31号車キャデラックのチェッカードライバーを務め、2024年デイトナ24時間レースで2位となったトム・ブロンクビストは、レース終盤に導入されたイエロー・コーションが、アクション・エクスプレス・レーシング(AXR)にあった勝利の可能性を終わらせた、と考えている。同時に、その機会をフル活用して勝利を挙げたポルシェ陣営を「本当に素晴らしかった」と称賛した。
■「ダブルスティントの際にもっとタイヤをケアしていれば……」
「本当にきつかった」ポルシェ963の最終盤。フェリペ・ナッセが達成した困難な任務/デイトナ24時間
ブロンクビストはピポ・デラーニ、ジャック・エイトケンとのトリオでウェーレン・エンジニアリングがスポンサードするAXR31号車キャデラックVシリーズ.Rをドライブ。ポールポジションからスタートした決勝では、283周にわたってリードを築いていた。
しかし、残り1時間を切ったところでGTDクラスの12号車レクサスRC F GT3に火災が発生。このためイエローコーションが導入され、その最中の最終ピットストップでポルシェ・ペンスキー・モータースポーツの7号車ポルシェ963に逆転を喫し、首位から陥落した。
その後再開されたレースでは7号車を追うも届かず、最後は2.112秒差で惜敗することとなった。
「行ったり来たりのレースだった。(6号車と7号車の)どちらかのポルシェとの間で常にレースが行われていたような気がするけど、結果的には7号車が相手だった」とブロンクビストはレースを振り返った。
「彼らはしばしば、本当に速かった。 僕らが速いときもあった」
「終わって振り返ってみると、僕らはおそらくダブルスティントでタイヤをもっとケアしていれば、もう少し良くなったかもしれないと思う」
「そして、彼らはリスタートで本当に強かった。とくに少し涼しかった夜、トラック上に最高のラバーがのっていたときはね」
残り3時間というところでマシンに乗り込んだブロンクビストは、約10秒前をいく7号車ポルシェとの間合いを詰めていった。
「最後の数スティントに勝負はかかっていた。徐々に距離を縮めていき、なんとかギャップを詰めることができた。彼らをアンダーカットするため、僕らは早めにピットストップすることにした」
「それは実際のところうまくいかなかったけど、コース上でなんとか(オーバーテイクを)することができた」
「全体的な目標は、次のストップでは(給油)時間をもう少しとるつもりだったので、ギャップを作る必要があるということだった」
■イエロー中の一斉ピットで“選択肢”が消滅
7号車ポルシェよりもわずかに多くのエネルギーを必要としたブロンクビストは、最終ピット後にフェリペ・ナッセの後塵を拝することとなった。
残り32分でグリーンフラッグを迎えたものの、フィニッシュラインまでの戦いでは、より速いクルマの利点を活かすことができなかった。
「残念ながら、あのイエローのせいで僕らのチャンスは完全に終わってしまった」とブロンクビスト。
「とくにイエローが出て(一斉に)ピットレーンに向かうことになったから、たとえば後ろのクルマに対して早めに反応してピットに入るといった選択肢が取れなくなった」
「それは僕らを本当に台無しにした。あのイエローが出ていなければ、もう少し近づいていたと思う。レース終盤には、僕らにペースのアドバンテージがあったからだ。ただ、追い抜くのはとても難しかった」
「ポルシェはストレートで本当に強かった。僕らはインフィールドで本当に良かった」
「意味のあるものにするのは難しかった。トラフィックという観点では、レース終盤ということでそこまで多くの台数があったわけではないし、チャンスを見つけることができなかったんだ」
「最終的にはフェリペがそこ(トップ)にいた、ということだ。彼は数メートルだけワイドになるという小さなミスのようなものをしたと思うけど、それ以外にチャンスはなかった」
「彼らには脱帽だ。彼らは本当に素晴らしかった」
昨年までアキュラ陣営からエントリーし、個人として3年連続の総合優勝を目指していたブロンクビストは、キャデラックがBoP(性能調整)の面で若干不利な状況にあった可能性があることを示唆している。
「燃料消費量という点では、使用するエネルギーの量がもっとも少なかったと思う」と彼は言う。
「僕らのクルマは最軽量ではあったけど、(エネルギーの)量は一番少なかった」
「おそらく彼ら(ポルシェ)はその点では少し優れていたし、実際にコース上で前に出る機会を作り出すために早めにストップするという点では、僕らの方が賭けに出ていた」
「トラック・ポジションで優位に立てれば、それを維持する方法を考えればいいから、常に簡単なものとなる」
「彼らは、自分たちが持っているものを最大限に活用したんだ」
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