ミドルサイズのクーペSUV、2代目へ
メルセデス・ベンツのミドルサイズSUV、GLCクーペは、3月中旬に2代目の新型に切り替わる予定だ。
【画像】人気ミドルクラスSUVがフルモデルチェンジ【新型メルセデス・ベンツGLCクーペをSUVや現行型と写真で比較】 全70枚
しかし、AUTOCAR英国編集部はその発表の少し前に、最後の仕上げが行われているプレプロダクションのプロトタイプに同乗することができた。
2016年に初めて登場したGLCクーペは、当初からGLC(標準のSUV)よりもスポーツ性の高いモデルとして構想されていた。これは新型でも同様だと、メルセデス・ベンツのミドルサイズ車の開発責任者であるペーター・コルブ氏は言う。
「要点は大きく変わっていません。新型GLCクーペは、ラインナップの中でダイナミック寄りのモデルとなるよう、今回も開発しました。SUVのGLCとの差は大きくありませんが、走行特性はややスポーティになっています」
プロトタイプの助手席に座り、彼の言葉を聞きながら、ドイツにあるメルセデス・ベンツのインメンディンゲン試験場から公道へ出る。
GLCは、メルセデス・ベンツにとって最も重要なモデルの1つである。短命に終わったGLKの後継車としてラインナップに加わって以来、常にセールスチャートの上位に君臨している。全世界で累計200万台以上を販売し、そのうち20%にあたる40万台がクーペと言われる。
コードネーム「C254」と呼ばれる新型は、エクステリアのスタイリングを全体的にシャープに仕上げている。新デザインのグリル、薄いLEDヘッドランプ、サイドとドアに沿った明確なボディライン、リアエンドには新デザインのテールランプが採用されている。
従来通り、大きく寝かせたルーフライン、リフトバックスタイルのテールゲート、そしてスタイリッシュなリアエンドによってGLC SUVと差別化されている。寸法的には大型化しているが、それほど大きくはない。コルブ氏によれば、全長は32mm長い4763mmで、ホイールベースは15mm伸びて2888mmになったという。
新デザインのサイドミラーや下部フラットパネルなどの採用により、空気抵抗は従来のCd値0.30から0.29に低減され、より効率的な空力特性を実現している。
内装の質感向上 トランク容量も拡大
インテリアでは、ダッシュボードに高級素材を使用して質感を高めている。12.3インチのメーターディスプレイや11.9インチのポートレートスタイルのインフォテインメント・ディスプレイなど、多くの要素はCクラスと共通である。
新しいソフトウェアの採用により、MBUXオペレーティングシステムと、オプションの会話型コマンドプロンプト「Hey Mercedes」、さらに最高100km/hで動作するクルーズコントロール「アクティブ・ディスタンス・アシスト・ディストロニック」など、より幅広い運転支援システムを搭載する。
また、タッチセンサー式パッドと従来のボタン式コントロールを組み合わせた新しいマルチファンクション・ステアリングホイール、サポートとボルスターを追加した硬めのクッションが自慢の新しいフロントシート、最大100Wの3つのUSB-Cポート(オプションで最大6つまで可能)、新しいスマートフォン充電パッドも装備されている。
全体として、とても好感の持てるキャビンだ。そして、以前よりもいくらか広くなっているのも事実である。トランク容量は45L増えて545Lとなり、リアシート(オプションで電子制御式ドロップ機能を用意)を倒すと1390Lまで拡大する。バッテリーをトランクの床に収納するPHEVモデルでは、先代モデルより30L増えて390Lになり、リアシートを倒せば1200Lにまで拡大される。
電気だけで130km走れる 足の長いPHEV
新型GLCクーペのパワートレインの詳細は伏せられているが、AUTOCARはガソリンとディーゼルの計画を確認することができた。いずれも統合スタータージェネレーター(ISG)を搭載する48Vマイルドハイブリッドで、加速時に23ps(17kW)と20.4kg-m(200Nm)を追加する。
GLC 200クーペは、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒ガソリンエンジンを搭載し、最高出力204ps(150kW)、最大トルク32.6kg-m(320Nm)を発生する。その上に位置するのがGLC 300クーペで、同じエンジンを搭載しながらよりパワフルなチューニングを施し、258ps(190kW)と40.8kg-m(400Nm)を発生する。
英国では、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒ディーゼルエンジンを搭載し、197ps(145kW)と44.8kg-m(440Nm)を発生するGLC 220dクーペも加わる予定だ。
