燃費規制に関する審議会において、重量車(車両総重量3.5トン超、トラック・バス等)の新たな燃費基準に関するとりまとめが行われた。新たな燃費基準案は2025年度を目標年度とし、現行の燃費基準(2015年度目標)と比較して、トラック等は約13.4%の基準強化、バスは約14.3%の基準強化となっている。
経済産業省及び国土交通省が設置した燃費規制に関する審議会(「総合資源エネルギー調査会省エネルギー・新エネルギー分科会省エネルギー小委員会自動車判断基準ワーキンググループ」及び「交通政策審議会陸上交通分科会自動車部会自動車燃費小委員会」合同会議)において、昨年12月より検討してきた「エネルギーの使用の合理化等に関する法律」に基づく重量車の新しい燃費基準案がとりまとめられた。今後、上記とりまとめを踏まえ、経済産業省及び国土交通省において、パブリックコメント等を行い、重量車の新しい燃費基準を策定することとしている。
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【とりまとめ概要】
目標年度:2025年度
新しい燃費基準案(重量車の車両総重量の区分毎にとりまとめられた新しい燃費基準案について、区分毎の2014年度販売実績を基に加重調和平均して算出した値)
<貨物自動車>
・トラック等:8.13km/L(現行の基準と比較して、14.5%の基準強化)
・トラクタ:2.94km/L(同3.7%)
→全体:7.63km/L(同13.4%)
<乗用自動車>
・路線バス:5.01km/L(同5.1%)
・一般バス:7.18km/L(同18.3%)
→全体:6.52km/L(同14.3%)
対象範囲:ディーゼル車
【今後のスケジュール】
平成29年12月 重量車の燃費基準等に関するパブリックコメント
平成30年4月 関係法令の改正(重量車の新しい燃費基準の策定)
新たなエネルギー消費効率測定方法の導入検討
あわせて、エネルギー消費効率について、新たな測定方法の導入が検討されている。報告書によれば、「より走行実態に近い燃費値を自動車ユーザーに提供するという観点から、従来の測定方法で算出した燃費値から新たな測定方法で算出した燃費値への燃費表示の切り替えが早期に行われるべきである。ただし、燃費算出に必要なタイヤの転がり係数の計測に一定の時間を要することから。当面の間は、当該係数が未計測の自動車については、従来の測定方法で算出した燃費値を表示するものとするが、当該係数が計測されたものから順次、新たな測定方法で算出した燃費値を表示することが適当である」としている。
改正項目については、以下のとおり。
1)燃費マップの測定点数の追加
・エンジン回転数の測定点数を6点以上から10点以上にすることで都市内モード、都市間モードにおける算定結果のばらつきを低減させる。
・トルク(ゼロ~全負荷トルクまでの範囲)の測定点数を5点以上とする。
・総測定点数を30点以上(+アイドル1点)から50点以上(+アイドル1点)とすることで、都市内モードにおける算定結果のばらつきを半減させる。
2)空気抵抗、転がり抵抗の実測値の反映によるエネルギー損失の緻密化
・従来の測定方法では重量区分毎に一律値が設定されていたが、車両の実測値を反映させる。
3)走行実態に応じた都市間走行比率、積載・乗車比率の更新
・2015年度に国土交通省で行った走行実態調査の結果に基づき、次のとおり更新する。
4)MT車用変速アルゴリズムの変更
・2013年度から2014年度に国土交通省で行った調査結果に基づき、最低常用エンジン回転速度を下表のとおり変更する。
5)AMT変速マップの設定
・従来の測定方法において、AMT車はMT車と共通の扱いとなっているため、
AMTによる燃費改善効果を反映させるため、1秒ごとのギア位置を算出して燃費算定を行う。
6)回転部分相当質量
・空気抵抗計測を導入する際には、駆動系相当慣性質量を考慮する必要があるため、次式により惰行試験時に使用する駆動系相当慣性質量を算定する。
惰行試験時に使用する駆動系相当慣性質量
=(タイヤの慣性質量+ホイール慣性質量)×1.3
・トランスミッションからタイヤの回転部分相当質量を空車時車両質量の7
%から5%に変更する。
・エンジンからトランスミッションの回転部分相当質量は空車時車両質量の
3%を維持し、ギア比、終減速比、タイヤ動半径を考慮し、下表のとおり設定する。
7)過渡補正係数の設定
・従来の測定方法では、エンジンの過渡特性が考慮されていないことから都市内走行モードの燃費に対し、過渡補正係数3%を適用させる。
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