■「GT-R」をスポーツからスーパーカーへ
わが国の日産自動車とイタリアの「ITALDESIGN(イタルデザイン)」社が初めて共同開発した日産「GT-R50 by Italdesign」のプロトタイプが、日産ブランドのグローバル発信拠点「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」に、再び期間限定で展示されることになった。
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日産GT-R50 byイタルデザインは、日産「GT-R」最新世代の「GT-R NISMO」をベースとし、世界限定50台のみ受注生産するというモデルである。スタンダードのGT-Rでもすでに到達している「スーパースポーツ」の領域を超え、初めて「スーパーカー」の世界に達した日産車ともいえる。
開発・設計および50台の限定製作は、イタルデザイン社が担当。一方で内外装のデザインワークは日産社内の「日産デザイン・ヨーロッパ」と「日産デザイン・アメリカ」による競作。社内選考コンペで採用されたのは、カリフォルニア州の日産デザイン・アメリカに所属するスタイリスト、Marcus Qunch(マーカス・クァ氏)のデザイン案だった。
このデザイン案がイタルデザイン社に引き渡され、イタリア・トリノ近郊モンカリエリの同社デザインスタジオにて、実質的な設計・開発オペレーションをスタート。グレーメタリックにゴールドの差し色の入ったコンセプトカーとして完成したのは、4か月後のことだったという。
4か月という限られた時間で、のちに社内で「ゼロゼロ(00)」カーと呼ばれることになる実走可能なコンセプトカーを製作するのは、決して容易ではない。
GT-Rのモノコックと一部のインナーパネルは流用するものの、日産側から提示されたデザイン案を再現するためにルーフ+フロントウインドウを約8cm低めたほか、カーボンファイバー製のアウターパネルやエアロパーツ類も新たに設計するという、かなり高度なオペレーションを一括しておこなうことができたのは、半世紀前の創業当初からエンジニアリングの分野でも世界に知られたイタルデザインならではのことだったのだ。
一方、フロントに搭載されるのは、日産自動車横浜工場にて「匠」の称号で呼ばれる限られた熟練の職人たちにより一基一基に組み立てられ、GT-R50 byイタルデザイン限定のシリアルナンバーも用意されるという、3.8リッターV型6気筒ツインターボ「VR38DETT型」エンジンである。
ハイパーカー級のエクスクルーシブ性をアピールするには当然の判断だろうが、エンジンのチューニングは専用のものとされ、GT-R NISMOの600psに対して最高出力は120psアップに相当する720ps/7100rpm、最大トルクは13.0kgmアップの79.5kgm/3600-5600rpmに達するという。
■ボディカラーが違うだけでまったく印象が変わる
覚えている人も多いだろうが、GT-R50 byイタルデザインは、イタルデザイン社の創業50周年にあたる2018年5月に、オフィシャルフォトと概要が発表された。
同じ年の7月には、前述のプロトタイプ「00」が、英国で開催される世界最高の自動車のお祭り「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」で走行する姿を世界初披露。直後には日本に上陸し、今回と同じ「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」でも同じプロトタイプが展示されている。
そして歴代GT-Rの開祖ともいうべき日産「スカイラインGT-R(PGC10型)」の発売50周年にあたる2019年のスイス「ジュネーヴ・ショー」、あるいは日本国内でも翌年1月の「東京オートサロン2020」などに出展され、いよいよ2020年春には本格的な生産が開始される予定であった。
ところが、時悪しくもちょうど同じ時期から全世界を震撼させている新型コロナウイルス禍の影響で、生産拠点であるイタリアは欧州でもっとも大きな被害を被った国のひとつとなり、生産化スケジュールは遅延を余儀なくされてしまっていた。しかし、このほど再開に向けての新たな道筋が明らかにされることになったのである。
●ゼロカーと呼ばれるテストカーとは
今回「NISSAN CROSSING(ニッサン クロッシング)」に展示された日産GT-R50 byイタルデザインのプロトタイプは、ボディやリアウイング、カーボンファイバー製パーツなどエクステリア各所の剛性や耐久性を試験するために製作されたものだ。イタルデザイン社内では「ゼロ(0)」カーと呼ばれ、主にイタリア国内のサーキットを中心とするテスト走行に供されたという。
そのカラースキームは、純白のボディ基調カラーにコントラストをなすブラックを強調した、きわめてスタイリッシュなもの。エンジンフードやリアフェンダー、インテリアにもイタルデザイン的なロゴタイプの「TEST CAR」が描きこまれる。
くわえて、イタリア登録のEUナンバープレートも装着されている。つまり、公道走行が可能なレベルまで仕上げられた、いわゆる生産型プロトタイプなのだ。
筆者は2018年7月の「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード」にて、グレーメタリック/ゴールドメタリック2トーンのコンセプトカー「00」と間近で対面する機会を得たのだが、2年半後に目の当たりにしたプロトタイプには、以前とまったく異なる印象を受けた。
外観における最大の違いは、ホモロゲーション取得のために大型化されたドアミラー程度のものだ。しかし、ボディカラー/差し色のせいか「ケンメリ」ことC110系や「ジャパン」ことC210系など、往年のスカイライン各モデルを彷彿とさせるクラシカルなプロポーションと、現代的なハイパーカーの要素が巧みにミックスされ、なかなか魅力的にも見えてくる。
カラーの違いで個性をより強調できるこの特質は、ビスポークシステムを採る超少量生産車にとっては非常に好適である。さすがイタルデザインが手がけただけのことはある。
とはいえ、GT-R50 byイタルデザインはこれまでにも日本国内で幾度となくお披露目されており、既視感のあるVAGUE読者諸賢も多いだろう。
■安心して点検・整備をおこなってくれる場所はどこ?
