同色で統一されたダッシュボードや、ブラックのレザーを外側に使ったステアリングホイールの意匠などは、標準モデルとほぼおなじだ。
古い世代なら、エンジン性能が驚異的に上がったいまでもつい「2.0リッターエンジンで大丈夫?」などと、排気量をベースにおおざっぱな性能を頭で計算してしまいがちだ。でも、全長4950mm、車重2370kgのXC90にとって、パワーはまったく不足なし。エンジンで400Nm、電気モーターで240Nmのトルクを発生するだけに、駿足だ。
ドライブモードを「ハイブリッド」に設定すると、バッテリーを許された範囲内で使いきり、からっぽになったらエンジンが始動する。当初からEVモードを選んでおくと、モーターのみの力で発進するが、この場合はまことに力強い。
静かで、かつパワートレインはスムーズ。ショーファードリブン車としても、申し分ない。いっぽうドライバーにとっても、電気モーターを使った加速には快感をおぼえるほどだ。ひとクラス下のステーションワゴンである「V60 T8」でも感じたが、ボルボの「ツインエンジン」システムはよく出来ている。
バッテリー走行区間もフル充電ならモーターだけ使う「ピュア」モードで40km走れることになっている。もちろん加速など走行条件によって多少変動するものの、日常の移動はほとんどEVでカバーできるのだ。
EVモードのバッテリーが空になったらエンジンが始動する。あるいは「チャージ」を選べばエンジンが動き、バッテリーへの充電が始まる。早朝ゴルフなどに出かけるとき、あるいは隣近所への気遣いでEV走行をしたいときなど、事前のチャージが役立つ場面もあるだろう。
XC90 T8 Twin Engine AWDの美点である剛性感あるシャシーによるハンドリングのよさと、操舵性のいいステアリング、そして直進時の快適性と、コーナリング時の車体のコントロール性、といったものはすべて備わる。
適度な重さ、というのは、上質感と直結している。ステアリング・ホイールをまわしたときの操作感や、ブレーキペダルを踏んだときのフィールなど、ボルボは味付けがうまい。まさに適度に、そしていい具合に重厚なのだ。
意外とお買い得?
XC90 T8 Twin Engine AWDエクセレンスが日本市場に導入されたのは2016年8月。輸入元のボルボ・カー・ジャパン広報部によると、会社の代表者や役員送迎用として購入する法人、さらには家族4人のための大型ワンボックスのユーザーなどが購買層の中心だったという。
従来は、そういう用途には、大きめのセダンを、いわゆるリムジン仕様にするものだった。ボルボといえば、かつて「264TE」(1975年~1981年)なる、264セダンのホイールベースを標準の2640mmから3340mmに延ばしたリムジンがあった。前席シート背後に折りたたみ式のジャンプシートを備えていて、いざとなれば3列になったのも特徴だ。
このXC90 T8 Twin Engine AWDエクセレンスはそれとは違っていて、うんと後席をぜいたくに仕立てている。リムジンのようなエクステンデッドホイールベースは欲しくないものの、どうせだったら、そもそも余裕あるサイズゆえ、ぜいたく仕様があってもいい、と、考えた着想はとてもいい。
これを、べつのかたちをした事実上の「ワンボックス・カー」として購入するのもおおいにアリだ。トヨタの「アルファード/ヴェルファイア」もよく出来たクルマであるものの、ドライバーズカーとしてはXC90 T8のほうが上だ。私じしん、自分の家族用に買ってもいいかもしれないとまで思った。
もうひとつの魅力は、1359万円の価格だ。標準の「XC90 T8 Twin Engine AWDインスクリプション」(1129万円)との価格差は、装備を考えると、リーズナブルに思える。
さらに、ゲストを迎えたときのもてなし感としては、メルセデス・マイバッハ「S560」(2398万円)やBMW「M760Li xDrive V12 Excellence」(2582万円)、さらにトヨタ「センチュリー」(1996万2963円)などと競合する。それらと比べると、だいぶお買い得感がある。
日本に入っている仕様は輸入元が決めたものという。ただし本国でも、内装は2種類に限定されているうえ、フルオーダーは受け付けていないとのこと。ボルボ・カー・ジャパンによると、いま残っている在庫がなくなっても、追加輸入の計画はないそうだ。
しかもその在庫はかなり限られているそうで、私としては欲しいけれど、貯金がたまるより在庫がなくなるほうが速そうだ。それがまことに残念、と思わせるモデルである。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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みんなのコメント
内装も走りも安全性も超一流の仕様なのに、派手でもなければオラついてもいない。
こんなところが落ち着いたセンスのいい北欧家具に通じ、日本人に好まれる理由なのだろう。