クルマと道路は切っても切り離せないもの。交通ジャーナリストの清水草一が、毎回、道路についてわかりやすく解説する当コーナー。今回は慢性的な渋滞が問題になっている東名高速の対応策の結果と次の問題について考察していく。
文/清水草一、写真/フォッケウルフ、出典/NEXCO中日本
東名高速の渋滞対策が空振り三振! 8年間いったい何をやってきたのか!?【清水草一の道路ニュース】
■付加車線設置による渋滞対策は残念な結果に
全国で高速道路ネットワークが充実し、恒常的な渋滞が徐々に減少するなか、神奈川県内の東名高速道路では、コロナ明け後、渋滞の悪化が著しい。
その背景には、圏央道沿道への巨大物流拠点の集中や、首都高・横浜環状北西線の開通によって、東名への流入交通量が増加したという外部要因があるが、付加車線の設置による渋滞緩和策が機能していないのも事実だ。
この3月、国交省が主催する「神奈川県渋滞ボトルネック検討ワーキンググループ」の第6回会合が開かれたが、その内容を知り、「彼らはこの8年間、いったい何をやっていたんだ!」と呆れるしかなかった。
東名関連の渋滞ワーキンググループでは、2015年末に大和トンネルの前後に付加車線を設置することを決定し、6年後の2021年に一部が完成して運用を始めている。
東名高速道路(横浜町田~海老名JCT間)の渋滞対策として、大和トンネル付近に付加車線が設置、運用されている。出典/NEXCO中日本
大和トンネル前後に掲示されていた「大和トンネル拡がります」や、拡幅後の「大和トンネルひろがりました」の横断幕を見たことのあるドライバーは、少なくないだろう。
しかし、効果はほんのわずかだった。
下り線に関しては効果ゼロ。これは、下り線のサグ部の付加車線が未完成なので仕方ないが、サグ部が拡幅された上り線でも、渋滞の先頭が大和トンネルから綾瀬スマートインター付近に移動しただけで、渋滞量はほとんど減っていないし、むしろ平日は交通量の増加によって悪化している。
付加車線運用開始後、渋滞発生箇所は東京側へ移動した。出典/NEXCO中日本
上り線は、綾瀬スマートインター付近で4車線から3車線に減り、その1.3km先で再び4車線になる。なぜ途中に3車線区間を残したのか、当初から不可解だった。
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みんなのコメント
却って渋滞を呼び寄せているのではないでしょうか。
車線が増えた部分では皆さん速度を上げて走りますが、車線が減るところでは必ず渋滞をしてしまっており、それが車線を増やした部分までに及んでいるのが今の状態です。
渋滞をなくすのは、車の速度を一定に保てる道路状況を作ることが重要だと思います。海老名のところで一時車線規制をして4車線ではなく3車線での状態がありましたが、この時はほとんど渋滞をしない状態でした。
土日はお休みの電車通勤の役人とか。
車線が増えたり減ったりすれば、合流が増えるのは当たり前。