BMWの2シリーズ・クーペの高性能版「M240i xDriveクーペ」に今尾直樹が試乗した。今や希少なストレート6搭載モデルの魅力とは?
大バーゲンである!!
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昨2021年6月、英国のフェスティバル・オブ・スピードでデビューした新型BMW2シリーズ・クーペ。その現時点での最高性能モデル、M240i xDriveクーペに試乗した。これはもう、お金があったら買っておいたほうがいい! という絶対オススメ・モデルである。
特に走り屋系の方。なにしろBMWの伝家の宝刀、直列6気筒エンジンが、現行セダン/クーペ系モデルで最もコンパクトなボディと組み合わせられているのだ(つまり、2座オープン・スポーツカーの「Z4 M40i」を除いている)。
技術的にはプラットフォームを含め、兄貴分の現行3シリーズ/4シリーズ用をベースとしている。1クラス上のモデルのプラットフォームを使うなんて贅沢な話である。おなじ2ドア・クーペで、同じパワートレインの「M440i xDrive」クーペと比較すると、ホイールベースは110mm短く、ということはそれだけ曲がりやすくて、車重が30kg軽く、0~100km/h加速4.3秒のタイムは0.2秒速い!
それでいて価格は302万円も安いのだ。758万円は絶対的にはともかく、バーゲンではあるまいか。もとい、大バーゲンである!!
さて、試乗車がコミュニケーション・カラーの紫色だったこととLEDヘッドライトの形状、三角形のエア・インテークから、筆者が新型M240i xDriveクーペの実物を見て即座に思ったのは、エヴァンゲリオン初号機!? というものだった。ひとがつくった究極の汎用人型最終兵器。色は違うけれど、シートのデザインも、エヴァのパイロット・スーツをちょっと思わせる。逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ。僕が乗ります!
ボディは一見、先代より面がスッキリしてスリムになっているけれど、実際の寸法は先代M240i比、若干大きくなっている。全長×全幅×全高=4560×1825×1405mmで、90mm長くて50mm幅広く、5mm低いのだ。2740mmのホイールベースは50mm延ばされ、室内空間の若干の拡大が図られている。だから、BMWの後輪駆動のサルーン形のなかで最小とはいえ、狭苦しい感じはまったくない。
インテリアはBMWそのもので、あるべきものがあるべきところにあり、戸惑うことはない。ただし、エンジンのスタート/ストップのボタンがダッシュボードではなくて、センターコンソールにあることを、筆者のように忘れていると、ステアリングの付け根の左右を探すことになる。
別人格が同居している
ようやく発見。丸いボタンを押す。ヴァフォンッ! という爆裂音を発して3.0リッター直6ターボ、「B58B30A」ユニットが目覚める。おお。Mの文字を持つ高性能モデルであることをストレートにドライバーに訴える。
B58B30Aユニットは、最高出力387ps/5800rpm、 最大トルク500Nm /1800~5000rpmを発揮。数値は兄貴分のM440iと同一で、先代M240iに較べルト34psもパワー・アップしている。
足回りは3シリーズ/4シリーズからの流用で、日本仕様はアダプティブMサスペンションを標準装備する。BMWでは「ドライビング・パフォーマンス・コントロール・スイッチ・モード」という長い名前の、いわゆるドライブ・モードにはスポーツ、コンフォート、エコ・プロ、そしてアダプティブの4つがある。アダプティブにすると、ナビゲーションのデータを利用して予測的に制御を行なう。
しかしながら、わかりやすいのはコンフォートからスポーツ、あるいはスポーツからコンフォートに切り替えたときだ。当たり前だと思われるかもしれない。ま、そうなんですけれど、これだけ明瞭に性格分けしているのも珍しいのではあるまいか。
コンフォートだとエンジン音が控えめになり、乗り心地は俄然ソフトになる。前245/35、後ろは255/35で、ともにZR19という大径、超扁平サイズのタイヤを装着しているのに、ゴツゴツ感がない。ミシュラン・パイロット・スポーツ4Sの貢献大だろうし、BMW M社が開発するモデルに限って、ランフラット・タイヤを使っていないこともあるだろう。
でもって、スポーツに切り替えると、自動的にダウンシフトしてエンジン回転が跳ね上がり、ひときわエンジン音が大きくなる。3500rpmから上で、グオオオオオオオオンッと快音を轟かせ、4000rpmを超えると、そのときの速度、ギアにもよるものの、金属的な高周波音と控えめに伴う。直6サウンドのこぶしが効いている。もともとアクセル・ペダルから右足を離しただけで、もしくはブレーキ・ペダルを踏んだだけで、ウォンッ、ウォンッと、2段ギアを落としたりもする。いかにもハイ・パフォーマンス!
ダンピングがキリリと引き締まり、若干、はねるとまでは表現できないけれど、野性味があるというか、微妙に上に放り上げられるというか……。
ちょっと大袈裟にいえば、スポーツ、さらにスポーツ・プラスを選べば、たちまちレーシング・カーに、コンフォートを選べば、たちまちサルーン・カーに変身する。M240iのなかに、サルーンのM240iと、レーシング・スポーツのM240iが別人格として同居している。
BMWの大英断
駆動方式は、先代が純然たる後輪駆動だったのに対して、新型240iは名前が示すごとくxDrive、すなわち電子制御の4WDである。
xDriveは、筆者の過去の経験からいっても、4WDらしさをほとんど感じさせない。ドライ路面でわかるのは、高速直進性がすこぶる高いことぐらい。まるでレールの上を走るがごとく、相撲でいうところの電車道で加速する。あとから考えると、ただの後輪駆動ではない……と思う。
もうひとつ、新型2シリーズ・クーペでは、現行3、4シリーズの装備する自動運転アシストやコネクテッド関連のインフォテインメントを共用してもいる。むしろ、そちら方面のアップデートを図るための全面改良だった、といえるかもしれない。
しかして、BMWの大英断は、2シリーズ・クーペのみは縦置き、後輪駆動レウアウトを維持したところだと筆者は思う。2019年に後輪駆動だった1シリーズがモデルチェンジでエンジン横置きの前輪駆動になったとk、そのクーペも早晩、FWD化されるとだれもが思ったはずだ。合理化だけが正しい選択ではない。プレミアム・ブランドにとって本当に必要なのはエゴなのだ。
なお、さらなる高性能版のM2は本年10月に公開するとBMWは発表している。
文・今尾直樹 写真・安井宏充(Weekend.)
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