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黄旗違反の裁定に「今後はアクセルを戻すしかない」と可夢偉。厳しくなる性能調整は「そろそろ諦めて」/WEC富士

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黄旗違反の裁定に「今後はアクセルを戻すしかない」と可夢偉。厳しくなる性能調整は「そろそろ諦めて」/WEC富士

 9月12日、翌日より走行が始まるWEC世界耐久選手権第7戦富士6時間レースを前に、静岡県の富士スピードウェイでは各チームが急ピッチで準備を進めていた。この日からは、参戦するドライバーも次々と富士入りし、午後にはトラックウォーク(コース下見)なども行われている。

 ここでは、地元戦を迎えるトヨタGAZOO Racingの中嶋一貴TGR-E副会長、そしてチーム代表兼7号車ドライバーの小林可夢偉に、前戦オースティンでの一件や、富士戦に向けた展望を聞いた。

小林可夢偉へのペナルティは「奇妙」とコンウェイ。「直線でアクセルを戻すだなんて……」/WEC第6戦

■「ドライバーもエンジニアも鍛えられている」と一貴副会長

 9月1日の第6戦オースティン(サーキット・オブ・ジ・アメリカズ=COTA)を終え、トヨタはマニュファクチャラーズランキングでは首位、ドライバーズランキングでは、首位の6号車ポルシェ963(ケビン・エストーレ/アンドレ・ロッテラー/ローレンス・ファントール)を7号車GR010ハイブリッドの可夢偉とニック・デ・フリースが12ポイント差で追っている状態で、ラスト2戦へと突入する。

 今季ここまでの戦いを一貴副会長は、「7号車はシリーズを通して、すごく安定した戦いをできていると思います」と評する。

「予選でいいところにつけているのがすごく大きく、そのポジションの良さを決勝レースでも活かして戦えているかと思います」

「(第5戦)ブラジルではちょっとしたトラブルが出てしまい、オースティンもペナルティで優勝を逃してしまうなど、ちょっと取りこぼしているところもあるので、そのあたりチームとして見直すべきところは見直していかなくてはいけません」

 オースティンのペナルティとは、予選9番手から首位まで追い上げを見せた7号車が、終盤可夢偉のドライブ中、「黄旗が掲示されたときにドライバーが速度を落とさなかった」として、残り45分のところでドライブスルーが科せられた一件だ。

 黄旗区間が低速コーナー脱出後の直線=アクセル全開区間だったことや、ペナルティの対象となったのがランキング首位を争う7号車トヨタと6号車ポルシェのみだったことなどから、レース後には一部で議論を呼ぶ裁定となった。

 これについて一貴副会長は「ルールに書いてあることを正確に解釈をすると、我々のなかで改善すべきことがあったのは事実。そういう事態にならないように、自分たちの身を守るしかありません」としながらも、「走行していた30何台のマシンのドライバーが全員スローダウンしていたかというと……分かりませんが、あまり現実的な話ではないな、という感じもします」と首を傾げる。

「とはいえ、『ルールにはそう(原則しろと)書いてある』と言われてしまえばそのとおりなので、そういう判断をされないようなオペレーションをしていくしかないですね」

 ペナルティを受けるまでの決勝の展開を「流れとしては、ほぼベスト」と振り返る可夢偉当人も、減速が不十分だったという裁定には「『なんのこと?』でしかないです。まぁ『神様には逆らえない』ってことですね」とやるせない表情を見せる。

「そもそも、『どれだけ減速すればいいの?』という議論は昔からありますが、数字では示されてないんですよね。僕らも、予選などでは、黄旗が入っているセクターではベストを出さないように、ということはしています」

「レース中に関しては、イエロー区間で、そこがコーナーだったら全開で走らないです。でもあれは直線なんですよね。直線で、(トラブルが出た)クルマが明らかに止まっているのは見えていて、止まっているのはコース外だし、その先にはグリーンも見えているという状況で普通に全開で駆け抜けたら、『アクセルオフしていないからダメ』という状況です」

 オースティンのレース後は、とくにレースコントロールに呼び出されたりもせず、競技団とはこの一件に関するコミュニケーションは現在までないという。可夢偉も「とにかく安全第一なので、アクセルを抜くしかない」と再発防止策を語らざるを得ない状況となった。

 同時にトヨタは、第5戦サンパウロでの8号車の優勝、オースティンでの7号車の追い上げなどの好パフォーマンスを受け、富士に向けた新たなBoP(性能調整)では重量増・出力削減という、さらに厳しい状況に置かれている。

 一貴副会長は「ライバルとの競争力においてどんどんアドバンテージがなくなっていくなかでも、最大限のパフォーマンスを発揮できているのではないかと思います」と今年チームが成し遂げてきたことには満足感を表明しており、可夢偉も富士に向けては「厳しいとは思いますが、頑張ります」と控えめに語る。

「これだけBoPに差をつけて、僕らが勝っちゃったら、それはもうとんでもないことですよ。この直線が長い富士で、あのパワーはちょっと……スゴイなって。(より厳しいBoPを科すことを)『そろそろ諦めてよ!』って思いますね(苦笑)。BoPがルールなのは分かりますが、『いい仕事してるな』って素直に認めてくれればいいのに」(可夢偉)

「BoPルールのレースは、そもそも毎回勝つことの方が難しい。逆境だからこそ、より自分たちもレベルを上げられるように……本当に重箱の隅の隅まで、もう米粒のかけらのようなところまで改善していくという意味では、本当にドライバーもエンジニアも鍛えられていると思います。それをなんとか結果につなげたいですね」(一貴副会長)

 なお、富士で予想されるタイヤのデグラデーションは「COTAより厳しいのでは」と可夢偉。タイヤマネジメントやピット作業の速さ、戦略などで緻密に勝ち残る──いつもどおりの“チリツモ”が、富士スピードウェイでの『10勝目』達成、そしてタイトルに近づくカギとなりそうだ。

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みんなのコメント

1件
  • そにー製パスタ
    正確には違うけどもはや擬似的なサクセスウエイトになりつつあるBoP。
    傾向的には重くなればパワーゲインをプラスにして貰えるのかな?
    直線や高速コーナーを上手く利用するしかないのか。
    ストップ&ゴータイプのコースとどんどん相性が悪くなっていくのは仕方ないか。
    このままだとまたバーレーンキッツイなぁ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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