今回わざわざVAGUEで取材したのは、日本における正規代理店に指名された「エスシーアイ」から、今後の輸入・販売についての説明を伺うことが目的だった。
まずGT-R50 byイタルデザインは、分類上「イタリアからの輸入車」となる。そのためシャシナンバーを示す17ケタの「VINコード」も、最初の一文字が「Z」となる、イタリアのものが有効となる。
輸入・販売は、この種の少量生産車の経験豊富なエスシーアイが一括しておこなう一方で、メンテナンス/修理サービスは、国内で約100店舗の日産ディーラー内に設けられた「日産ハイパフォーマンスセンター」が担当する。
また、万が一リコールが発生した場合は、エスシーアイから顧客に通達が出され、リコール作業は日産ハイパフォーマンスセンターでおこなわれるという。
そして誰しもが気になるのは、日本国内でのプライスについてであろう。
当初から市販モデルの価格は「税別99万ユーロから」と発表されていたが、日本の正規代理店エスシーアイがこのほど設定した、1億4530万5600円(消費税込、以下同)でという車両代金価格は絶対的には高価だが、その価値を考慮すれば概ね順当なものと思われる。
またフルオーダー制を採っていることから、リモート注文によるビスポークのパッケージオプションも豊富だ。385万円のエクストラで、好みのカラーがあれば、カラーコードをイタルデザイン側で調べてペイントする「スペシャルカラーパック(Special color pack)」も選択可能とされる。
また、カーボン製パーツのカーボン地をデザインの一部として、ペイントと組み合わせるオプションは、部品全体ではなく一部の区画を指定することも可能だ。この「ビジブルカーボンパック(Visible carbon pack)」は580万960円となる。
カスタマーが選択したボディカラーペイントに、イタルデザイン社によるオリジナルデザインのパイピングやラインを追加するオプション「リヴリィーパック(Dedicated Livery Pack)」は580万960円。このパックを選択すると、希望のイメージをイタルデザイン側へ伝えることで、専任デザイナーが具体的なサンプルデザインを作成してくれる。たとえば、往年の日産レーシングカーデザインを忠実に再現することも可能とのことだ。
さらには、ノーマルのリアウイングとはサイズやデザインも大幅に異なる「油圧式可変ウイング(Hydraulic wing)」も580万960円で選択が可能となるなど、「世界で1台、自分だけのGT-R50 byイタルデザイン」を設えることができるのだ。
イタルデザイン社による仕切り直しの生産スタートは2021年8月から、そして日本国内へのデリバリーは2021年末以降を目標としているという。ただし新型コロナウイルスの影響により、生産国のイタリアおよびパーツ生産国でロックダウンなどが発生してしまった際には、生産・輸送の予定が遅延する可能性も否めない。
それでも日本由来の日産GT-Rに、かのイタルデザインがさらなる価値を上乗せした特別なクルマたちがわが国に上陸する日が、今から待ち遠しくてならないというのが正直な気持ちだ。
ちなみに、GT-R50 byイタルデザインを間近で見られる貴重なチャンスとなる展示期間は、2021年の3月31日までとされているものの、現在の「NISSAN CROSSING」は新型コロナウイルス感染拡大防止のために開館時間を短縮しているとのことだ。
さらに急遽、休館することもあり得るそうなので、興味のある方は事前にホームページをチェックされたし。
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