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【SUV隆盛なのに……】なぜ三菱パジェロは、日本仕様の生産を終えるのか? コアなファンが離れ懸念

パジェロ製造株式会社の生産停止

text:Yoichiro Watanabe(渡辺陽一郎)

【画像】2020~2022年度中期経営計画 期待の2台【ディテール】 全149枚

三菱のオフロードSUV「パジェロ」は、2019年8月に日本国内仕様の生産を終えた。

この後、東南アジア諸国、オーストラリア、中国向けなどは生産を続けたが、三菱の2020~2022年度中期経営計画では、生産体制再編としてパジェロ製造株式会社の生産停止が盛り込まれた。

パジェロ製造株式会社は、三菱自動車が100%出資する完全子会社で、これまでパジェロ、デリカD:5、アウトランダーなどの生産をおこなってきた。

この内、デリカD:5とアウトランダーについては生産を岡崎工場に移管するが、パジェロに関してはアナウンスされていない。

三菱自動車に尋ねると「今後の商品展開は未定だが、パジェロの生産をおこなっているのは、今はパジェロ製造株式会社のみ」だという。

つまり海外では生産しておらず、生産移管の話も出ていないので、パジェロ製造が稼働を停止すればパジェロの生産も終わる。

そこでなぜパジェロが終了してしまうのかを改めて考えたい。

今のノートと同等の売れ行きだった

最近はライズ、ハリアー、RAV4などSUVの人気が高い。

根本的な理由は、SUVがワゴンと同様の優れた居住性や積載性を備えながら、外観もカッコイイと感じるユーザーが増えたためだ。

大径タイヤを装着して、フロントマスクにも厚みがあり、存在感を強めた。

SUVがこのような外観を備えるのは、もともと悪路の走破を目的に誕生したからだ。大径タイヤ、高めの車高などにより、悪路のデコボコも乗り越えやすい。

駆動方式は、以前は後輪駆動をベースにした4WDで、駆動力の伝達効率が優れている。プラットフォームやサスペンションの耐久性も高い。

これらの相乗効果で、SUVは悪路走破力を向上させてきた。

このようなSUVが注目を集めた発端こそ、1982年に発売された初代パジェロであった。

それまでのオフロードSUVに比べると、外観はシンプルで内装は乗用車感覚を強め、40年近くを経た今見ても洗練されている。

パリ・ダカールラリーにも参戦して、1985年には乗用車部門で優勝を飾った。これを上手に宣伝に活用したことで、パジェロの認知度と人気を一層高めている。

パジェロの絶頂期は、1991年に2代目にフルモデルチェンジした直後であった。

バブル経済は終末を迎えていたが、今に比べると景気は良く、パジェロは1992年に約8万4000台(1か月平均で約7000台)を登録している。

パジェロが今日のノートと同等に売れていた。

ところがこの直後、パジェロの売れ行きは急落していく。

なぜパジェロは追い込まれたのか?

パジェロは1990年代の前半までは絶好調に売れたが、その後は人気が急速に下がった。

日本では1994年にRAV4、1995年にCR-V、1997年にはハリアーという具合に、前輪駆動をベースにした乗用車感覚の強いシティ派SUVを投入して、人気が移ったからだ。

パジェロのようなオフロードSUVは、耐久性が高く悪路走破力も優秀だが、前輪駆動ベースのシティ派SUVに比べると、ボディが重くて高重心になる。

従って動力性能、走行安定性、燃費性能などが良くない。

小回りの利きも悪く、床が高いから乗り降りもしにくい。要は日常的な使い勝手に不満が生じやすい。

そこでユーザーは、急速に充実するシティ派SUVに魅力を感じた。

シティ派の欠点は、肝心の悪路走破力がオフロードSUVに比べて低いことだが、日本の一般ユーザーが乗り入れる範囲に本格的な悪路はほとんど存在しない。

雪道ならシティ派SUVでも十分に走行できるから、普及が一気に進んだ。

オフロードSUVのサファリ、テラノ、ハイラックスサーフ、ビッグホーンなどは、2010年までに国内販売を終了している。

またこの時期の三菱は社会的にも厳しい状態に陥った。

2000年代リコール 燃費偽装も

2000年代にリコール問題、2016年にはeKワゴンとデイズの燃費偽装問題も発覚したからだ。

1999年における三菱の世界生産台数は171万9000台で、国内販売台数は58万6000台(乗用車は32万6000台)であった。

これが2005年は世界生産台数が136万3000台、国内販売台数は24万4000台(乗用車は16万3000台)に下がった。

2010年は世界生産台数が117万3000台、国内販売台数は17万6000台(乗用車は13万2000台)だ。

2015年は世界生産台数が121万9000台、国内販売台数は10万2000台。2019年は世界生産台数が136万9000台、国内販売台数は10万3000台になっている。

国内の販売落ち込みが特に大きく、1999年には乗用車だけで32万6000台を販売していたのに、2019年は国内全体で10万3000台にとどまる。

これに伴って、以前は700か所に展開されていた国内販売ディーラー店舗数も今は600か所弱に減った。

このように三菱車全体の販売減少と、オフロードSUVの人気衰退、シティ派SUVの隆盛が重なり、パジェロの2018年における国内販売台数は800台以下まで低下している。

最盛期に比べると10%を下まわり、2019年8月に生産を終えた。

以上の推移を振り返ると、パジェロは三菱の基幹車種として、ギリギリまで生産を続けていたことがわかる。

テラノやハイラックスサーフが消滅していく中で、パジェロはランドクルーザーなどと一緒に、日本のオフロードSUV市場を支え続けた。

パジェロが生産を終えたのには、もう1つの理由が考えられる。

三菱を支えるコアなファンも離れる

パジェロが生産を終えたもう1つの理由は、三菱の手掛けるSUVの車種数が増えたことだ。

2020~2022年度中期経営計画によると、2020年にエクリプス・クロスPHEVを加え、2021年には次期アウトランダーが登場する。

中国市場向けの新型SUVも加わる。2022年には次期アウトランダーPHEVも登場する予定だ。

このほか今の三菱は、海外モデルとして3列シートを備えた空間効率の高いミニバン風SUVのエクスパンダー、後輪駆動ベースのオフロードSUVとされるパジェロスポーツも用意する。

2023年以降には、エクスパンダーやパジェロスポーツのフルモデルチェンジもおこなわれる予定で、SUVのラインナップが整ってきた。

いい換えるとパジェロへの依存度が下がっている。

それでもパジェロのラインナップが欠けるのは寂しい。

今はランサーエボリューションなどを選べないから、三菱の個性を明確に実感できる車種が減っている。

コンパクトカーはミラージュの魅力が乏しく、デリカD:2はOEM車だ。SUVもRVRは古く、実質的にアウトランダーとエクリプス・クロスに限られてしまう。

そうなるとパジェロを廃止したなら、パジェロスポーツやエクスパンダーをカッコ良くドレスアップして、日本国内で売ることも考えたい。エクリプス・クロスのスポーツモデルも欲しい。

三菱には4WDを好む技術指向のファンが多いので、そこに響く新型車を投入すべきだ。

パジェロの志を受け継ぐ車種が曖昧になると、三菱の求心力も弱まり、コアなファンが離れかねない。

それは三菱にとって、取り返しの付かない甚大な損失になる。

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