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これぞ究極セダン! プレミオ/アリオンの偉業の歴史

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これぞ究極セダン! プレミオ/アリオンの偉業の歴史

 2001年にコロナ・カリーナの後継車として生まれたプレミオ・アリオン。2021年3月に揃って生産終了を迎えるまでの約20年間、底堅く販売を続けてきた。

 今となっては貴重な5ナンバーセダンの枠組みをしっかりと守り、その需要を受け止めてきた両車は、何を残していったのだろうか。マイカー使用のみならず、営業車や覆面パトカーなど、幅広く支持されてきたプレミオ・アリオンの持つ独特の世界観や役割を、トヨタ販売現場に従事した筆者が解説していく。

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文/佐々木亘 写真/TOYOTA

[gallink]

他社が撤退していった5ナンバーセダンを守り切った存在

2代目プレミオ。2007年6月の登場から生産終了となった2021年3月まで、約14年間にわたって販売された

 プレミオ・アリオンの生産終了となった2021年3月、両車の販売台数はプレミオが829台(前年同月比83.3%)、アリオンが411台(前年同月比153.4%)だった。駆け込み需要と言えるほどではないが、この数字を見ると日本には5ナンバーセダンの需要がまだ残っていると思えてくる。

 かつてはクラウンやカムリも5ナンバーセダンだった。全長4700mm以下、全幅1700mm以下という枠組みの中で、良いクルマを作り上げる努力をしていた時代。日本車が製造面・販売面で進化していくスピードは、現在よりも遥かに大きな勢いがあっただろう。

 他社、そして他車種が、5ナンバー枠の中では魅力を出しきれないと、こぞって3ナンバー化(主に全幅の拡幅)をした中で、プレミオ・アリオンは枠組みの中に残り、最後まで戦い続けた。

 アリオン・プレミオは、トヨタが5ナンバーという枠組みの中で最良のものを作り出そうと本気で努力をした、最後のクルマではないかと思うのだ。

ちょっとずつ良いクルマに普通に乗りたい

カリーナの後継モデルとして2001年12月に登場した初代アリオン

 良いクルマに乗りたい。自動車ユーザーなら誰しもが思い描くことだろう。ただ、この「良い」の内容は、人それぞれ違う。速い・安定感が高い・広い・豪華など様々だ。最近では、お金がかからない(経済性が高い)クルマや、予防安全性能が高いクルマのことを良いクルマという人もいる。

 これらの様々な「良い」という評価ベクトルを、少しずつ取り入れて完成させたのが、プレミオ・アリオンではないだろうか。筆者はこれを「ちょっとずつ良いクルマ」と定義する。

 プレミオ・アリオンはコンパクト、ラグジュアリー、コンフォート、リーズナブルという4つの価値を丁度いい具合まで高めたクルマだ。特別ここが凄いというポイントは無いのだが、満遍なく合格点を取ってくる。

 筆者が営業マン時代には、アリオンをよく売っていた。トヨタ時代に最も売ったクルマの一つと言ってもいい。筆者がアリオンを紹介するターゲット層の条件はただ一つ「クルマが趣味に関係しない」それだけである。プライベートとクルマが強く結びつかない人に、アリオンは良く売れた。こうしたユーザーが「ちょっとずつ良いクルマ」を選んでいく。

 最近はクルマを使った生活を、強く押し出したクルマが多い。SUVやミニバンなどは、釣りやキャンプで楽しまなきゃ人生損だよと、半ば強制されているようにも感じてしまう。アリオン・プレミオのような、ちょっとずつ良いクルマに、普通に乗りたいというユーザーは、まだまだ残っていると思うのだが。

コロナ・アリオンが好き? いや、トヨタが好きなのだ

プレミオ・アリオン消滅後、カローラアクシオは新車で買える貴重な5ナンバーサイズセダンとなっている

 ハイブリッドといえばトヨタ、予防安全技術アイサイトはスバル、低床ミニバンはホンダなど、各メーカーの代名詞があった時代は終わりを告げた。各メーカーの技術的な差は、どんどん小さくなり、ユーザーにとっては、どのメーカーを選んでも、それなりに高い技術の同じようなクルマに乗れるようになっている。

 同時に、クルマのファン層も変わってきた。各メーカーを支持していたユーザーは、そのメーカーの特定の車種を支持するようになる。そしてこのファンたちはモデル廃止や改悪と言われるモデルチェンジを行うと、一瞬にして離れていってしまうのだ。

 しかし5ナンバーセダンが多かったころは、メーカーに対するファンが非常に多かったと思う。現在、プレミオ・アリオンに乗っているユーザーの多くは、車種のファンではなくトヨタに対するファンなのだ。メーカー・販売店にとっては貴重なトヨタファンを、大切に扱ってほしいと切に願う。

 プレミオ・アリオンは、メーカーとしてのクルマ作りが評価され、トヨタの販売力があってこそ売り抜けたクルマである。メーカーと販売店を育てたクルマとも言えるだろう。

 こうした育てのクルマが、現在のラインナップでは見当たらない。開発・製造・販売がスクラムして売っていくぞという気を感じるクルマが少なくなっている。クルマ作りにおいても販売においても、この原点を知ることが必要だと筆者は考える。

 自動車販売においては、指名は入らないが、しっかりと売り込めば売れていくクルマが大切である。プレミオ・アリオンはカローラアクシオにバトンを渡したが、彼らが担っていた大仕事を引き継げるクルマは、まだ出てこない。

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みんなのコメント

24件
  • 5ナンバー「セダン」でこれほどコストを掛けた車はかつてあっただろうか?室内のクオリティーは高級車レベルで、なおかつ、とても広々している。
  • 一昔前まではクラウン程ではないけれど、インテリアの高級感はクラウン並みに見える車で、中小企業の課長さんが乗ってるイメージ。ロングラン過ぎて古さは感じるけどコストパフォーマンスが高く良い車だよね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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