アストンマーチンのオットマー・サフナウアー代表は、ウエットコンディションの中で行なわれたF1第16戦トルコGP決勝を振り返り、ピットストップで唯一スリックタイヤを選択したセバスチャン・ベッテルの判断を信じる他なかったと語った。
レース中盤、ライバル勢がピットでインターミディエイトタイヤに交換する中、10番手を走行していたベッテルにもピットストップタイミングが近づいていることが知らされた。
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レース36周目、路面状態が多少改善したことでスリックタイヤの投入を検討したチームは、ベッテルに賭けに出るかどうかを無線で尋ねた。
ベッテルはそれに「ミディアム、ミディアムだ。試してみよう。インターミディエイトタイヤほど酷いタイヤはないよ」と答えた。
チームもこれを承認し、翌37周目にベッテルはピットでスリックのミディアムタイヤに交換した。
しかし、ベッテルはピット出口から加速する時点でマシンコントロールを失いかけ、すぐさま自らの冒した判断ミスに気がつくことになった。アウトラップで2度コースオフを喫し、大幅にタイムロス。スリックタイヤで走行続行は不可能と判断し、インターミディエイトタイヤへ交換するためピットへ戻るも、ピット入口でハーフスピン。タイムロスを重ね、大きく順位を落とすことになった。
最終的にベッテルは、ハースふたりの前、18位でチェッカーフラッグを受けた。
「彼は自分でギャンブルをしたいと言っていたし、我々も彼に『ノー』とは言わなかった」とサフナウアーはmotorsport.comに語った。
「セブ(ベッテルの愛称)は無線で『ドライタイヤがいい。ミディアムタイヤを履かせてくれ』って言ったんだ。我々も彼に反論はしなかったし、彼の言った通りにした。即座に判断したことで、長い時間をかけて彼と話し合ったことではないのだ」
「このように(路面が)乾いていくコンディションでは、ドライバーの判断が重要だと言われている。我々はそれに従ったんだ」
「逆に言えば、通常これはチームが下すべき判断ではあるが、乾いていくコースではドライバーが感じているモノが重要になる」
「ここは普通に乾いていく路面だと思っていたが、実際乾かなかった。予測がとても難しかった」
「(ミディアムタイヤを履いた後)彼はグリップがないことにすぐ気が付き、次のラップでピットインした。ただ、大きくタイムロスすることになった」
トップ10入りの可能性を手放したことに後悔はないかと聞かれたサフナウアーはこう答えた。
「彼を信用しなければならない。そして彼は雨でトリッキーなコンディションを得意としていて、それはまさにその時起きていたことと合致していた」
「彼が『できる』と言ったなら、誰も反論できないだろう。しかし、ウエットコンディションのこのコースは別モノで、普通ではない状況になっていたと思う」
「仮にこの作戦が上手くいって、彼が4位とか表彰台を獲得していたならば、我々は満足していただろう。リスクを負わなければ、何も得られない」
「ただピットストップ回数が1回増えただけではない。ここでのピットロスは20秒程度だが、あの周で30秒もロスをしてしまった。それが致命的だった」
「インターミディエイトタイヤでは、彼はグレイニング(ささくれ摩耗)が出る段階を超えればとても良いラップタイムを記録していた」
一方、ベッテルの僚友ランス・ストロールは9位でチェッカーを受け2ポイントをチームに持ち帰った。
「堅実な良いパフォーマンスだった。レース全体を通じて、良いラップタイムを記録していた。我々は彼を正しいタイミングでピットへ入れることが出来たと思う。ピットでは少し時間がかかってしまったから、最終的に彼がどの順位にいられたかは分からない。サインツ(8位のカルロス・サインツJr.)はグレイニングが起きる段階を抜けるとかなり速かった。だがランスも同様に速かった。良いパフォーマンスだったよ」
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