運営元:旧車王
著者 :木谷 宗義
1990年代 名車&迷車 烈伝 Vol.06 マツダ「ボンゴフレンディ」
1位:トヨタ「ヤリス」16万8557台
2位:トヨタ「カローラ」13万1548台
3位:日産「ノート」11万113台
4位:トヨタ「ルーミー」10万9236台――。
これは、2022年の乗用車新車販売台数ランキングの上位4位(自販連調べ)。
このランキングで注目したいのは「ルーミー」です。
なぜ「ワゴンRワイド」の記事でルーミーを……と思うかもしれませんが、もう少しお付き合いください。
▲ワゴンRワイド(1997年)
実は、このランキングのヤリスとカローラの販売台数には、SUVの「ヤリスクロス」と「カローラクロス」が含まれています。
つまり、「単一ボディで」の販売台数を考えれば、実質的な2022年のトヨタナンバーワンはルーミーなのです。
ルーミーは、「軽自動車ではないハイトワゴン」としてヒットしているわけですが、ここからやっとスズキ車の話へとつながっていきます(お待たせしました)。
何を隠そう、この「軽自動車ではないハイトワゴン」というジャンルを開拓したのは、ルーミーではなく、それよりも早く発売していたスズキ「ソリオ」。
さらに、その源流を辿ると1997年に誕生した「ワゴンRワイド」に行き着くのです!
▲トヨタ ルーミー(2020年)
■ワゴンRを180mmワイドにしたボディ外観からもネーミングからも「ワゴンR」の登録車版だということがよくわかる、ワゴンRワイド。
このクルマが登場した1990年代中盤は多種多様なワゴンが登場した時代で、ホンダのクリエイティブムーバー「ステップワゴン」「S-MX」、トヨタ「ラウム」「カローラスパシオ」、日産「キューブ」、マツダ「デミオ」……と、個性豊かなモデルが続々と生まれていました。
そんな中で、小さなクルマを得意とするスズキが黙っているわけにいかず(と思ったかどうかは定かではありませんが)、大ヒット作となったワゴンRのイメージとメカニズムを用いて、新ジャンルのコンパクトワゴンとして発売したのが、ワゴンRワイドです。
▲初代ワゴンR RR(特別仕様車 1998年)
スタイリングは、その名の通り「ワイドなワゴンR」そのもの。
実際にヘッドライトやフェンダー、ドアといったサイドパネルはワゴンRのものを流用して、ワゴンRのイメージ踏襲と低コストでの開発を上手に両立したといえます。
105mm長くなった全長はバンパー形状によるものですが、車幅はなんと180mmも拡幅され(それでも1575 mm)、軽自動車とはまったく異なるアピアランスに。
さらに、フェンダーモールや幅広のサイドモールを標準装着することで、「アストロ」コンバージョンのようなカスタム感と楽しさを感じさせるスタイリングとしていました。
(バンパーやフェンダーモールが黒の素材色となる低グレード、75.8万円も存在)
▲ワゴンRワイドのインテリア
インパネなどのインテリアデザインも、軽自動車のワゴンRが道具っぽさを全面に押し出した直線的なデザインなのに対し、ワゴンRワイドでは曲線的な乗用車ライクな形状として差別化。
また、登録車のため、4人乗りのワゴンRと異なり、5人乗りとなっているのも特徴です。
プラットフォームは、ワゴンRのものをベースに新規開発したもの。
パワートレインも新開発で、オールアルミの1.0リッターガソリンエンジン(K10A型)を搭載。自然吸気とターボ(リッター100馬力!)、5速MTと4速AT、2WDと4WDが用意されるワイドラインナップでした。
■「ワゴンRワイド」の名は2年で改称へコストとのバランスを図りながら、「コンパクトな5人乗りワゴン」という新ジャンルに挑戦したワゴンRワイド。
実のところ、大ヒットといえるほどの存在にはなりませんでしたが、従来からのスズキユーザーを中心に、一定の販売数を得ることに成功します。
しかし、わずか2年後の1999年フルモデルチェンジ、さらに「ワゴンR+(プラス)」へと名称変更することとなりました。
その理由は、国内視点で見れば、1998年の軽自動車規格の改定により、ワゴンRがフルモデルチェンジを実施したため。
▲ワゴンR+(1999年)
ワゴンRの車幅拡幅(1400mm→1480mmに規格改定)に加え、デザインチェンジと歩調を合わせる必要があったからです。
本家ワゴンRが新しくなったのに、その上級車種が古いままで魅力は半減してしまいます。
もうひとつの理由は、グローバルカーとしての役割を担うようになったこと。
独・オペルと英・ボクスホールで「アギーラ」として、欧州で販売されるようになったのです。
(インド版は軽自動車ベースでスタート)
ワゴンRワイドは、業界再編や業務提携が加速した1990年代の混沌に巻き込まれたクルマ……というとネガティブに聞こえてしまいますが、「ワイドなワゴンR」というサイズ感は欧州で重宝され、別の道を歩んで行くことになったというのが真相でしょう。
▲2代目オペル アギーラ(2008年)
その後、欧州では「スプラッシュ」が誕生し、2代目アギーラはこのスプラッシュがベースとなります。
■わずか1年半でまたまたネーミングチェンジその後、日本国内ではどうなったのか?
なんとワゴンR+はわずか1年半ほどで、またもや名称変更を行います。
2000年12月のマイナーチェンジで、「ワゴンRソリオ」になったのです。
現在まで続く「ソリオ」の名が誕生したのが、このときというわけ。
▲ワゴンRソリオ(2000年)
標準車こそ欧州テイストのデザインが踏襲されましたが、先に軽自動車版ワゴンRに登場していた「RR(ダブルアール)」に似たカスタムテイストのグレードも登場。
(シボレー「クルーズ」という兄弟車も誕生しました)
このカスタム路線のほうが、日本に市場にはあっていたのでしょう。
“ソリオ路線”が中心となり、2005年のマイナーチェンジでワゴンRの冠が取れ、スズキ「ソリオ」が正式名称に。
そして、2010年に現在の細い2本のAピラーと持つソリオが誕生します。
▲ソリオ(2010年)
■20年後を予見した名車性「ワゴンRワイド」→「ワゴンR+」→「ワゴンRソリオ」→「ソリオ」
……と、短いスパンの中でこんなにも名称変更を繰り返した一連の「大きなワゴンR」シリーズは、間違いなく迷車ですが、なかでもわずか2年しか生産されなかった、初代ワゴンRベースのワゴンRワイドは迷車の中の迷車。
でも、こう考えてみるとどうでしょう。
▲ワゴンRワイド マイナーチェンジモデル(1998年)
名前やキャラクターを変え、迷走しながら自らの存在感を追求し続けたという点では、名車とは言えないかもしれません。
ですが、今のルーミーの人気ぶりに見る「小さなハイトワゴン」というコンセプトをいち早くカタチにしたという点で、ワゴンRワゴンに名車性を見出せるのではないでしょうか?
[画像:スズキ / ライター:木谷 宗義]
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