スバルファンのみならずクルマ好きの方ならすでにご存知のことと思うが、1989年に登場してから30年、ここまでスバル、そして日本の自動車業界の名エンジンとして活躍してきた「EJ20型水平対向ターボエンジン」が、年内で生産を終了する。
これに伴って「EJ20」を搭載する日本市場向け・現行型WRX STIも、2019年12月末で受注を終了することとなった。
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11月14日夕刻。その現行型WRX STIの集大成として発売が決定された、555台限定のEJ20搭載最終仕様「WRX STI EJ20 ファイナルエディション」の抽選結果が発表された。
ファイナルエディションには応募が殺到しており、11月頭の時点で10倍超の倍率になっているとお伝えしたが、本稿の取材で最終的な倍率は20倍超になっていたことが判明した。
筆者 自動車ライターの大音氏の抽選結果は…あえなく落選。しかし諦めきれない氏は、12月23日(月)が受注受付締切となるカタログモデル(標準モデル・タイプS)の購入を求め、スバルディーラーへと向かったのだった。
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文:大音 安弘/写真 SUBARU
■「ファイナルエディション」応募総数は1万3000件!
スバルの名機EJ20型エンジンの生産終了を記念した最終限定車「スバルWRX STI EJ20 ファイナルエディション」は、555台のみの販売となる。その優先購入権の応募も11月11日で締め切られた。
最終的な応募総数は、なんと約13,000件。倍率にすると、23.4倍にも上る。ファイナルエディションを手にするのは、本当に困難な道となっていた。
もちろん、筆者も、しっかりと応募。その抽選結果が、2019年11月14日の夕方に、応募者全員にメールで通知された。
その結果は……「落選」。つまりファイナルエディションの購入は、叶わぬ夢となってしまった。
スバル WRX STI EJ20 Final Edition。EJ20ターボは初代レガシィを皮切りに幅広い車種に採用され、世界ラリー選手権(WRC)やニュルブルクリンク24時間レースをはじめとするモータースポーツにおける活躍にもおおいに貢献してきたパワーユニットだった
最も幸運な555名の中には、様々な事情で購入を断念する人もいるだろう。しかし、今から動いても、無駄だ。
もしキャンセルが発生した場合、今回の応募者から次点となる優先購入権が与えられる人物も決定している。もし1台の購入枠が発生したら、556番目の人にその権利が与えられるというわけだ。
とはいえ、断念する人は、ごくわずかと見られるだけに、微かな希望に過ぎないのが現実だ。
30年の長きに渡り自動車ファンに深い感銘を与えた名機「EJ20」。量産モデルとしてインプレッサ STIがランエボと繰り広げたし烈なパワーウォーズは記憶に新しいだろう。初代STiでは250ps/32.5kgmだった出力は、最終型となるWRX STIでは308ps/43.0kgmまで向上している。
外れたからといっても、WRX STI自体の購入が出来ないわけではない。カタログモデルの受注は、2019年12月23日までと、公表されているからだ。
そこで筆者も気持ちを切り替えて、カタログモデルの検討のために、再びディーラーへと出向いた。
■受注期間の前倒し終了もある!?
