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ランボルギーニ・ムルシエラゴ、フェラーリ575 M、アストン マーティン・ヴァンキッシュ V12気筒乗り比べ 後編

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ランボルギーニ・ムルシエラゴ、フェラーリ575 M、アストン マーティン・ヴァンキッシュ V12気筒乗り比べ 後編

機能的な車内に3台でベストな運転姿勢

フェラーリ575 M マラネロの祖先に当たる550 マラネロは、1973年の365 GTB以来となる、V型12気筒エンジンのFR 2シーターモデル。ブランドとして、現代へのターニングポイントの1つとなった。

【画像】V型12気筒の高性能モデル ヴァンキッシュ Sに575 M マラネロ、ムルシエラゴ 全48枚

それまでのフェラーリは、ランボルギーニ・ムルシエラゴのライバルのようなミドシップ・スーパーカーへ注力していた。だが競争が一息ついた頃、同社の礎を築いたフロントエンジンのグランドツアラー復活を考えたのだ。

575 Mのボディはアルミニウム製。その内側には鋼管スペースフレームが組まれている。V12エンジンは、550の5.5Lから5.7Lへ排気量を拡大。最高出力515ps、最大トルク59.8kg-mを獲得している。

3ペダルの6速MTも選択できたが、このクルマには華奢なスティックで操作するF1マチック、オートメーテッドMTが載っている。1999年から2004年までF1連続優勝をフェラーリはシューマッハと遂げており、それを記念するプレートもあしらわれている。

インテリアも550から進化している。ブラック・レザーに包まれると驚くほどドイツ車的に見えるが、機能的。艶のある表皮には張りがあり、無駄がない。

バケットシートのシェルはカーボン製。快適な座り心地で、しっかり身体を支持してくれる。ダッシュボードの造形やクロノグラフのように精巧なタコメーター、ステアリングホイールの形状まで、寸分のスキもない。

アストン マーティン・ヴァンキッシュ Sの車内を、リラックスしたリビングのように感じさせてしまう。運転姿勢も3台では最高。座面は低く、ペダルの位置も理想的。視界も広い。

違いが明確なハンドリングGTCパッケージ

エレガントなルックスでありながら、全長は4550mmと意外に短い。並べてみると、短いホイールベースが一層際立つ。フロントのオーバーハングは長いが、俊敏な反応は見た目からも想像できる。

ところが575 Mは、たるんだ550だと、新車当時は辛口の評価を受けた。そこでフェラーリは、より積極的なドライバー向けにフィオラノ・パッケージを設定。2215ポンドとの対価として、操縦性をアップグレードした。

今回の真っ赤な575 Mへは、2004年に導入されたハンドリングGTCパッケージが組まれている。1万6450ポンドの追加で、15mm低く、フロントが33%、リアが15%硬いサスペンション・スプリングと、ザックス社製のアダプティブダンパーを装備できた。

リアのアンチロールバーは75%も引き締められ、エンツォ譲りのブレンボ社製カーボンセラミック・ブレーキも搭載。フィオラノ・パッケージと同様にECUも専用。パワーステアリングのアシスト量も弱めてある。19インチ・ホイールが足もとを飾る。

筆者は標準の575 Mをサーキットで試乗したことがあるが、ハンドリングGTCパッケージの違いは非常に明確。柔らかいリアの動きやスポンジーなブレーキペダルの感触が改められ、扱う自信や精度が高められている。公道でもその効果は明らか。

V12エンジンは、ランボルギーニほど興奮を誘うものではなく、アストン マーティンほどたくましくもない。それでも、フェラーリらしい訴求力が濃い。甲高いノイズを伴い、アクセルレスポンスは充分タイト。メカニカルな質感だ。

親しみやすさと安定性、自由度の高い操縦性

そして目を剥くほどに速い。1速と2速のギアは、ムルシエラゴやヴァンキッシュ Sよりクロースしており、パドルを弾いても変化は小さい。3速へ入れると、ストロークの長いアクセルペダルを味わいながら、回転上昇も堪能できる。

