■北欧生まれの装備
メルセデス・ベンツやボルボなどのクルマで、ヘッドライトにワイパーがついているものが存在します。
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しかしながら現行のラインアップでは両社とも、このヘッドライトのワイパーが付いたクルマはありません。メルセデス・ベンツ日本によるとこのワイパーは、「雪や泥汚れでランプがさえぎられ、光量が弱くなるのを防ぐためのもの」とのことで、メルセデス・ベンツでは、1972(昭和47)年発売の「W116」(初代Sクラス)が最初に装着された車種だそうです。ただ、「現在ではワイパーはなく、ウォッシャー液を吹き付けるタイプに変わっている」といいます。
ボルボ・カー・ジャパンによると、「ヘッドライトのワイパーは、ボルボと同じくスウェーデンに拠点を置くサーブが、1970年代初頭に実用化したのが始まりです。その後、寒冷地用の装備として広がっていきました」と話します。
そのような役割をもって登場したヘッドライトのワイパー、いつごろ消えていったのでしょうか。
■ワイパーからウォッシャーへ 役割も変化
ワイパーがなくなっていった時期について、ボルボ・カー・ジャパンは、「キセノンランプの登場とともに、ワイパーからウォッシャー液を吹き付けるタイプに変わっていった」といいます。キセノンランプとは、それまでのハロゲンランプに代わって1990年代後半に登場した、青白く明るい光を放つヘッドライトのことで、ディスチャージライト、HIDヘッドライトなどとも呼ばれます。メルセデスベンツでも、ワイパーからウォッシャーに変わっていったのは、おおよそ2000年前後だといいます。
また、メルセデス・ベンツ日本は「箱型のデザインのクルマでは、ヘッドライトが進行方向に対して垂直に近くなるため、雪が落ちにくいことからもワイパーが効果を発揮しました。しかし現在のヘッドライトのデザインは、どちらかというと流線形に近くなっており、雪が横に流れていくようになっています。このことからも、ワイパーが減っていったのでしょう」といいます。
なお現在、日本国内においてヘッドライトの洗浄装置は、2000ルーメン以上の明るさのヘッドライト、および配光可変型前照灯(カーブ通過時などにハンドル操作に合わせて自動的に進行方向へ光を照射するヘッドライト)について、設置が義務付けられています。国土交通省自動車局によると、その主な理由は「ヘッドライトの汚れによる乱反射の防止」だそうです。ヘッドライトの種類や形状の変化を経て、洗浄装置の目的も光量の低下防止という観点から変化しているようです。
ちなみに、現在のヘッドライトウォッシャーは、メルセデス・ベンツのクルマでは「運転席にスイッチなどはなく、フロントガラスのウォッシャーが10回作動すると、ヘッドライトウォッシャーも作動するしくみになっています」といいます。ボルボも同様に、フロントガラスのウォッシャーと連動して作動するそうです。
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