この記事をまとめると
■いま見るとダサいと思われてしまう走り屋がこぞってやっていた行為を5つ紹介
趣味で「ドリフト走行」をやってみたい! ゼロからの挑戦は何をどうすればいいのか?
■キャブレター時代とは違い、電子制御で動いている現代のクルマには意味がない行為が多い
■レーシングカーと一般車両で全然違うので、同じ行為をしても効果が出ることは少ない
走り屋あるあるだった「時代遅れ」なワザたち
夜な夜な峠のひと区間をチューニング車両が埋め尽くしていた一時期から見ると、いまはだいぶ数が減ったなと思う今日この頃です。筆者も見学や取材でそういう現場に訪れて、走りに対する熱い想いに触れたりしていましたが、その賑わいは今は昔。アニメでは某ハチロクのマンガが変わらず人気ですが、「お、走り屋だ!」という雰囲気のクルマ自体を見かける機会がグッと減りました。
少し当時を振り返ってみながら、走りに挑む熱い人たちがそうとは知らずになんとなくやっていた「じつはあんまり効果がないかもしれないんですよ」という行為に焦点を当てて話してみましょう。
■エンジンを切る前の空吹かし
いまではボタンでエンジンON/OFFを行う方式が主流になっているのでほぼ絶滅してしまった感がありますが、30年くらい前まではこのエンジンを切る前に鋭くアクセルをひと吹かしするというのがクセになっていたという人もけっこういました。
そもそもこの行為は、昔のキャブレター時代の慣習の名残なので、インジェクションが当たり前になっていた30年前の時点ですでに意味がない行為だったんですが、おそらく先輩方から教えられ、行っているところを見て「なんかカッコイイな」と思ってマネをしたというケースも少なくないでしょう。
キャブレターの時代は、アクセル開度少なめでゆっくり走っていると、燃焼室にカーボンなどの堆積が起こりやすかったため、「エンジンを切る前に回転を上げてやることで少しでもその堆積物を排出させて、次の始動時の着火をしやすい状態にしておく」という狙いがあったのですが、インジェクションになり低回転の燃調が適切になったので、空吹かしの必要はほぼなくなりました。
ただ、コーナーをギリギリに攻めた走りでエンドルフィンが増し増しになった状態で待機所に戻ってきてエンジンを切るときに、「これで終了!」という区切りを付ける意味合いでは、意味はないと知りつつも、つい行いたくなるという心理は共感できます。武道の試合後の「礼」のようなものかもしれないですね。
■プラグの焼けを確認する
このプラグの焼けを確認するという行為も数十年前にはよく見かけました。ボンネットを開けてプラグを外し、その焼け具合を見て「しっかり燃えてるな」なんて、エンジンの燃焼の調子を見る基準としているシーンがちょいちょいありました。
これについても、この確認作業が有効だったのはキャブレター時代のことです。エンジンのチューニングの手段のひとつとして、キャブレター交換や調整が実際の速さに繋がったので、現場で燃調を確認することが最後のツメとして重要だとされていました。カーボンで真っ黒なのは問題外として、レスポンスを上げるため燃料を絞りすぎて白焼けしていると「あ、ヤバいな」と、燃焼状態の確認にはなっていたと思います。
ただこれも、アクセルをガンガン開けた直後ならともかく、戻る途中のアクセル開度が少ない区間では、確認したいメイン系ではなくスロー系の燃調の状態での走行になるため、たとえキャブだとしても、焼けの確認の精度はかなり曖昧です。
そしてこれも、インジェクションではほとんど意味がない行為です。まれに度数の高いカムを入れた高回転重視のチューニングが施されたエンジンで、ECUも専用の社外品でイチからマッピングされたモノだったりすると話は違いますが、純正のECUなら焼けの確認の必要はないでしょう。
レースシーンではお馴染みのワザも一般車では意味なし!
