8月12~13日、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港で2019/20年ABBフォーミュラE選手権の第10戦、第11戦が開催され、オリバー・ローランド(ニッサン・e.ダムス)とストフェル・バンドーン(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)が優勝を飾っている。
ニッサン・e.ダムス勢は第10戦でローランドが自身初優勝を挙げ、セバスチャン・ブエミは10位、第11戦ではブエミが3位表彰台を獲得、ローランドはリタイアという結果だが、チームランキング2位という好成績でシーズンを終えている。
世界選手権初年度のフォーミュラEシーズン7暫定カレンダー承認。開幕は2021年1月
第6~7戦、第8~9戦に引き続き、ドイツ・ベルリンのテンペルホーフ空港特設サーキットで開催される2019/20年のフォーミュラE。今回の第10戦、第11戦では前2連戦とは全く異なる新レイアウトのサーキットが使用される。
そんな第8戦の予選でポールポジションを獲得したのはローランドとなり、2番手には0.049秒差でロビン・フラインス(エンビジョン・ヴァージン・レーシング)が続いた。3番手はニール・ジャニ(タグ・ホイヤー・ポルシェ)となった。
45分間で争われる決勝レースがスタートすると、ポールシッターのローランドは好スタートを見せトップをキープ。スタートで大きな混乱はなく、上位勢は予選順位どおりに1コーナーをクリアする。後方では、予選でのトラブルから22番手スタートとなってしまった今シーズンのチャンピオン、アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ(DSテチーター)が、オープニングラップで16番手までポジションを上げ、速さを見せつける格好となった。
ローランド、フラインス、ジャニのトップ3台は4番手アレックス・リン(マヒンドラ・レーシング)との差を徐々に広げにかかる。しかしリンの後方には、予選7番手からスタートしたアンドレ・ロッテラー(タグ・ホイヤー・ポルシェ)がピタリとつけている。ロッテラーは最終コーナーでリンのインに飛び込んでオーバーテイク、4番手に浮上した。
その後ロッテラーは、18周目にチームメイトのジャニもパスして3番手にポジションアップするが、思わぬ伏兵が迫ってきていた。このベルリン戦から急遽フォーミュラEに参戦することになったレネ・ラスト(アウディスポーツ・アプト・シェフラー)だ。
ラストはファンブーストを使用してロッテラーをかわし3番手に浮上する。しかし、ロッテラーも応戦し、その1周後にはラストを再びオーバーテイク、3番手を取り戻す。
このふたりのバトルはファイナルラップまで続き、ポルシェ陣営はロッテラーに対してエネルギーモードの変更を指示して防戦したが、最終ラップでラストが再びロッテラーをパス、3番手に浮上した。
そのままレースはフィニッシュを迎え、トップの座を譲らなかったローランドがポール・トゥ・ウインを決めた。ローランドにとってはフォーミュラE初優勝となり、ニッサン・e.ダムスに今シーズン初の勝利をもたらした。2位にはフラインスが続き、ロッテラーと激しい順位争いを繰り広げたラストが3位でフィニッシュし、フォーミュラE5戦目にして初の表彰台を手に入れている。
■シーズン最終戦は“ブラックアロー”の2台が速さを見せつける
翌13日に行われた2019/20年“シーズン6”のファイナルラウンドとなる第11戦の予選では、ストフェル・バンドーン(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)がポールポジションを獲得した。2番手には0.059秒という僅差でニッサンのブエミが続き、前日にフォーミュラE初表彰台を手に入れたラストが第11戦の予選でも速さを見せ、3番手タイムを記録している。
その決勝レースのスタートでは、ポーススタートのバンドーンがトップをキープして1コーナーをクリア。バンドーンは2番手のブエミに対し、1.6秒の差をつけてオープニングラップを終了し、リードを手にして2周目に入っていく。
予選3番手からスタートしたラストだったが、1周目にニック・デ・フリース(メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム)にかわされてしまい、4番手にポジションダウンしてしまう。デ・フリースはその後、9周目にアタックモードを使用して2番手ブエミも捉える。このデ・フリースの活躍によって、そのカラーリングから“ブラックアロー”と呼ばれるメルセデスの2台がワンツーを独占した。
3番手に落ちてしまったブエミだったが、レース残り34分というところでアタックモードを使用してメルセデス勢にバトルを仕掛ける。一度はデ・フリースの前に出たブエミは、トップのバンドーンにも襲いかかるが、オーバーテイクするまでには至らない。
その後もブエミは、2回目のアタックモードを使用してバンドーンとバトルを展開するが、抜きつ抜かれつの状態が続き完全にはトップに立つことができない。そしてレース残り2分、3番手を走行するデ・フリースが最終コーナーでブエミのインに飛び込みオーバーテイクに成功、2番手に浮上する。レースはそのままフィニッシュを迎え、バンドーンがトップでコントロールラインを通過し、フォーミュラE初優勝を手に入れた。
2位にはチームメイトのデ・フリースが続き、メルセデスはチーム初優勝をワンツーフィニッシュで飾っている。ブエミは惜しくも3位となり、4位にはラストが入った。
この第11戦をもって2019/20年のフォーミュラEは終了となり、唯一の日本メーカーとして参戦を行うニッサン・e.ダムスは、チームランキング2位という好成績でシーズンを終えた。ドライバーズランキングではブエミが4位、ローランドが5位に入り、来シーズンの活躍にも期待を持たせてくれる年となった。来季、2020/21年“シーズン7”はFIA世界選手権初年度として、2021年1月にチリで開幕する予定だ。
■ABBフォーミュラE選手権第10戦、第11戦順位結果
■ABBフォーミュラE選手権第10戦順位結果
