バイクとクルマで同じ名前を名乗ることがある
text:Kouichi Kobuna(小鮒康一)
【画像】懐かしい? ビートなど、二輪/四輪で名乗るモデル 全74枚
自動車を構成する要素として重要なことがある。スタイリングや動力性能、車内の居住性などさまざまな要因が存在している。
その中でもユーザーの印象に強く残るのは「車名」ではないだろうか。
国産車であれば、「クラウン」や「GT-R」など。名前だけを聞けばその車種のキャラクターが頭に浮かぶという点を考えれば、決して疎かにすることができない点と言える。
とはいえ皆さんもご存知の通り、商品名にはそれぞれ商標登録がなされており、おいそれと自由な名前を付けるわけにはいかない。
ただし、その名称が商標登録されているからと言って、すべての同名商品が生まれないというわけではなく、その商標を使う大まかなジャンルを指定しての登録となる。
そのため、トヨタのハイブリッドカーであるプリウス(1997年デビュー)が存在する一方で、日立がかつて販売していたパソコンのプリウス(1996年デビュー)も存在するというわけである。
そんな重要かつ複雑な車名をバイク(二輪)とクルマ(四輪)、それぞれにまたがって使用しているメーカーがある。それがホンダだ。
もともと二輪も四輪も手掛けるメーカーだけに当然といえば当然なのかもしれないが、なぜ両車にまたがって使用しているのだろうか?
そもそもどんなモデル前をまたいで使用?
実はホンダは多くの名前について二輪と四輪にまたがって使用している。
そこでまずどんな名前が使われているのかいくつかピックアップしてご紹介したい。
インテグラ
ホンダの代名詞のひとつでもあるVTECエンジン。それを初めて搭載したのが、1989年に登場した2代目インテグラだった。
一方二輪でのインテグラは、80年代に生産されていたいくつかのモデルに設定されていた、フルフェアリング(空気抵抗を減らす部品)装着車に与えられたサブネームだった。
なお、四輪のインテグラ生産終了後の2011年には、欧州向けの二輪車として再びインテグラの名前が復活している。
ビート
未だに多くのファンを持つ、ミドシップオープン2シーター軽自動車であるビート。
実質的な後継車種であるS660が登場してからも、微妙なキャラクターの違いから乗り換えられないユーザーも少なくない。
そんなビートという名前は1983年に登場したスクーターに先に使用されていたものであり、このモデルは50ccスクーターで世界初の水冷2サイクルエンジンを搭載した画期的なモデルであった。
ジェイド
若干日本国内では販売に苦戦しているイメージのあるジェイド。しかし、日本では少なくなったスポーティなステーションワゴン(3列シート仕様もあり)として気を吐いている。
そのジェイドの名前も四輪に先駆けて1991年に登場したネイキッド・ロードスポーツモデルバイクに採用されている。
乗り物としてのキャラクターは異なるが、高貴な美しさと不変の価値を持つという想いは不変のようだ。
ホンダが車名を二輪と四輪でまたぐ理由
それでは、車名を二輪、四輪にまたがって使用する理由はなんなのだろうか。
今回はホンダ広報部にストレートに疑問をぶつけてみた。
――同じ車名を、なぜ二輪/四輪車でまたがせているのでしょうか?
「出願する際に『指定商品』という項目を『輸送機械器具、その部品及び付属品(他の類に属するものを除く)』としてあれば二輪でも四輪でも使えるようになります」
「弊社の場合には商品のネーミングをする際には二輪/四輪事業間で調整をしながら、プールされている登録済みの商標の中から選択するようにしています」(ホンダ広報部)
つまり、ホンダとしては商標を登録する段階で、二輪と四輪どちらにも使えるようにしている。
そして新型車両が出るタイミングでその登録済の商標の中から、その車両にあったものをチョイスしているというのが真相だ。
登録されたものの未使用の商標もある中で二輪と四輪両方に使われるというのは、それだけ優れたネーミングである裏返しと言えるのかもしれない。
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