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英国自動車産業 EUからの「合意なき離脱」による危機を訴える

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英国自動車産業 EUからの「合意なき離脱」による危機を訴える

もくじ

ー 1分間に約680万円の損失
ー 通関と関税が大きな障害に
ー 合意なき離脱という選択肢はありえない
ー カーボン・ニュートラルの実現に向けて

ホンダ英の工場閉鎖 本当にEU離脱と無関係? カギは電動化と関税

1分間に約680万円の損失

英国の自動車業界は、EU離脱が避けられない場合、摩擦のない通商関係を維持するように政府に要求している。

自動車メーカーにとって1日あたり7000万ポンド(約95億円)もの損失を被るという大災害を避けるためだ。

貿易協定を結ばずにEUを離脱すれば、関税や税関手続きによって、英国の自動車業界では1分あたり5万ポンド(約680万円)の損失が発生すると、SMMT(英国自動車製造販売協会)は警告している。

「2019年を迎えたときには確信がありましたが、今は明らかに違います。われわれは保守党党首選の真っ只中にいます」SMMTのマイク・ハウズ代表は語った。

通関と関税が大きな障害に

2019年の英国自動車産業貿易報告によると、英国自動車業界にはEUから1日あたり平均1100台のトラックが、4200万ポンド(約57億円)相当の自動車部品を届けている。

さらに毎日4800台の乗用車と6500基のエンジンが、英国から輸出されている。これらの大規模な貿易は現在、通関を必要としない。

英国とEU各国市場の貿易で新たに生じるいかなる関税障壁も、自動車業界のジャスト・イン・タイム式生産を脅かすことになる。英国の工場内に多くの在庫を抱えなければならないことになるとSMMTは警告する。

これに加え、英国が欧州を単一市場とするEU関税同盟から離脱すれば、貿易内容に関わらず、すべての企業が詳細な申告をする必要が生じ、通関手続きに手間取るようになる。

合意なき離脱という選択肢はありえない

昨年、最も人気が高い5車種の製造が英国から国外に移された。日産キャッシュカイ、ミニ・ハッチバック、ホンダ・シビック、トヨタ・オーリス、ランドローバー・レンジローバー・スポーツだ。欧州は英国にとって最大の輸出市場である。次いでアメリカ、中国、日本、トルコとなっている。自動車産業によって、1年に180億ポンド(約2.5兆円)以上が英国の歳入関税庁に入ると言われている。また、自動車産業では16万8000人が働いている。

「英国には世界的に有名なブランドがあり、多くの価値と高い技能が必要な仕事を生み出しています」と、ハウズは語る。「英国自動車産業の成功は、自由貿易のもとに確立されています。このままではEU離脱がこの業界に明らかな危機をもたらすでしょう。合意なき離脱という選択肢はありえません」

英国の自動車製造を保護するためには、年間1010億ポンド(約14兆円)が必要になる見込みであると、SMMTは政府と経済界に忠告している。

前向きな自動車貿易戦略は、新世代の車両と自動車技術、現在の市場アクセスの維持、より強力な雇用、適切な議論の拡大、国内の税関制度の整備、貿易振興のさらなる育成をともなう。

カーボン・ニュートラルの実現に向けて

同時に、ハウズとフォルクスワーゲン・グループのアレックス・スミスは、自動車メーカーと消費者が排ガスゼロ経済を達成するための援助を政府に要望した。

「政府は自動車製造業者に、長期的な目標を持って、長期的に関与しなければなりません。つまり、インフラへの投資、長期的な助成金、新しい技術に対する財政的援助です」と、ハウズは政府に呼びかける。

「ID.3を英国で発売する際、われわれはそれを顧客にカーボン・ニュートラルに提供したい。サプライチェーンや物流で排出される二酸化炭素も、すべて削減または相殺したいのです。自動車の生産から廃棄まで、カーボン・ニュートラルなものとしてお客様に提供することが重要なのです」と、スミスも続けた。

英国をネット・ゼロ・エネルギーに導く政府の挑戦を挙げ、気候変動委員会のクリス・スターク委員長は、「率直にいうと、政府は課題の大きさに困惑しているのだとわたしは思います」と語る。そして、電気自動車や電化住宅が増えれば、その需要に応えるために電気の供給を2倍にする必要があるということを説明した。

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