対応してくれた東京スバル恵比寿店セールスの田中さんによると、東京スバル全店舗だけでも約1700件の応募があったそうで、自身で抽選受付担当した数台も全て落選。「想像以上に、厳しい結果でした」と残念そう。
生産終了のニュースを受けて、限定車だけでなく、カタログモデルを検討する顧客も増加。店頭のWRX STIのカタログも在庫切れになってしまったとのこと。
筆者も改めて、WRX STIカタログモデルの見積書を作成してもらった。
標準モデル。基本設計自体は古いものの、パフォーマンスの高さとファンを魅了する比類なき存在感を感じさせるエンジンは、本当に少なくなってしまった。
今回の条件は、より現実的な見積書となるように、仕様と装備を厳選。ベースグレードに、本当に必要と思ったオプションを加えたものとした。
●WRX STI(ベースグレード/マグネタイトグレー・メタリック)見積書
※1 ベースグレードの場合、アドバンスセイフティパッケージを選択すると、コールドウェザーパックとウェルカムライティングがセットオプションとなる。※2 オプション内容、SUBARU NAVI PACK 楽ナビ(カロッツェリア楽ナビ、リヤカメラ、ETC2.0車載機、取付工賃及び付属品含む)\274,120、フロアカーペット\36,850、ETCセットアップ代\3,135。※3 諸費用内訳、2019年12月よりの自動車税、環境性能割、自動車重量税、自賠責保険料37か月分、登録諸費用、リサイクル費、店頭納車及び下取り車なし、2年分の延長新車保証料\12,870、3年間の点検パック\99,500を含む
今回は、ベースグレードに、メーカーオプションのアドバンストセイフティパッケージを装着。
それだけで価格は、16万5千円高となるが、死角をカバーするカメラやセンサー機能が加わるだけでなく、足元を照らしてくれる「フットランプ」やフロントワイパーデアイザーなども追加されるので便利だ。
もちろん、非装着となれば、より購入費を圧縮することができる。
またディーラーオプションは、エントリークラスのナビ、バックカメラ、ETC2.0車載機、フロアカーペットのみとした。
もしナビが不要ならば、CDラジオを選べば良い。ETC2.0車載機とCDラジオ、フロアカーペットだけに絞れば、オプション品の価格は、半額以下の12万円程度に抑えられる。
さらに価格を抑えるなら、ディーラーオプションは非装着とし、納車が個人的に好みのものを選ぶこともありだ。
■本当に欲しいならディーラーに行って悩むべし!
総額が簡単に500万円を超える「ファイナルエディション」と比較すれば、ぐっと現実的な価格だが、470万円も決して安い買い物ではない。
そこで値引きを尋ねると、ファイナルエディションについては「ゼロ」だったが、カタログモデルならOKとの返事。
ただ指名買いが多い車種だけに、10万円程度と厳しい。また販売店独自のキャンペーンにより付属品からの値引きが見込める場合もあるという。
筆者自身でもWRX STIの値引き情報を調査してみたが、一般的には15万円引きとなれば大成功のようだ。
ただ田中さんによれば、限定車発表と生産終了のニュース以降、WRX STIの問い合わせや商談の予約が増えており、購入を希望するなら、決断は急いだほうが良いとアドバイスしてくれた。
Type S。驚かせるつもりは決してないが、仮にWRX S4/STIそのものの「次」があったとして、それが日本でも発売されるとは限らない(現に今年1月のS209・限定200台は北米限定での発売となった)。「EJ20ターボ搭載車がほしい!」という人は、まずはディーラーに足を運んでみよう
スバル広報部に確認したところ、WRX STIの受注締め切りは、2019年12月23日という発表に変更はないとするが、同時に生産終了時期も決定されており、生産台数にキャパがあるのも事実だという。
もしファイナルエディションの落選者の多くが、カタログモデルの購入へと流れた場合、受注終了期間が、大幅に前倒しになる可能性は十分にあり得る。脅すわけではないが、悠長に検討している時間はあまりなさそうだ。
「ファイナルエディション」の称号は、確かに魅力的であり、将来的な価値が期待できるだろう。
ただ様々な規制が強化されていく中、ハイパワーのピュアガソリンエンジンの存在は、どんどん貴重となっていくことはいうまでもない。
たとえベースグレードのWRX STIであっても、走りのアイテムに不足はなく、ブレンボ製6ポッドフロントブレーキキャリパーやマルチモードDCCD方式AWDは全車共通。もちろん、エンジン性能も同じ。必ずしも上位のタイプSを選ぶ必要性はない。
無論、ビルシュタイン製ダンパーや19インチアルミホイールなど差別化はあるのが、ここは予算や好みで決めればよい。
何より大切なのは、「最後のEJに乗る」という経験であり、クルマ好きにとって、ひとつの財産となるはずだ。
もし購入の意思があるなら、スバルディーラーに駆け込み、見積書を前にして悩んでみた方が良い。
ラストチャンスとなる今、みすみす買い逃すという過ちだけは犯さないようにしたい。
しつこいようだが「早め早め」の行動を!
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