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試乗 アウディRS2/RS4 受け継がれる全知全能のパフォーマンス

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試乗 アウディRS2/RS4 受け継がれる全知全能のパフォーマンス

もくじ

ー ポルシェ製のアウディ
ー ベース車の3倍近い出力
ー 各所から伝わるポルシェらしさ
ー 想像以上の扱いやすさ
ー 現行RS4にも通じる万能性

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ポルシェ製のアウディ

助手席に腰掛けたお目付役は大柄なドイツ人。ひと目で職人とわかるタイプで無駄口はいっさい利かない。おかげで、彼が同乗したことで車内の緊張感がぐっと高まったように感じられる。

それでもアウディRS2に試乗できるチャンスなんて、この先2度とないかもしれない。わたしは意を決して、アウディ本社が所有する貴重な1台を走らせ始めた。

1994年から翌年にかけて3000台弱が生産されたRS2は、ふたつの理由からエポックメイキングなモデルだった。ひとつは現在まで続くアウディRSモデルの第1作目であったこと。

そして2番目として、その開発の多くをポルシェが請け負い、生産もポルシェのツッフェンハウゼン工場で行なわれた点が挙げられる。興味深いのは、メルセデスが同じくポルシェに開発を委託したE500も同じ時期にツッフェンハウゼン工場で生産されていたため、2台は一時期、並行してラインを流れていたともいわれる。

ベース車の3倍近い出力

5本スポーツのアロイホイールは当時のタイプ964 911に装着されていたモノと同じデザインだし、ドアミラーも同様。さらに明確な証拠はブレンボ製のブレーキキャリパーで、そこにははっきりとPORSCHEの文字が刻まれている。

同様のロゴはエンジンルーム内のプレナムチャンバーにもPowered by PORSCHEとして記されているほか、ボディの前後に貼られたRS2のバッジにもフォーリングスと並んでPORSCHEの文字があしらわれている。

RS2のベースはA4の祖先にあたるアウディ80。そのフロントに搭載された直列5気筒2.2ℓDOHC20バルブ・エンジンにターボを組み合わせ、最高出力は315ps、最大トルクは41.8kg-mを発揮した。同じ時期の80に積まれたエンジンの最高出力は115-170psなので、その2倍から3倍に相当するパワーだったことになる。

ここまで聞けば、さぞかしジャジャ馬だったに違いないとみなさんは思われるだろう。その予想はわたしも同じだったが、実際に走らせてみた印象はまったく逆で、サスペンションのストロークは比較的ゆったりとられているうえ、路面のゴツゴツ感を巧みに遮断する能力にも長けているので、乗り心地は実に快適。エンジンもボトムエンドから十分に扱いやすく、6速マニュアル・トランスミッションを操っての発進や変速でもまったく神経を使う必要がない。

各所から伝わるポルシェらしさ

ただし、ただ快適で扱いやすいだけでなく、クルマのいたるところから「ああ、ポルシェだ……」と思わずにはいられない感触が伝わってくる点は実に興味深い。たとえば、いかにも高い精度でピストンやコンロッドが組み込まれていることを想像されるエンジンの回転フィールや、それこそ一切の遊びを感じさせずにガッシリとした踏みごたえを伝えるブレーキなどはポルシェ以外のなにものでもない。

そしてまた、0-100km/h加速を4.8秒でこなす瞬足の持ち主でありながら、快適性にもしっかりとこだわったクルマ作りもいかにもポルシェらしいといえる。

それでもお目付役の目が気になったわたしはエンジンをあまり引っ張らず、クラッチを切るにもつなぐにも細心の注意を払い、周囲の安全確認にも万全を期した。そうした努力が認められたのか、しばらく走ると道案内役も兼務するお目付役が「次のラウンドアバウトを左に進むと、もう少し楽しい道が続いていますよ」と何気なく教えてくれた。どうやらわたしの運転が彼のお眼鏡にかなったらしい。

「OK、そうしましょう」わたしはできるだけさりげない調子でそう応えながら、RS2のノーズをオープンロードに向けた。

想像以上の扱いやすさ

その後も彼の表情をうかがいながら、わたしは少しずつシフトアップ・ポイントを高めていった。4000rpm、4500rpm、そして5000rpm。過給圧の高いエンジン特有の、回転数を高めたときに急激にパワーが炸裂する反応をわたしは警戒していたのだが、少なくとも5000rpm+αではそのような事態には陥らず、あくまでもジェントルな反応に終始した。底知れぬパフォーマンスを備えながらも、折り目正しい姿勢は崩さない。短時間の試乗を通じて、わたしはRS2にそんな印象を抱いた。

しばらく走ると、例のお目付役が「それでは、次のラウンドアバウトでUターンでしましょう」と声を掛けてきたので、もと来た道を後戻りし、無事に試乗を終えたのである。

極めつけにハイパフォーマンスなのに、街乗りも難なくこなす快適性も備えている。RS2のそんなキャラクターは、実は最新のRSモデルにも共通するものだ。

いや、正直にいえば、数年前までのRSモデルはかなり過激で、乗り心地も決して優しいとはいえなかった。RS=Renn Sport(英語でRacing Sport)、つまりサーキット直系のモデルなのだからそれも当然かもしれないが、実はスパルタンな金属スプリング仕様しか用意されなかった日本向けのRS6やRS7とは異なり、欧州でラインナップされるエアサスペンション仕様は意外にもしなやかな足回りを備えていた。

現行RS4にも通じる万能性

そういった、RSモデルがもともともっていた特質が最近は前面に押し出されるようになった結果、ここ1~2年でデビューしたRS Q3、RS3、TT RS、RS5は驚くほど優れた快適性を実現していたのである。

それは、RS2とともに試乗した最新のRS4アバントでもまったく同様。2.9ℓのV6ツインターボエンジンはRS2さえも軽々と凌ぐ450psと61.2kg-mを生み出し、0-100km/h加速を4.1秒でこなす瞬足の持ち主だが、それでもサスペンション・ストロークのごく初期が柔軟に伸縮するために快適そのもの。

しかも、今回はアウトバーンの速度無制限区間で190km/hまで試して見たが、まったくスタビリティに不満を覚えなかった。おまけにルクの生み出し方がスムーズで扱いやすさは抜群。サーキット直系というよりは、フルタイム4WDのクワトロとあわせてどんな路面、どんなスピード、どんなコーナーでも安心して駆け抜けられる真のマルチパーパスカーであると感じた。

そして、その全知全能ぶりは今回試乗したRS2にも共通するもの。つまり、RSモデルのDNAには20年以上の歴史があるといえるだろう。

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