12月13日、TOYOTA GAZOO Racing(TGR)は『ダカールラリー2024』およびW2RC世界ラリーレイド選手権の参戦体制を発表した。第46回ダカールラリーは2024年1月5日(金)から同19日(金)にかけて、中東のサウジアラビアで開催される。
2023年のダカールラリーとW2RCを制したTGRは、約2週間にかけて行われるダカールラリーと、同大会を開幕戦とするW2RCでの3連覇を果たすため、2024年は5台の『GRダカールハイラックスEVO T1U』と10人の強力なラインアップを用意した。
ダカールラリー2024のコースが発表。“48時間クロノ”を含む12ステージで合計距離は約8000km
今回、5台というTGRとしては過去最大規模の体制で投入される『GRダカールハイラックスEVO T1U』は、2022年から大会2連覇を果たした『GRダカールハイラックスT1+』のアップグレードバージョンとなる。
ボディサイズは従来より100mmワイドになり、サスペンションを含む各所への改良、エアコンユニットのさらなる効率化や新たな冷却パッケージの採用を行って戦闘力向上を図っている。W2RCのカテゴリー名称変更(前年までのT1+クラスは2024年シーズンよりT1アルティメイトクラスに変更)を反映し、名を新たにして2024年のレースに挑む。
そして、この2024年型『GRダカールハイラックスEVO T1U』で優勝を掴むために戦うのは、11月にすでに発表されたルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン組、セス・キンテロ/デニス・ゼンス組を含む計10名のクルーだ。
ダカールラリー2023で頭角を現し、プライベーター参加ながら3位を獲得したモラエスはワークスチームに抜擢され、ライダーとしてのダカール出場経験もあるモンレオンとともに優勝を目指す。
また、2020年に弱冠17歳でダカールデビューを果たし、その後も成長著しい21歳のキンテロも注目選手のひとりだ。2023年のW2RCでともにクラスT3チャンピオンとなったゼンスと4度目のダカールラリーに臨む。
そして今回、残る3組についてもラインアップが明かされた。まず3台目を駆るのは2009年のダカールウイナーであるベテラン、ジニエル・ド・ヴィリエール。2022年大会からペアを組む南アフリカ人のデニス・マーフィとともに、上記2組の若きクルーの才能をサポートしながら、自身21回目のダカールラリー完走を目指す。
4台目のクルーはサオード・ヴァリアワとフランソワ・カザレという新世代コンビだ。現在18歳ヴァリアワは、南アフリカのツーリングカー選手権を戦う一方で、南アフリカ・ラリーレイド・シリーズにもトヨタ・ハイラックスT1+で参戦している豊富な経験の持ち主。ダカールラリー史上最年少ワークスドライバーとして、初のダカールに挑む。
そして5台目を駆るのは、ガイ・ボッテリルとブレット・カミングスのコンビとなった。カミングスは、2021年よりTGRからダカールラリーに参戦してきたヘンク・ラテガンのコドライバーとしてチームにもなじみ深い存在だ。今回は、ラテガンが今年初めの南アフリカでの激しいクラッシュにより肩を負傷したため、ボッテリルが初めてのダカールラリー参戦となるが、カミングスの経験を活かしての活躍に期待がかかる。
ダカールラリー後は、モラエス/モンレオン組、キンテロ/ゼンス組がW2RCチャンピオンを目指してシリーズを戦い、一方で残る3人の南アフリカ人ドライバーはSARRC南アフリカ・ラリーレイド・に参戦し、GRダカールハイラックスEVO T1Uの継続開発を行う予定となっている。
TGRにシリーズとダカールの両方で勝利をもたらしたナッサー・アル-アティヤが2023年シーズン限りでチームを離れ、5組のフレッシュなコンビで3連覇に挑むTGR。W2RC世界ラリーレイド選手権のハイライトと言える『ダカールラリー2024』は、1月5日(金)に、サウジアラビア北西部アルウラ市街地近郊でスタートが切られ、1月19日(金)にサウジアラビア西部の港町ヤンブーでゴールを迎える予定だ。
■TOYOTA GAZOO Racing ダカールラリー2024参戦体制