また、3種類のPHEVモデルも計画されている。GLC 300eクーペとGLC 400eクーペは、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒ガソリンエンジンと電気モーターを共有し、システム出力は前者が312ps(230kW)と56.1kg-m(550Nm)、後者が380ps(280kW)と66.2kg-m(650Nm)となっている。
開発中のディーゼルPHEVモデル、GLC 300deクーペもある。こちらは、ターボチャージャー付き2.0L 4気筒ディーゼルと電気モーターを組み合わせて、最大333ps(245kW)と76.5kg-m(750Nm)を発揮する。
いずれのPHEVモデルにも24.8kWhバッテリーが搭載され、EV航続距離はWLTPサイクルで130km以上と謳われている。充電能力も向上し、ACシステムでは11kW、DCシステムでは最大60kWの充電に対応しており、コルブ氏によると後者は20分以内に10~80%の充電が可能だという。
全車に9速AT「9Gトロニック」と四輪駆動システム「4マチック」が標準装備され、前後45/55の駆動配分となる。英国編集部が同乗したGLC 300クーペは、ガソリンエンジンの基準からしてもよく洗練されており、低いギアでの負荷振動が大きく減り、高いギアでは巡航速度で純粋に静粛性を高めている。
ガソリンモデルには、エコ、コンフォート、スポーツ、オフロード、インディビジュアルの5種類の走行モードが用意されている。スポーツでは、圧倒的な性能とまではいかないものの、意欲的な走りが楽しめる。0-97km/h加速のタイムは未公表だが、SUVのGLC 300が謳う6.2秒に匹敵すると思われる。
成熟したダイナミック特性 全方位進化
プラットフォームは、最新のCクラスと共通するモジュラー・リア・アーキテクチャ(MRA)のさらなる発展版である。足回りはGLC SUVと同様に、標準装備のスチールスプリングまたはオプションのエアスプリングと、常時可変のアダプティブ・ダンピング・コントロールを組み合わせた新開発のサスペンションが採用されている。
最も大きな変更点は、後輪操舵システムの採用である。GLCで初めて採用されたこのシステムは、最大4.5度の舵角を持つ。「ステアリングは以前よりもダイレクトになりました。後輪操舵が加わったことで、旋回半径がより小さくなりました。そのため、市街地走行での操作性が向上しています。しかし、同時に、オープンロードでの俊敏性も向上しています」とコルブ氏は言う。今のところは、彼の言葉を信じるしかないだろう。しかし、助手席から見た限りでは、かなりレスポンスがよくて小回りが効くという印象を受けた。
新型GLCクーペのハンドリングと全体的なダイナミック特性には、成熟した雰囲気がある。コーナリング中のボディロールも、加速時・ブレーキング時のピッチやダイブも、うまくコントロールされている。この点では先代モデルよりも進化しているように感じられ、調和のとれた構成となっている。
オプションのエアサスペンションを装着すると、乗り心地も劇的に洗練される。プロトタイプに装着されていた225/45 R20(フロント)、285/40 R20(リア)のオプションタイヤでも、小さな段差に対するショックの吸収性は高く、高周波のロードノイズの遮断性も以前より向上している。
コルブ氏は、プラットフォーム剛性の向上とアダプティブ・ダンピング・コントロールの即応性によって、全体的な乗り心地が明らかに改善されたと評価しており、それが新型車の開発における要点であったと話す。
また、トランスミッショントンネルに採用されたビチューメン(瀝青)系の新素材も、低振動・低騒音の要因の1つだ。
メルセデス・ベンツがいかに真剣にエンジニアリングに取り組んでいるかは、オプションのオフロード・パッケージにも表れている。このパッケージには360度カメラが含まれ、フロント下の地形をインフォテインメント・ディスプレイ内の「トランスペアレント・ボンネット」という機能でライブ表示することができる。
オプションのトレーラー・マヌーバリング・アシストもアップデートされ、最大90度の角度で操作できるようになり、狭い場所でのトレーラー駐車が以前より簡単にできるようになったという。
新型GLCクーペについてはまだ多くのことが分かっていないが、開発の最終段階のプロトタイプに一足先に乗ってみたところ、あらゆる重要な部分が改良されていることがわかった。
よりシャープなスタイリング、より効率的なドライブトレイン、よりハイグレードなインテリア、最新の運転支援システムが、俊敏なハンドリング、優れた乗り心地、内燃機関の洗練性と相まって、幅広い魅力を築き上げている。販売面での成功はまだまだ続きそうだ。
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みんなのコメント
あと、価格が新型GLCはめちゃくちゃ高くなってるんでねぇ、それ以上に上乗せになるクーペはどうかな…。