■日産のターボ「VCターボエンジン」がスゴイ
日産は「エクストレイルe-POWER」にVCターボエンジンを発電機として搭載しています。このVCターボエンジンとはどういうものでしょう。実はエンジニアが夢見る理想的なエンジンなのです。
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VCとは“バリアブルコンプレッション”の意味。直訳すると“可変圧縮”ですね。まさにその通りで、圧縮比を変化させるエンジンがこのVCターボエンジンなのです。
エンジンはピストンがシリンダーのなかを上下に動き、燃料と空気が混ざった混合気を爆発させて動きます。このシリンダーの内径(ボア)面積と行程(ストローク)と気筒数を掛け合わせたものが排気量です。
例えば内径94.0mm、行程86.0mmで4気筒のエンジンだとすれば、ボア半径×ボア半径×3.14(円周率)×行程の式で1気筒あたりのシリンダー容積を求めてから、気筒数を乗算します。数式では(94.0mm÷2)×(94.0mm÷2)×円周率3.14×86.0mm×4気筒=2386073.4立方ミリメートル≒2386ccとなります。
では圧縮比とは何でしょうか。それはピストンが吸い込んだ混合気(ガソリンと空気)をどれくらいピストンの上死点(ピストンが一番上まで来たときの空間つまり燃焼室容量といいます)で圧縮させるかというものです。
数式では、(1気筒あたりの排気量+燃焼室容積)÷燃焼室容積で求めます。つまり圧縮比が高いほどその容積が小さいことになります。
ものすごく端折っていうと、容積が小さいとそれだけ爆発したときの反発が大きくなると考えるとわかりやすいですね。しかし、圧縮比をあげると熱効率(簡単にいうと反発)は上がりますが、高回転時では混合気が熱くなりすぎて、点火プラグによる着火前に部分的に爆発が生じてしまうことがあります。
これをノッキングといい、大きな振動が起きるなどで、最悪エンジンを壊してしまいます。通常では14:1くらいが上限といわれています。
一方、圧縮比が低いとパワーは減ります。しかし、圧縮が低いぶん燃焼室の容積が広くなりますから、最も効率の良いところで着火させることができるので燃費が向上するというメリットがあります。
また高圧縮エンジンでは爆発したときにピストンを押し下げる力が強いぶん、上がってくるときの抵抗も大きくなるので、その分のロスが発生しますが、低圧縮ではそれもありませんし、当然エンジンの強度も高圧縮ほど高くする必要もないのです。
このように高圧縮と低圧縮にはそれぞれメリットとデメリットが存在します。それらを両立したのが日産のVCターボなのです。ターボとセットにすることで、ノッキングが起きにくい低中回転時には高圧縮比で、高回転時には圧縮比を下げてターボの過給圧を確保して馬力とトルクを確保しているのです。
これまでVCが採用されてこなかったのはなぜでしょう。従来のエンジンは、ピストンとクランクシャフト(ピストンの下に生えている足のようなもの)が直接コンロッド(ピストンを上下させるもの)でつながる構造のため、圧縮比を変えることはできません。
しかしVCターボエンジンは、コンロッドに替えてマルチリンク機構を採用することで、ピストンとクランクシャフトの間の距離をモーターによって変化させているのです。
そうすることで圧縮比、つまりピストンの上死点での空間スペースを変えることができたのです。結果として8:1から14:1にまで圧縮比を変化させることに成功。日産によると排気量では1.5リッターから2.8リッターくらいの差があるといいますので、1.5リッターの燃費で2.8リッターのパワーを得られていると言い換えることができるでしょう。
日産は生産化にこぎつけるまでに20年もかかったそうです。内部構造を変更しなければならないため、圧力のかかり方が変化し、その対応が難しかったからです。しかし、部品などに新たな技術や新素材が採用されることができるようになり、生産化が可能になったのです。
日本市場においてはハイブリッドモデルのエクストレイル e-POWERが発電用エンジンでの採用ですが、海外仕様車に目を向けると駆動用エンジンとして2017年に発売されたインフィニティ「QX50」に搭載されたのが最初で、それ以降複数のクルマに採用されています。ぜひ、実際にこのエンジンが駆動したクルマがどんなフィーリングを生むのか、走らせてみたいものです。
ちなみに、ターボの過給による圧縮係数やそれに伴う圧縮比の変化などには触れていないなど、実際とは状況によって違ってしまうことがあり得えます。その点をお断りしておきます。
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正直ダウンサイジングターボやハイブリッドで十分に感じるけれど、技術の進化を止めたら終わりだからね。