No.CarCrew206号車GRダカールハイラックスEVO T1Uルーカス・モラエス/アルマンド・モンレオン209号車GRダカールハイラックスEVO T1Uジニエル・ド・ヴィリエール/デニス・マーフィ216号車GRダカールハイラックスEVO T1Uセス・キンテロ/デニス・センツ226号車GRダカールハイラックスEVO T1Uサオード・ヴァリアワ/フランソワ・カザレ243号車GRダカールハイラックスEVO T1Uガイ・ボッテリル/ブレット・カミングス
■ダカールラリー2024に参戦するTGRメンバーのコメント全文
『ダカールラリー2024』に参戦するTGRメンバーのコメントは以下のとおりだ。
●TGR T2RCチーム代表 アラン・デュハディン
「2023年シーズンに我々が達成できたことの、全てが最高の気分です。ダカールラリーで勝利を挙げ、それだけでなくW2RCのタイトルも2年連続で獲得できました。これらは高い耐久性と信頼性を持つGRダカールハイラックスT1+と、ナッサー・アル-アティヤとマシュー・ボーメルのコンビによる高いスキルと献身的な走りによるものです」
「そして今、我々はもっと高い目標へ向け、新型GRダカールハイラックスEVO T1Uと共に、新たな挑戦へのスタート地点に立っています。我々は幸運にも優れた車両だけでなく、ラリーレイドの世界においてもっとも競争力の高いドライバーラインナップを得ることができました。2024年シーズン、新たなTGRのドライバーたちがワークスドライバーとしてそれぞれの役割のなかでどう成長していくのか楽しみです。同時に、ジニエルとデニスのコンビ、そして全ての技術スタッフの経験が、将来へ向け新たな才能を導き、育ててくれることを期待しています」
●206号車ドライバー ルーカス・モラエス
「ダカールラリー2023は僕にとって素晴らしい経験だった。初めての表彰台を獲得できたのは最高だった。もちろん最後まで2位を守れれば良かったが、3位は最高の気分だったよ。さらに重要なのは、この結果が、私にラリー全体でトップを争えるペースを持っているという自信をもたらしてくれたから、ダカールラリー2024をさらに強力な体制で戦えるのを楽しみにしている。同時に、今年は様々なレース環境で多くのことを学んできたし、2024年シーズンのTGR W2RCクルーの一員としてさらに発展させていきたいと思う」
●216号車ドライバー セス・キンテロ
「SSVからラリーレイドでの最速車両にステップアップするのは、非常にエキサイティングなことだ。僕自身、この世界で一歩一歩カテゴリーをステップアップしてきて、2024年はこのスポーツにおけるビッグネームと直接戦う初めてのチャンスになる。新型となったGRダカールハイラックスEVO T1Uは印象的で、最初からライバルとバトルができる自信があるよ」
●209号車ドライバー ジニエル・ド・ヴィリエール
「ダカールラリーは間違いなく1年のハイライトだ。ダカールラリーをエキサイティングなものにしている理由のひとつに、僕はこれまでのハイラックスの各バージョン開発に密接に関わってきているという点があり、開発に関わった車がレースで活躍するのを見るのはとても満足できることだ。僕自身の戦闘力も高いし、来たる1月のダカールラリー2024では、着実なパフォーマンスを示したいと思っている。クルマもチームも良いのはわかっているし、ダカールラリー2024をベストなレースにすべく全力を尽くすよ」
●226号車ドライバー サオード・ヴァリアワ
「初めてのダカールラリー参戦にとてもドキドキしているよ。今年はラリーレイドの世界で多くのことを学んできて、特に砂丘など、着実に改善を進めてきたと思っている。私の駆る新型トヨタGRダカールハイラックスEVO T1Uに関する経験はまだ限られたものだが、非常にポジティブだよ。クルマは本当にすごいし、サウジアラビアでレースを戦うのが待ちきれない」
●243号車ドライバー ガイ・ボッテリル
「僕にとって初のダカールラリー参戦が叶い、ずっと夢見てきたことが現実になった。僕自身はラリーの世界からつい最近ラリーレイドへと転身したばかりだが、既に1年間SARRCで戦ってきており、このクルマと戦うことには自信を感じている。今、ブレットと組んでこの大イベントにステップアップするチャンスを得て、とても興奮している。経験豊富な彼のサポートが、ダカールラリー2024での完走を目指す上での助けになってくれるだろう」
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