PosNo.DriverTeamLapsQF122O.ローランドニッサン・e.ダムス36124R.フラインスエンビジョン・ヴァージン・レーシング362366R.ラストアウディスポーツ・アプト・シェフラー364436A.ロッテラータグ・ホイヤー・ポルシェ367594A.リンマヒンドラ・レーシング365618N.ジャニタグ・ホイヤー・ポルシェ363720M.エバンスパナソニック・ジャガー・レーシング3614848E.モルタラベンチュリ・フォーミュラEチーム361095S.バンドーンメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム36181023S.ブエミニッサン・e.ダムス36NC1127A.シムズBMW i アンドレッティ・モータースポーツ36151251T.ブロンクビストパナソニック・ジャガー・レーシング3661319F.マッサベンチュリ・フォーミュラEチーム3681417N.デ・フリースメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム3619156S.セッテ・カマラジェオックス・ドラゴン3691664J.ダンブロシオマヒンドラ・レーシング3617177N.ミューラージェオックス・ドラゴン36111825J-E.ベルニュDSテチーター36NC193O.ターベイNIO 333レーシング3612202S.バードエンビジョン・ヴァージン・レーシング36162111L.ディ・グラッシアウディスポーツ・アプト・シェフラー36NCNC13A.F.ダ・コスタDSテチーター35NCNC33D.アプトNIO 333レーシング3320NC28M.ギュンターBMW i アンドレッティ・モータースポーツ413
■ABBフォーミュラE選手権第11戦順位結果
PosNo.DriverTeamLapsQF15S.バンドーンメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム361217N.デ・フリースメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム364323S.ブエミニッサン・e.ダムス362466R.ラストアウディスポーツ・アプト・シェフラー36352S.バードエンビジョン・ヴァージン・レーシング3614611L.ディ・グラッシアウディスポーツ・アプト・シェフラー3610725J-E.ベルニュDSテチーター3621894A.リンマヒンドラ・レーシング367913A.F.ダ・コスタDSテチーター36191048E.モルタラベンチュリ・フォーミュラEチーム3661120M.エバンスパナソニック・ジャガー・レーシング36231228M.ギュンターBMW i アンドレッティ・モータースポーツ36181327A.シムズBMW i アンドレッティ・モータースポーツ36151436A.ロッテラータグ・ホイヤー・ポルシェ36201518N.ジャニタグ・ホイヤー・ポルシェ3681619F.マッサベンチュリ・フォーミュラEチーム36111751T.ブロンクビストパナソニック・ジャガー・レーシング36121864J.ダンブロシオマヒンドラ・レーシング3616196S.セッテ・カマラジェオックス・ドラゴン3692033D.アプトNIO 333レーシング3617213O.ターベイNIO 333レーシング3613227N.ミューラージェオックス・ドラゴン3622NC4R.フラインスエンビジョン・ヴァージン・レーシング335NC22O.ローランドニッサン・e.ダムス2524
■2019/20年ABBフォーミュラE選手権ドライバー、チームランキング
■ドライバーズランキング
PosNo.DriverTeamPoint113A.F.ダ・コスタDSテチーター15825S.バンドーンメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム87325J-E.ベルニュDSテチーター86423S.ブエミニッサン・e.ダムス84522O.ローランドニッサン・e.ダムス83611L.ディ・グラッシアウディスポーツ・アプト・シェフラー77720M.エバンスパナソニック・ジャガー・レーシング71836A.ロッテラータグ・ホイヤー・ポルシェ71928M.ギュンターBMW i アンドレッティ・モータースポーツ69102S.バードエンビジョン・ヴァージン・レーシング631117N.デ・フリースメルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム60124R.フラインスエンビジョン・ヴァージン・レーシング581327A.シムズBMW i アンドレッティ・モータースポーツ491448E.モルタラベンチュリ・フォーミュラEチーム411566R.ラストアウディスポーツ・アプト・シェフラー291664J.ダンブロシオマヒンドラ・レーシング191794A.リンマヒンドラ・レーシング161894P.ウェーレインマヒンドラ・レーシング141951J.カラドパナソニック・ジャガー・レーシング102018N.ジャニタグ・ホイヤー・ポルシェ82133D.アプトNIO 333レーシング82219F.マッサベンチュリ・フォーミュラEチーム3236B.ハートレージェオックス・ドラゴン2243O.ターベイNIO 333レーシング0257N.ミューラージェオックス・ドラゴン02633M.キンファNIO 333レーシング02751T.ブロンクビストパナソニック・ジャガー・レーシング0286S.セッテ・カマラジェオックス・ドラゴン0
■チームランキング
PosTeamPoint1DSテチーター2442ニッサン・e.ダムス1673メルセデス・ベンツEQ・フォーミュラEチーム1474エンビジョン・ヴァージン・レーシング1215BMW i アンドレッティ・モータースポーツ1186アウディスポーツ・アプト・シェフラー1147パナソニック・ジャガー・レーシング818タグ・ホイヤー・ポルシェ799マヒンドラ・レーシング4910ベンチュリ・フォーミュラEチーム4411ジェオックス・ドラゴン212NIO 333レーシング0
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