この記事をまとめると
■新型アウトランダーPHEVは全長15mm、全幅60mm、全高35mm拡大した
いまクルマを買うなら「プラグインハイブリッド」がベストな選択かも! 多数揃った国内外モデルの「買い」とは
■前後席ともに上質感や車内のゆとりでは新型が旧型を圧倒
■収納力はほぼ同等ながらも新型では荷室の床下収納がなくなった
新型アウトランダーPHEVをパッケージ面で新旧比較
いよいよ新型アウトランダーPHEVが発売された。さっそく、展示車のあるショールームを訪れ、すでに計測済みの先代モデルとの各部の寸法、室内&荷室空間、乗降性、パッケージを比較してみた(公道未試乗なので、動的性能は除く)。
まずはボディサイズ。新型は全長4710×全幅1860×全高1745mm。ホイールベース2705mm。先代が同4695×1800×1710mm、2670mmだから、全長で15mm、全幅で60mm、全高で35mm大きくなっている。ホイールベースは35mmの拡大だ。ダイナミックシールドを取り入れた厚みと迫力を増したフロントフェイスの堂々感はもちろん、+60mmの車幅による存在感UPが印象的だ。先代は国産ミッドサイズSUVとしてやや大人しく幅狭なイメージだったのが、見事に解消されている。まさにミッドサイズのプレミアムSUVと呼ぶのにふさわしい佇まいではないか。
室内寸法はどうか。PHEVに3列シートモデルを加えた新型は室内長2455×室内幅1505×室内高1240mm。対する先代は同1900×1495×1235mmだ。室内長に関しては、測定ポイントの違い(インパネデザインなども影響する)もあるだろうが、室内は長く、わずかに幅広く、高さは同等……、と考えていい。満を持しての新型がインパネデザイン、メーター、ナビ画面、ドライブモードセレクターなどの先進感、上級感で先代を圧倒するのはもちろんである。
で、ここからが本題。新型の室内空間、荷室をショールームの展示車で測定しまくり、先代のPHEVモデルのデータと比較してみた。なお、頭上、ひざまわり空間の寸法は、身長172cmの筆者のドライビングポジション(シートハイト調整最下端位置)、着座を基準にしている。
前席の頭上空間は新型が240mm、サンルーフ付きで170mm。先代が同210mm、140mmと、新型は頭上方向のゆとりを増している。が、「室内高が5mmしか高くなっていないのに、何故?」という疑問が湧いて当然だが、それにはちゃんとした理由がある。じつは、新型の前席は先代に対してかなり低めにセットされているのだ。言い方を変えれば、先代はかなりアップライトな(高めの)シート位置で、しかし新型はより低い、自然で乗用車感覚のドライビングポジションに改められているのである(それでもボンネット全体が視界に入るから偉い!!)。だから、くどいようだが、室内高が5mmしか高まっていないのに、座ると頭上方向に余裕が生まれるのだ。
また、新設計のシートのかけ心地は新型が圧倒。サポート性まで劇的に良くなっているのだから嬉しい。独自の計測方法によるシートサイズは新型が座面長535×座面幅500×シートバック高660mm。先代は同520×500×630mmで、新型はシートバックがかなり高くなっていて、シートの2層ウレタン構造の採用とともに、背中のサポート性、かけ心地のリッチ感につながっているようだ。ちなみにシートハイト調整最下端位置のフロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差は新型が320mm、先代が340mm。シート位置の違いをそれが示している。
当然のようにほとんどの部分で新型が旧型を上まわる
新たに3ゾーンエアコン(後席独立温度調整可能)を導入した後席の居住性はどうだろう。乗降性に大きくかかわる、リヤドア全開時のドア内張りから後席シート外側角までの距離=乗降幅は新型が320mm、先代が270mm。ステップ地上高は新型が480mm、先代が450mm。ステップ地上高だけを見れば、先代のほうが低く、乗り降りしやすいように思えるが、実際は逆。新型はドアがより大きく開き、乗降間口が広く、また着座位置からサイドシルまでの距離を、雨の中や悪路を走ってもサイドシルが汚れにくい効果(衣類も汚れにくくなる)があるガーニッシュの”ドア付け”(新規)によって縮めているため、乗降性は大きく向上しているのである。
新型の後席に筆者が着座すれば、頭上に170mm、ひざまわりに250mmもの足がゆったり組める空間が確保されている。先代は同130mm、230mmで、それでも十分な広さがあったものの、改良の手が入った新型のほうがかけ心地、サポート性の良さを含め、居住感は大きくレベルアップしていると断言していい。
シートサイズは新型が座面長480×座面幅1290×シートバック高660mm。地上からシートまでの高さは740mm。先代は同460×1285×630mm、730mm。つまり、かけ心地にかかわる座面長、シートバック高で新型に優位性があるということだ(形状、クッションなども含め)。なお、フロアからシート座面先端までの高さ=ヒール段差は新型、先代ともに330mmとなる。
PHEVにも設定された3列目席の居住性については、先代のPHEVになかった仕様なので詳しい説明は割愛するが、乗降、着座感を含め、極めて緊急席的であることだけは報告しておきたい(頭上20mm、ひざまわり0~110mm/2列目席シートスライド位置による、座面長360×座面幅1040×シートバック高440mm、ヒール段差270mm)。
荷室はどうか。まず、重い荷物の出し入れ性にかかわる開口部地上高は新型が780mm。先代が720mmで、いずれも開口部に段差なし(荷物の出し入れがしやすい)。ということは、新型は荷室フロアが60mmも高くなってしまったことになるのだが、これは最新の欧米の衝突安全性基準に合わせたもので、さらにバンパー位置が高くなったことで、追突被害を受けた際、修理費用がよりかさむバックドアの被害を抑える効果もあるという。
開口部の広さは新型が幅1150×高さ790mm、先代が同1020×780mm。つまり、幅方向の広さが増したことになる。フロアは新型が奥行き970mm(3列目席格納時)×幅1070mm(3列目席格納時)、先代が同980mm×1000mm(2列シート)。天井高も新型が高く、5人乗車では新型のほうが幅、高さともに拡大していることが分かる。容量で言えば、先代の463リッターから新型の2列シートは469リッターと、6リッター増しではあるのだが……。
また、新型PHEVのPグレードに標準、Gグレードで選択可能な3列目席は、畳むと完全にフラットなスペースが出現する点も使い勝手、荷物の積載性での美点。ただ、荷室の床下収納は、先代はそれなりにあっものの、新型はほぼなし。荷室のフロアに置きたくないもの、隠したいものの収納性では、やや劣ることになる。
というわけで、大型化され、居住空間のゆとり、乗降性、荷室の使い勝手などでも大きく進化した新型アウトランダーPHEVだが、先代の全幅1800mmがギリギリ許容範囲のユーザーにとって、1860mmまで拡大した全幅をすんなり受け入れられるかどうかは、クルマの使用環境などによって、また別問題かも知れない(とはいえライバルのRAV4 PHVも1855mmだ)。
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みんなのコメント
それと5人乗りが欲しい。サードシートは不要なので。それのセカンドシートのリクライニング角度も欲しい。