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「いいとこどり」のPHV車 いつか燃料代でモトは取れるか検証…無理でした!!

掲載 更新 20
「いいとこどり」のPHV車 いつか燃料代でモトは取れるか検証…無理でした!!

 通勤はEV走行のみで移動、週末、遠出する際はEV走行とガソリンを使ったハイブリッド走行で、といった使い方だってできる、プラグインハイブリッド車。まさに、「BEVとハイブリッド車のいいとこどり」といった感じで、「欲しいな」と思っている方は多いかもしれない。

 しかし、元リーフオーナーの筆者としては、プラグインハイブリッド車は、充電しなくても走ることができるため、いずれ充電が面倒くさくなって充電を全くせずに使う人も出てくるのでは…と、考えてしまう。では、プラグインハイブリッド車を充電せずに使ったとき、どのくらい損をすることになるのだろうか。

極悪燃費 最高に燃費のいいSUV選手権 燃費のベストワーストSUVはどれだ?

文:吉川賢一
写真:TOYOYA、BMW、Mercedes-Benz、VW、MITSUBISHI、HONDA

【画像ギャラリー】実はこんなにある!! 主要なプラグインハイブリッド車をギャラリーでチェック!!

充電ゼロでも、ハイブリッド車より低燃費

 ハイブリッド車に対し、容量の大きな動力用バッテリーを積むプラグインハイブリッド車は、ハイブリッド車よりも車両重量が増えるのは間違いない。

 今回は事例として、トヨタRAV4を取り上げる。RAV4には、2.0リッター純ガソリンモデルのほか、2.5リッターのハイブリッドモデル、そして2.5リッターのプラグインハイブリッドモデルの3種がある。どれも4WDかつ中間グレードの「G」を例にとり、比較をした。

長らく受注停止していたRAV4 PHVだったが、ようやく受注再開となった(2021年3月11日時点)

 ガソリン車(G/4WD)の車両重量は1590kg、ハイブリッド車(G/e-Four)は1690kg、プラグインハイブリッド車(G/E-Four)は1860kgにもなり、プラグインハイブリッド車はハイブリッド車と比べ、プラス170kgにもなる。

 しかし、WLTCモード燃費(PHVはハイブリッド燃料消費率を参照)を比較すると、総合、市街地、郊外、高速のいずれも、ハイブリッド車よりもプラグインハイブリッド車の方が0.6~2.0km/Lほど有利となっている。

RAV4のガソリン車、ハイブリッド車、プラグインハイブリッド車の諸元の比較 どれも4WDのGグレードで比較した

 170kgもの車重増加があるとはいえ、アクセルオフやブレーキで減速する度にエンジンオフとなり、回生充電モードへと入るため、充電容量に余裕のあるプラグインハイブリッド車の方がより電力を蓄えられる(電動走行が増える)のだ。つまり、RAV4の事例だと、プラグインハイブリッド車の燃費が、ハイブリッド車よりも悪化することはない、というのが数字からいえる結論だ。

 「なんだ、それならば充電せずに走っていても、大丈夫じゃないか。」と思うかもしれないが、確実に「損」はしている。プラグインハイブリッド車ならではの、ダイナミックパフォーマンス(動性能)、そして「燃費では回収しきれない車両価格」だ。

WLTCモード燃費を比較すると、総合、市街地、郊外、高速のいずれも、ハイブリッド車よりもプラグインハイブリッド車の方が、0.6~2.0km/Lほど有利だ

プラグインハイブリッド車に経済性を求めてはいけない

 自宅に充電設備のある方であれば、それほど問題ないかもしれないが、マンションなどにお住まいの方であれば、BEVやプラグインハイブリッド車の充電は、街中にある充電ステーションを頼らざるを得ない。

充電待ちの行列や、設備休止などで、充電難民になったことも多い

 そして、この「街中での充電」はかなり面倒くさい。充電ステーションは増えてきたとはいえ、まだまだ限られている。買い物中に充電しておこうとすると、買い物場所は限られてくるし、限られた充電設備ゆえ、「使用中」であることもしばしば。

 また、都心から離れるほどに、急速充電はおろか、普通充電すらも減っていく。旅先で期待して向かった急速充電スポットが、18時以降は使用中止になっていることも多く、筆者も充電難民に何度なったことか…(管理人がカギで充電ソケットの入ったボックスのロックを外すアナログなシステムだった)。

 RAV4 PHVの車両価格は、対ガソリン車でプラス130万円、対ハイブリッド車で63万円。仮に、年間18000km(月1500km)を走るドライバーの場合、ハイブリッド車での年間の燃料代は約12万円(ハイブリッド車の燃費20.6km/Lを基準※レギュラーガソリン140円/Lで計算)。充電ゼロでのプラグインハイブリッド車(燃費22.2km/L)の燃料代は、約11万3000円。

 充電による電動走行を半分程度するとしても、燃料代は約5.5万円。ハイブリッド車との車両コストの差を埋めるには、10年以上もかかる。月々の燃料費は確実に安くなるが、車両価格が高いため、回収するには、かなり苦労する。

 プラグインハイブリッド車は、ダイナミックパフォーマンスを楽しまないと、まったく割に合わないクルマだ。その証拠に、RAV4 PHVでは、「高出力モーターによる加速力」を、積極的に打ち出している。「経済性」を考えるのならば、そもそもBEVや、ディーゼル車を購入した方が遥かに良い。プラグインハイブリッド車は「電動走行も可能」という大きなメリットはあるが、実は、「ものすごく贅沢なクルマ」なのだ。

クルマから電源を取り、キャンプサイトで遊ぶことも、プラグインハイブリッド車の魅力の一つだ

必ずしも、流れに乗る必要はない

 現在、日本で購入できる、国産プラグインハイブリッド車は、トヨタRAV4 PHV、プリウスPHV、アウトランダーPHEV、エクリプスクロスPHEV、クラリティPHEVだ。輸入車だと、メルセデス、BMW、アウディ、ボルボ、JEEP(レネゲード)、MINIなど、CAFE規制に立ち向かっている欧州メーカーでは、豊富にそろえられている。

 だが我々ユーザーは、その流れにまんまと乗る必要は全くない。クルマを使う環境や、クルマの目的に応じて、最適なモビリティを選べばよいと思う。いまから5リッタークラスの大排気量エンジン車を選ぶのだっていいだろう。

 せっかくクルマを手に入れる機会があるならば、燃費だけにとらわれず、「楽しめるクルマ」を選んでほしい、と筆者は考える。

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みんなのコメント

20件
  • 記事読んだ印象としては純ガソリンモデルが一番良さそうだ。
  • 元を取るためにエコカーに乗るって発想が
    そもそもセコいんですがw
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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