現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜクルマによって「ボンネット」の長さ変わる? 「SUVは長い」対「ミニバンは短い」 背景には何が関係してた?

ここから本文です

なぜクルマによって「ボンネット」の長さ変わる? 「SUVは長い」対「ミニバンは短い」 背景には何が関係してた?

掲載 56
なぜクルマによって「ボンネット」の長さ変わる? 「SUVは長い」対「ミニバンは短い」 背景には何が関係してた?

■SUVのボンネットが長く、ミニバンのボンネットが短いワケ

 様々なボディタイプのなかでも高い人気を誇るSUVとミニバンには、ボンネットの長さという外見上の大きな違いがあります。
 
 SUVとミニバンのボンネットの長さは、なぜこれほどまでに異なるのでしょう。

ホンダ新型「エリシオン」約507万円から発売!六角グリル採用&内外装刷新!

 6人以上の多人数乗車ができるクルマを求めると、基本的には3列シートSUVかミニバンから選ぶことになります。

 それぞれのボディタイプには一長一短がありますが、外見上の大きな違いで言えば、SUVが長いボンネットを備えているのに対し、ミニバンのボンネットは比較的短いという点が挙げられます。

 近年のSUVは、「都市型SUV」や「スポーツSUV」といった様々なスタイルへと派生しており、かつてよりもその言葉が意味するものが広がっています。

 しかし、どんなスタイルであっても「SUV」と名が付くものは基本的に長いボンネットを備えており、SUVの特徴のひとつとなっています。

 ボンネットの長さは、その下におさまるエンジンの大きさと配置方法(駆動形式)によって決まりますが、クルマにとって最大級の重量物であるエンジンをどのように配置するかによってそのクルマの特性は大きく変化します。

 物理法則から言えば、重量物はできるだけ車体の中心に配置した方が走行安定性や旋回性の面で有利になります。

 しかし、車体中心部にエンジンを配置してしまうと、乗員のためのスペースの確保が難しくなるため、一部のスポーツカーやレーシングカーなどを除いて採用されることは皆無です。

 そこで、ほとんどのクルマではフロントにエンジンを置くわけですが、居室空間を確保するためにエンジンをあまりに前に置いてしまうと、フロントヘビーになりクルマとしてのバランスが悪くなってしまいます。

 ただ、居室空間も確保しなければならないため、ボンネットを延長することでエンジンをできるだけ車体の中央部に寄せ、全体のバランスを保っています。

 SUVはセダンなどに比べて車両重量が大きくなりやすいため、エンジンも大きなものが採用される傾向があります。

 加えて、SUVは重心が高いため、ボンネットを長くしてエンジンの配置を工夫しなければバランスが悪くなってしまうという問題があります。

 その結果、SUVの多くはボンネットが長いデザインが採用されているようです。

 一方のミニバンは、その名のとおり「(商用)バン」を源流としているため、乗用車から派生したSUVとは少し事情が異なります。

 ミニバンに求められるのは多くの人や荷物を乗せることであり、運動性能などは基本的に二の次です。

 そうなると、コンパクトなエンジンをできるだけ前方に寄せることで最大級の荷室空間を確保するようなパッケージとなります。

 もちろん、ミニバンにもボンネットを長くすることで得られるメリットはありますが、全長が長くなるなどのデメリットも同時に発生します。

 海外のミニバンではボンネットの長いものもありますが、特に日本国内向けのミニバンでは、取り回しのしやすい全長や見切りの良さを重視してボンネットの短いデザインとすることが多いようです。

■いまでは「ボンネットの短いSUV」も可能?それでも実現しない理由とは

 ここまで述べたように、SUVとミニバンのボンネットの長さの違いは、それぞれのボディタイプの成り立ちに大きく関わっています。

 一方、技術が進歩した現在では、かつてよりも小さなエンジンでより多くのパワーを引き出すことができるようになっています。

 また、BEVやPHEVといった新たなパワートレインも登場し、内燃機関における常識が通用しなくなりつつあります。

 つまり、「ボンネットの短いSUV」を開発することは、技術上難しくないということになりますが、近年登場する新型SUVの多くは、やはり長いボンネットを備えています。

 この点は、SUVを求めるユーザーの心理が大きく関わっているようです。

 SUVのメリットは、余裕のある室内空間と優れた走り、そして美しいデザインを兼ね備えている点にあります。

 この「美しいデザイン」を実現するために、フロントウィンドウを寝かせることでクーペのような流麗なシルエットを作り出す手法が採用されることが多くあります。

 フロントウィンドウを寝かせた上で一定の視界を確保するためには、フロントウィンドウそのものを長くしなければなりませんが、そのうえで流麗なシルエットとするためには、ボンネットを長くして全体のバランスをとる必要があります。

