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進化する自動車用バッテリー「鉛」「リチウム」「ドライ」その違いと特徴は?

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進化する自動車用バッテリー「鉛」「リチウム」「ドライ」その違いと特徴は?

電気自動車でも電子制御は12Vバッテリー

 クルマに必要な電気を蓄える「バッテリー」。主にスターターや灯火類などの電装品に電力を供給するのが役割だが、テクノロジーの進化でいろいろなタイプの製品が登場してきている。今回は、エンジン車、ハイブリッド、EV(電気自動車)を問わず搭載される”12Vタイプ”の特徴を紹介しよう。

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リサイクル率100%の鉛バッテリー

 まずは昔も今も幅広く使われている「鉛バッテリー」。鉛を主とした合金で電極を使うのでそう呼ばれるが、電池としては150年以上の長い歴史を持ち、様々な分野で使われている。クルマではエンジン車はもちろん、ハイブリッドやEVの12V系電源にも使われている(駆動用と区別するため補機バッテリーと呼ばれることもある)。特徴としては、鉛という安価な金属が使えるので安く造れる上にリサイクルも容易という点があり、自動車リサイクル法が施行されてからはほぼ100%の鉛バッテリーがリサイクルされているそうだ。

 デメリットは鉛の比重の高さゆえに重たいこと。始動時に大きな電力が必要になる大型ディーゼル車用では20kgを超えることがある。また、一般的なタイプは電解液(希硫酸)で極板を浸しているので垂直に搭載して使うのが基本。横倒しにすると液漏れを起こし、ボディに付着するとは塗装は剥がれ、布などはボロボロ(時間が経ってから)になるので運搬時などは要注意だ。くわえて、充電すると水素ガスを発生するので換気に注意する必要もある。

 しかし、トヨタ・プリウスやマツダロードスター、日産R34型スカイラインGT-Rなどで搭載される補機バッテリーでは、「制御弁方式」が使われる。こちらも液入りだが、充電時のガスは基本的には内部で処理する仕組みとなっている(ガスを外に出すパイプがつく)。

放充電が厳しいアイドルストップ対応バッテリー

 このほかにもエンジン車では、「充電制御」や「アイドリングストップ」に対応した鉛バッテリーが普及。前者の充電制御とは、燃費を良くするために加速時やアイドリングではエンジンで回すオルタネーターの発電を止めて、減速時にたくさん充電する制御に対応したもの。鉛バッテリーは急速充電が苦手だが、充電特性(受け入れ性という)を改良したものだ。

 アイドリングストップ用は、エンジン再始動の繰り返しでの負担に対応するため、通常より極板や内部の成分を強化したもので、放電気味で放置される状況(寿命に影響)に強いのも特徴である。

搭載方向を選ばないドライバッテリー

 構造上のバリエーションでは、「ドライバッテリー」というタイプがある。こちらは、希硫酸をグラスマットなどの布状シートにしみこませたものを電極で挟み込んだ仕組み。アフター品では「オプティマ」や「オデッセイ」といったメーカー品が有名だ。オプティマでは電極とグラスマットをバームクーヘンみたいに巻き付けてある構造。こういったバッテリーは始動性能が高く寿命が長いほか、密閉式なので横向き搭載できるメリットがある。

 また、最近の輸入車ではメーカー純正品でも「AGM(もとをたどればドライバッテリーの正式名称らしい)」の搭載車が増えている。AGMというのは”アブソーブド・グラス・マット”の略で構造的にもメリットがある。

 というのも、通常の液入りの鉛タイプだと電極部は液にドップリと浸かっていなければならないので、バッテリー箱よりも電極部は低めにしておかなくてはならない。また、充放電で電極と電解液の間で電子をやり取りするときに、電解液の濃度が上下で違ってくることがある。

 その点AGMでは、同じ外形サイズでも電極高さを目いっぱい取ることができるし、電解液をしみこませてあるので濃度ムラが出にくく電子のやり取りも行ないやすい。そのため、外寸は同じでも大容量化が可能となるのだ。

 そのほか、輸入車では非常時のバックアップ用としてサブバッテリーを搭載するケースがあり、ここにも小型のAGMが採用されていてキャビン内へ設置されている車種もある。

 ドライバッテリーでの注意点は補充電に関するもの。ドライバッテリーは充電時に出るガスを内部で処理しているが、設定電圧を超える過充電を行なうと、極板を傷めたり安全弁からガス噴出することがある。このため、指定の電圧(14.5V程度)を超えない制御を行なうための充電器を使う必要がある。

軽量コンパクトでハイパワーなリチウムイオン

 鉛バッテリー以外の次世代型12V系バッテリーでは「リチウムイオンバッテリー」も存在感を増してきている。すでに二輪車の一部は搭載しており、ハーレーダビッドソンではアクセサリー扱いでラインアップがあるほど。4輪でもロータスやアストンマーチンの限定車で搭載例があるし、モータースポーツ向けの軽量化パーツとしても定着してきている。

 特徴は、充放電性能や容量が大きくて長寿命。軽量化の効果では同クラスの鉛バッテリーに対して3分の1~5分の1の質量となる。安全性に関しても「Le-FePO4」というタイプなので、一時期スマホなどのモバイルデバイスで問題となった発火事故の恐れも極めて少ない。

 このように性能面では非常に魅力的だが、レアメタルを使うことなどから値段が高く、使い方や充電管理も特有なものになっている。例えば寒冷時にはスリープしたような状態になりスターターが回りづらくなることがあるので、あらかじめライトなどを点灯させて発熱させる「活性化」という儀式が必要なこともある。充電も13.8~14.6Vに制御しなくてはならないので、対応した充電器で行うことが必要で、バッテリー上がり時にジャンプスタートができないといった点など、多少取扱には注意が必要だ。

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みんなのコメント

5件
  • バッテリーは、冬場(二月)なら三日に一度程度、10分程エンジン掛ける、すると、バッテリー上がらない、めんどくさいが、そうしてる、二年以上使用のバッテリーです、週一、ちょい乗り程度です。
  • カオス、大容量バッテリーが、推奨かな。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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