冬には冬の楽しみがある。オシャレ好きな人が、冬に履きたくなる靴や、羽織りたくなるコートを持っているように、クルマ好きは、お気に入りのスタッドレスタイヤに履き替えて、どこか雪のある場所へと出かけたくなるものだ。
雪のある場所へ出かけるなら、高い人気を誇るSUVの日産「エクストレイル」がいいかもしれない。スズキ「ジムニー」やホンダ「ヴェゼル」と並んで、つねにSUV販売台数の首位を争っているモデルだ。
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【主要諸元(20Xi 4WD 3列仕様)】全長×全幅×全高:4690×1820×1740mm、ホイールベース2705mm、車両重量1610kg、乗車定員7名、エンジン1997cc直列4気筒DOHC(147ps/6000rpm、207Nm/4400rpm)、トランスミッションCVT、駆動方式4WD、タイヤサイズ225/60R18、価格311万9600円(OP含まず)。3台のなかで、エクストレイルは、排気量が大きく、価格も高めで、かつ現行モデルは2013年に販売開始とちょっと年数が経っている。一般的にはやや分が悪いと思うかもしれないが、それでも売れ続けている。日産の看板車種の1台であり続けているのだ。
エクストレイルのいいところは、広い室内、快適な乗り心地、そして、嫌みのないデザインと、すらすらと挙げられる。今回乗ったガソリンモデルが搭載するエンジンは1997cc直列4気筒。108kW(147ps)の最高出力を6000rpmで、207Nmの最大トルクを4400rpmで発生する(ほかにハイブリッド仕様の設定もある)。
インテリアはオーソドックスなデザイン。撥水性に優れた素材を使ったりするなどアウトドア・ユースに対応する。1月の一部改良で、レザーシート仕様も選べるようになった。シート配列は2列・5人乗りと、3列・7人乗りが選べる。専用の内外装パーツを多数装着したグレード「オーテック」も選べる。価格は346万9400円~379万9400円。どちらかというと高回転型のエンジンだけに、アクセルペダルを踏みこみ、エンジン回転を高めに保って走るのが気持ちいい。これもエクストレイルならではの個性である。
走行性能を高める数々の電子制御技術走行安定性と快適性のため、さまざまな電子技術が搭載されているのも、エクストレイルの特徴だ。コーナリング中、外側へふくらむのを防ぐため、前・後のトルク配分を調整する「ヨーモーメントコントロール」はそのひとつ。
一部改良で、遮音性も向上。パワートレインはガソリン・エンジンとハイブリッド仕様が選べる。360°カメラと半自動駐車システムもオプションで装着出来る。さらに、エンジンブレーキを有効に使ってニュートラルなラインをキープする「インテリジェント・エンジンブレーキ」や、前後・左右のブレーキを制御してやはりスムーズなコーナリングをめざす「インテリジェント・トレースコントロール」などの技術も盛り込まれている。
ほかにも、小さなデコボコが連続する道でボディの上下動を制御するため、コンピューターが駆動力と制動力をコントロールする「インテリジェント・ライドコントロール」など、ドライバビリティを高めるシステムが多々盛り込まれている。これらの制御によってドライバーは、”運転しやすい”と感じるのだ。
オフロード走行にかんする技術では、「インテリジェント4×4」が搭載されている。エクストレイルは、オンデマンド型4WDシステムにより、負荷の低い一般道では前輪のみを駆動する。雨や雪などで路面の摩擦係数が変化すると、最大でフロント50%:リア50%まで駆動力を変化させる。
「インテリジェント4×4」の操作スウィッチはダイヤル式。高いグリップ力とはいえ、雪道へ行くには、タイヤを専用のものにする必要がある。通常のサマータイヤでは、いくら電子制御技術が進んでいても、摩擦係数が低い路面ではグリップを失って走行できなくなってしまうからだ。
テスト車両が装着していたのは、ダンロップが発売した「WINTER MAXX 02」と呼ばれるスタッドレスタイヤだ。「乗用車用ハイスペック・スタッドレスタイヤ」と、メーカーはうたう。結論からいうと、これがすばらしくエクストレイルに合っていた。
ダンロップの「WINTER MAXX 02」は、高い氷上性能と長持ちを実現した乗用車用スタッドレスタイヤ。ダンロップのWINTER MAXX 02は、凍結路面でのグリップ性能が従来商品とくらべ、うんと上がったのが最大の注目点だ。滑るのはたいてい、凍った路面の上である。凍った路面は表面に細かな凹凸があるため、タイヤと氷の接地面積が小さくなり滑りやすくなるという。WINTER MAXX 02は、凍った路面により密着する新開発の柔らかいゴム「液状ファルネセンゴム」を採用し、滑りにくくした。
実際に東名高速道路の御殿場インターチェンジから富士山へと向かう途中、積雪路面に遭遇したが、不安はなかった。サマータイヤで乾いた路面を走っているかのように、しっかりグリップ。ボディの動きが不安定になることは皆無だった。
WINTER MAXX 02は、新開発の高機能バイオマス材料を配合。高い氷上性能を長期間維持するという。従来モデル(「WINTER MAXX 01」)に対し接地面積を拡大し、かつパターン形状を見直した結果、氷上のブレーキ性能とコーナーリング性能が向上したという。どこまでグリップ力が高いのか? 私はあえて、積雪した広い場所でクルマを走らせた。タイヤのグリップはしっかりしていて、速度(0~約50km/h)にかかわらず、コーナリングラインが乱れない。グリップ力の高さに感心した。
凍りかけている雪や、比較的“サクサク”とした、あまりかたまっていない雪の上などさまざまな雪の上を走ったが、どんな場合でも、挙動は安定していた。雪上性能と氷上性能ともにすぐれていた。
WINTER MAXX 02のサイズラインナップは115サイズ。価格はオープン。エクストレイルの電子制御技術と、WINTER MAXX 02の性能がぴったり噛み合っているという印象である。積雪路面でもステアリング・ホイールに路面の状況が伝わってくるので安心感は高い。
WINTER MAXX 02にはもうひとつ、長持ちという”性能”もあるそうだ。ダンロップによると、4年たっても氷上ブレーキ性能の劣化は少なく、かつ、摩耗は抑えられるという。
JC08モード燃費は15.6km/L。ドライ路面を走っても、サマータイヤとの差はほとんど感じなかった。スタッドレスタイヤを装着した車両でドライ路面を走ると、“ふわふわ”と頼りないかんじの操舵感になったり、ロードノイズが大きくなったり、乗り心地が悪くなったりするケースが多いが、WINTER MAXX 02ではフツウのサマータイヤとおなじ感覚で乗っていられた。
WINTER MAXX 02を履いたエクストレイルがあれば、冬のドライブは相当面白くなりそうだ。
文・小川フミオ 写真・安井宏充(Weekend.)
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