■タイヤ表面を触って温度を確かめる
走り屋にとってタイヤのグリップは最重要項目のひとつなので、その状態には常に気を配っているのが当たり前です。なかには走りの途中でピット(待機場所)に戻ってきてすぐタイヤに触れてその状態を確認している姿もちょいちょい見かけますが、あのタイヤを触る行為については、あんまり意味がないようです。
タイヤを触る目的の第一は、表面の温度を確認してしっかりタイヤを使って走れているか、あるいはタイヤ表面の温度ムラを見て脚のアライメントが合っているかなどの確認だと思います。
しかし、タイヤの表面温度はその状況ごとに刻一刻と変化しています。コーナーを攻めてすぐピットインして確認するとしても、間の助走区間の路面温度に影響されて状態が変わってしまいますので、変化を察知する情報としてはなかなかに怪しいと言わざるを得ません。
また、タイヤを触る人間の手の感覚もけっこうアテにならないんです。触る前の手の温度で左右されますし、温度の記憶の保持も曖昧なので、「さっきの走りのときより温度が高いな」という感覚も頼りにならないことがほとんどでしょう。まれに感覚が優れた人で、実際の走りの温度と誤差の少ない認識を持っている人もいますが、それは純粋に温度だけの情報だけでなく、タイヤにかかる負荷の感覚などを踏まえて判断しているせいだと思われます。
■走り出した直後の蛇行運転(ウェービング)
F1を始めとする有名なレースでは、いまでもウォーミングラップでタイヤを温めるためとして「ウェービング(左右に蛇行を繰り返すこと)」がおこなわれているのを見かけます。これが印象に残っていて、タイヤを温めるための方法としてストリートでも定着している感がありますが、一般の車両であの行為は思ったほどの効果はないんです。
フォーミュラやLMPマシンを始めとするサーキット専用車に履かれる「スリックタイヤ」は、市販のラジアルタイヤとは異なるゴム(コンパウンド)で作られていますので、暖まり方とその温度によるグリップ力の変化がかなり大きいのが特徴です。レーシング領域で最大のグリップ性能を発揮させる設計のため、常温以下ではグリップ力が市販のラジアルタイヤより低いレベルとなっているんです。
逆に市販のラジアルタイヤは、常温を中心にマイナスの気温でもグリップ力を発揮出来るように設計されています。たしかにゴムの性質上、温度が高ければコンパウンドが柔らかくなってグリップ力が増す性質はありますが、その変化量はスリックタイヤに比べるとだいぶ小さいものです。ちなみに夏場など温度が高い季節の激しい走行では、限界温度を超えると剥離などのトラブルが発生する可能性もあります。
これについても、本気アタックの前に集中力を高めるための「儀式」としてなら有効だと思いますが、タイヤの温度に関しては、ラジアルタイヤを峠で蛇行させた程度では思ったようには上がりませんので、「温めたからOK!」と過信しないほうがいいでしょう。
■コーナー進入時の“当て舵”
街なかで路地に入るときや少し手前に折れた鋭角な道に入るときなどの小まわりな転回のとき、クルマの頭を一度逆側に振ってグイッと曲がっていく人をよく見かけます。
あれは曲がるための半径を大きくすることで、向きを変える補助としておこなっているのだと思います。それと同じ感覚なのかは不明ですが、ヘアピンへの進入でわずかに逆ハンを切ってから曲がる人をときどき見かけます。あれ、タイヤのグリップを最大限に使って曲がるという意味においては逆効果なんです。
コーナーの進入時のタイヤの接地面は、ブレーキングの縦の負荷と、コーナーに切り込むためのねじる力の両方を支えています。ブレーキから転回に移行するときに縦とねじれの負荷をスムースに切り替えていくのが理想ですが、ここで余計な躁舵を加えると、グリップのリソースをそれに割かれてしまうので、限界のグリップからは離れてしまいます。
たまに上級者で、荷重移動のために当て舵を活用する人もいますが、あれはグリップの限界と車両の挙動を踏まえた上でおこなっているものなので、クセで当て舵を行っている人は、速く走るためには矯正したほうがいいでしょう。
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みんなのコメント
いつもの無理やりこじ付けっぽいひねり出したようなネタ
ごくろーさん