低回転域でも扱いやすく、柔軟で粘り強い。4000rpmを超えるとパワーの波が1段高まり、レブリミットまで激しさを増し続ける。

オートメーテッドMTは、機械任せでは少し荒っぽくギアをつなぐが、変速の瞬間にアクセルペダルを戻せばいい。さらにスポーツ・モードのボタンを押せば一気に改善するから、不満は殆どないだろう。

このモードでは、アダプティブダンパーも引き締まる。シフトショックへも反応し、ボディを安定させようと務めてくれる。乗り心地は硬くなるけれど。

乗り比べると、575 Mが今回のなかで最もバランスが取れている。公道でパフォーマンスを展開しやすく、不安感なくハイペースで運転できる。

ブレーキペダルは踏んだ瞬間から張りを感じ、モンスター級の制動力を調整しやすい。ステアリングホイールは情報量が豊富で、重み付けも素晴らしい。ホイールベースが短く、軽量なスポーツカーのように小気味よく回頭する。

挙動は漸進的で予測が容易。優れたシャシーバランスで、オーバーステアへも持ち込みやすい。スポーツ・モードのトラクションコントロールは、カウンターステアを当てた姿勢も許容してくれる。

親しみやすさと安定性、自由度の高い操縦性が、575 Mを輝かせている。コーナーへ速く侵入しても、慌てる必要はない。

選択肢として非常に幅のあるV12の3台

大排気量のV型12気筒エンジンを搭載した3台は、いずれもが個性派。高性能モデルとして、非常に幅がある。

最もグランドツアラー的なアストン マーティン・ヴァンキッシュ Sは、見た目も音響もゴージャス。シャープな印象も持ち合わせ、洗練されたモデルとしての目標を見事に達成している。

フェラーリ575 Mは幅広い才能を備えた、楽しさの塊。現在の価格価値も非常に優秀で、ベースの575 Mなら英国では7万ポンド(約1064万円)程度で入手が可能だ。ドイツのアウトバーンを走らせれば、320km/hを超えるスピードも体験できる。

マルチなスーパーカーをお探しなら、フェラーリ575 M マラネロとなるだろう。だが、夢のコレクションとして選ぶなら、筆者は最も極端な例へ進みたい。特別な休日を、壮観なランボルギーニ・ムルシエラゴで満たしたいと思う。

V型12気筒の高性能モデル 3台のスペック

アストン マーティン・ヴァンキッシュ S(2001~2007年/英国仕様)

英国価格:19万5950ポンド(新車時)/9万ポンド(約1368万円)以下(現在)
生産台数:1492台(ヴァンキッシュ)/1086台(ヴァンキッシュ S)
全長:4665mm
全幅:1923mm
全高:1318mm
最高速度:320km/h
0-97km/h加速:4.8秒
燃費:5.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1875kg
パワートレイン:V型12気筒5935cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:527ps/7000rpm
最大トルク:58.7kg-m/5800rpm
ギアボックス:6速マニュアル

ランボルギーニ・ムルシエラゴ(2001~2010年/英国仕様)

英国価格:17万38ポンド(新車時)/14万ポンド(約2128万円)以下(現在)
生産台数:4099台
全長:4580mm
全幅:2045mm
全高:1135mm
最高速度:329km/h以上
0-97km/h加速:3.8秒
燃費:4.3km/L
CO2排出量:−
車両重量:1650kg
パワートレイン:V型12気筒6192cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:580ps/7500rpm
最大トルク:66.1kg-m/5400rpm
ギアボックス:6速マニュアル

フェラーリ575 M マラネロ(2002~2006年/英国仕様)

英国価格:16万3200ポンド(新車時)/7万ポンド(約1064万円)以下(現在)
生産台数:2056台
全長:4550mm
全幅:1935mm
全高:1277mm
最高速度:326km/h
0-97km/h加速:4.2秒
燃費:4.6km/L
CO2排出量:−
車両重量:1730kg
パワートレイン:V型12気筒5748cc自然吸気
使用燃料:ガソリン
最高出力:515ps/7200rpm
最大トルク:59.8kg-m/5250rpm
ギアボックス:6速オートメーテッド・マニュアル

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