1963年のデビュー以来、8世代目のポルシェ「911」である“タイプ992 ”が、2018年のロサンジェルスショーで公開された。日本へは、2019年中の導入が期待されている。発売に先立ち、ドイツで新型911の「カレラS」と「カレラ4S」に関するワークショップが開催された。
タイプ992のボディは完全な新設計である。そのアーキテクチャーはMMB(モジュラー・ミッドエンジン・プラットフォーム)と呼ばれ、アルミや高張力鋼板を多用し、軽量化と高剛性化を両立している。ホワイトボディの重量は、先代のタイプ991から12kg軽い240kgになった。
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興味深いのは993→996でプラス20%、996→997でプラス10%と重くなったホワイトボディ重量が、997→991でマイナス11%と減少に転換し、そして991→992ではさらにマイナス5%の軽量化を果たした点だ。992の全長が20mm伸び、かつフロントトレッドが40mm以上も拡大されているので驚異的といっていい。
軽量化のため、ボディ外板にはほぼ全面的にアルミシートを採用したほか、ボディ構造体にもアルミの押し出し材や鋳造アルミが広範に用いられた結果、ボディ全体にアルミが占める比率は従来よりも33%増えて70%になった。
いっぽう、残る30%はスチール製だから、アルミとスチールの接合をさまざまな部分でおこなわなければならない。ただし、スチールとアルミを溶接するのは容易ではないため、リベット留めや特殊なネジを用いたほか、「ヘルミング」と呼ぶ、板材の縁を折り曲げて接合する技術が新たに採用された。
シャシー系は、フロントに20インチ、リアに21インチの“ミックスドサイズ”のタイヤを採り入れた点が目新しい。従来、4WDのカレラ4系はリアの幅が広いワイドボディ、後輪駆動のカレラ系は40mmほど幅の狭いスタンダードボディを用いていたが、タイプ992はすべてワイドボディに統一された。くわえてフロントトレッドが全車で拡大されたため、リアタイヤのサイズアップも含めて考えれば、タイヤのグリップ能力は前後ともに改善されたとみていいだろう。
サスペンションスプリングはタイプ991のマイナーチェンジモデル(991 II)に比べ、スタンダードシャシーで14~15%、スポーツシャシーで18~23%ほど硬められている。
あわせてダンパーも見直された。従来とおなじくビルシュタイン製であるが、「ダンプトロニクス」から「DTX」と呼ぶタイプにあらためられた。これにより、減衰率の可変幅が前後とも30~40%ほど広がった(スタンダードシャシーの場合)。いずれの場合も可変出来る幅は減衰率の高い方向を中心に広がっており、高くなったスプリングレートとバランスをとる。ただし、ダンパー制御を緻密におこなうとともに、新たにスカイフック理論を採り入れたため、快適性の悪化を防いだという。
ステアリングは主に中立付近のギア比を速め、よりクイックなハンドリングを実現したという。いっぽう、4WSが引き続きオプションで用意されており、低速域では小まわり性を、高速域ではスタビリティを、それぞれ高める。
おなじくシャシー系で注目されるのは、「ウェットモード」である。モード設定は、ドライバーがマニュアルで操作し、切り替えられる。ウェットモードにすると、エンジンやギアボックスのレスポンスが穏やかになると同時にトラクションコントロールやスタビリティ・コントロールがより早く介入するほか、可変エアロダイナミクスはダウンフォース重視の設定に変わる。さらにカレラ4Sの場合、フロントに配分するトルクを増やしたりしてスタビリティを改善する。
なお、ウェットモードの設定自体はマニュアル式であるものの、路面が濡れていることをドライバーに知らせる警報システムが追加された。ホイールハウス内に音響センサーを設置し、タイヤが水を巻き上げるスプラッシュ音をセンサーが検知するとメーターパネル内に“WET”の警告文字を表示するという。ウェットモードを活用するうえで重要な装備といえる。
エンジンはタイプ991IIでデビューした3.0リッター水平対向6気筒DOHCターボを大幅に改良している。まず、ターボサイズを拡大するとともに、バンクごとに設けられたターボ系のレイアウトを左右対称とし、より効率的でレスポンスのいい過給を実現した。さらに燃料噴射インジェクターを従来のソレノイド式からピエゾ式に変更した結果、最大噴射圧200barで1サイクルあたり最大5回の噴射がおこなえるようになった。
また、吸気バルブのリフト量は2本とも3.6mmだった従来の設定から片方を4.5mm、他方を2mmとする“非対称式”に変更した。これによってふたつのインテークマニフォールドから取り込まれる吸入気に速度差をつけ、シリンダー内で強いスワール(縦向きの吸入気渦)を作り出して混合気を均一化し、燃焼の改善を図っている。こうしたテクノロジーを投入することで最高出力は+30psの450ps、最大トルクは30Nmアップの530Nmを達成した。
ギアボックスは新開発の8速PDK(ポルシェ・ドッペル・クップリング)を搭載する。小型化を意識した設計となっているほか、制御系の工夫によって無駄なシフトを減らし、多段ギアボックスにありがちなビジー感を最小限に留めているという。また、新型ギアボックスはハイブリッド・システムとも組み合わせ可能であるが、製品化についてポルシェはまだ明言していない。
ボディ、シャシー、エンジン、ギアボックスを大幅に改良したポルシェ911“タイプ992”は、タイプ991IIに比べ静止状態から100km/hに要する時間は0.4秒縮まり3.5秒に、ノルドシュライフェのラップタイムは5秒短縮し7分25秒を達成した(いずれもカレラS)。着実に進化する911の歴史は、またも繰り返されたのである。
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