 一方、ミニバンは多くの人や荷物を乗せることがデザインよりも優先されるボディタイプであることから、そのシルエットは基本的には箱型となります。

 多くの人が「美しいデザイン」と感じる流麗なシルエットではないことから、一部のユーザーはミニバンを敬遠することがあるのも事実です。

 逆に言えば、居住性を追求してボンネットを短くしたSUVは、もはやミニバンの一員であり、SUVとは呼べないモデルです。

 SUVとミニバンを掛け合わせたモデルとしては、三菱「デリカ D:5」などが挙げられますが、自動車市場全体から見ればそうしたクルマはごく少数です。

 クルマのデザインは、技術の進歩やさまざまな規制によって変化してきた歴史があるのは事実ですが、その時々のユーザーのニーズも色濃く反映されてきました。

 電動化が進む昨今では、これまでの常識にはないさまざまなデザインも実現可能と言われていますが、実際に市販されるクルマのデザインのほとんどは、内燃機関車の延長にあります。

 結局のところ、多くのユーザーが「SUVらしさ」や「ミニバンらしさ」を求める限り、技術的には可能であっても、「ボンネットの短いSUV」や「ボンネットの長いミニバン」は主流とはならないということのようです。

※ ※ ※

 空気抵抗を現象させることで燃費性能を向上させたり、クラッシャブルゾーンが大きくなることで衝突による被害を軽減させたりというように、ボンネットを長くすることのメリットはほかにもあります。

 ただ、電動パワートレインの採用や先進安全運転支援システムの搭載などによって、ボンネットが短いクルマでも一定以上の基準を満たすことは可能であるため、これらの理由によってボンネットを長くしなければならないというわけではありません。

 それでも、ボンネットの長いクルマが多く存在するのは、やはりユーザーのニーズによるものが大きいと言えそうです。

 そういう意味で言えば、ボンネットの長さは、クルマのなかでもユーザーの好みを最も色濃く反映させている部分のひとつなのかもしれません。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
8年目の小さな「成功作」 アウディQ2へ試乗 ブランドらしい実力派 落ち着いた操縦性
AUTOCAR JAPAN
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
RSCフルタイム引退のウインターボトム、2025年は古巣に復帰しウォーターズの耐久ペアに就任
AUTOSPORT web
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
ハコスカ!? マッスルカー!?「ちがいます」 “55歳”ミツオカ渾身の1台「M55」ついに発売 「SUVではないものを」
乗りものニュース
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
スズキ、軽量アドベンチャー『Vストローム250SX』のカラーラインアップを変更。赤黄黒の3色展開に
AUTOSPORT web
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
元ハースのグロージャン、旧知の小松代表の仕事ぶりを支持「チームから最高の力を引き出した。誇りに思う」
AUTOSPORT web
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
本体35万円! ホンダの「“超”コンパクトスポーツカー」がスゴい! 全長3.4m×「600キロ切り」軽量ボディ! 画期的素材でめちゃ楽しそうな「現存1台」車とは
くるまのニュース
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
リアウィンドウがない! ジャガー、新型EVの予告画像を初公開 12月2日正式発表予定
AUTOCAR JAPAN
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
最近よく聞く「LFP」と「NMC」は全部同じ? EV用バッテリーの作り方、性能の違い
AUTOCAR JAPAN
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
アロンソのペナルティポイントはグリッド上で最多の8点。2025年序盤戦まで出場停止の回避が求められる
AUTOSPORT web
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
「俺のオプカン~仙台場所~」初開催!「オープンカントリー」を愛する男性ユーザーが集まって工場見学…川畑真人選手のトークショーで大盛りあがり
Auto Messe Web
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
「ラリーのコースなのでトンネル工事を休止します」 名古屋‐飯田の大動脈 旧道がレース仕様に!
乗りものニュース
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
紫ボディはオーロラがモチーフ、中国ユーザーが求めた特別なインフィニティ…広州モーターショー2024
レスポンス
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
『頭文字D』愛が爆発。パンダカラーで登場のグリアジン、ラリージャパンで公道最速伝説を狙う
AUTOSPORT web
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
トヨタ勝田貴元、WRCラリージャパンDAY2は不運な後退も総合3番手に0.1秒差まで肉薄「起こったことを考えれば悪くない順位」
motorsport.com 日本版
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
日産「新型ラグジュアリーSUV」世界初公開! 斬新「紫」内装&オラオラ「ゴールド」アクセントで超カッコイイ! ド迫力エアロもスゴイ「QX60C」中国に登場
くるまのニュース
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
エコの時代に逆行!? 「やっぱ気持ちいいのは大排気量のトルクだよね」……800馬力超のエンジンが吠える「アメ車」マッスルカーの“クセになる世界”とは
VAGUE
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
変化と進化──新型ロールス・ロイス ゴースト シリーズII試乗記
GQ JAPAN
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
加熱する中国高級SUV市場、キャデラック『XT6』2025年型は「エグゼクティブシート」アピール
レスポンス

みんなのコメント

56件
  • ネタに困ってますね。
  • エンジンの搭載方法の違いについて説明がないとかどうなってんの?って感じですね
    FRベースの縦置きエンジンなのか、FFベースの横置きエンジンなのかによってボンネット長は大きく変わってきますよね。
    ランクルのような本格的な4WD は前者、ミニバンや街乗りSUVは後者に分類されるかと思います。
    それくらいの解説はあって然るべきかと。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1207.51254.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

248.0568.0万円

中古車を検索
クーペの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

1207.51254.8万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

248.0568.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村