2020年に続いて2021年も自動車業界では、 電気自動車(EV)が大きなトピックとなりそうだ。 今回は、日本のメーカーの100%電気で 駆動する最新のコンパクトSUVをチェックした。
電気自動車というと4~5年前まではモーターショー会場での試乗とか、海外メーカーが発表したモデルに試乗するぐらいしか、触れる機会がなかった。ところが、ここ1~2年の間に海外メーカーが積極的に日本市場にEVを投入。日本のメーカーも将来を見据えて、続々とEVを発売している。
軽量なボディとハイパワーエンジンが織りなす刺激的な走りが魅力のカワサキ「Ninja 400」
一時期はテスラと日産がEV市場を牽引しているかのようだったが、最近では高級車からタウンユースまで車種の幅が広がり、いよいよEVも比べて選ぶ時代に突入した。しかしEVも、製作したメーカーや国柄によって性格が異なるということは覚えておく必要がある。目的や性格を理解せず購入すると、後悔することもあるだろう。今回、紹介するのは、スタイリッシュさを追求したコンパクトサイズのEVだが、クルマの使われ方が明確にクルマ造りに表われている。
マツダ『MX−30 EV』はクーペスタイル、3トーンカラーのおしゃれなEVとして、すでに欧州では発売されている。同社としては初めて本腰で取り組んだ100%ピュアEVで、日常生活の足として使えるだけでなく、ちょっとしたハンドリングが楽しめるスポーティーな性格もプラスした。
試乗車は、100%充電状態で航続可能距離は200kmと表示されていた。走り出してしばらくしてエアコンをONにすると航続可能距離は7km減って193kmに。走行はDレンジ、パドルシフトは左レバーを動かすと回生が強く効く。右レバーを動かすと回生が下がり加速力が増す。このようにパドルシフトを使い分けながら走ると航続可能距離をコントロールできるというのもEVの特徴だ。
クルマが造られた背景や性格をまず知ることで、EV選びもきっと楽しくなるに違いない。
疲れにくくて気持ちよく運転できる
EVマツダ『MX-30 EV』
Specification
■全長×全幅×全高:4395×1795×1565mm
■ホイールベース:2655mm
■車両重量:1650kg
■電池容量:リチウムイオン電池35.5kWh
■モーター形式:交流同期
■最高出力:145PS/4500~1万1000rpm
■最大トルク:270Nm/0~3243rpm
■変速機:電気式無段
■一充電走行可能距離:256km(WLTCモード)
■車両本体価格:495万円
※「Highest Set」
セダンシリーズやSUVの『CXシリーズ』とは異なるフロントグリルを採用。『MX-30』にはマイルドハイブリッド車もあるが、デザイン上の違いはほとんどないため、見分けるのは困難。
ホイールベースと全長は『Mazda3ファストバック』と『CX-3』の中間ぐらいのサイズだが、全高は最も高く居住空間は広い。全幅は『CX-3』より幅広く『Mazda3』と同じサイズになる。
テールランプの位置を高めにして、視認性の良さを確保している。レンズ面を立体的にするなど『CX-3』とはデザインを変えているが、EVであることを示すエムブレムも控えめだ。
使い勝手のよい電気自動車は、これから有力な選択肢になる!
エンジンルーム
フロント部に収納されたパワーユニット。145PS、270NmのモーターとDCコンバーター、インバーターで前輪を駆動する。
運転席と各種装備
基本的なデザインはハイブリッドモデルの『MX-30』と変わらないがメーターは速度計を中心に、左にパワーメーターが入る。
シートスペース
後席用のドアは個別には開かないフリースタイル方式を採用。乗降性は良いが後席はやや狭め。ドアウインドウは開閉しない。
ラゲージスペース
後席の背もたれは6:4で前倒しトランクと一体になる。サブトランクは小さめ。充電ケーブルは専用バッグに入れてラゲージ部に置く。
【 ココがポイント!】コルクを使った独創的でサステイナブルな内装
シフトレバーはコンソールから浮いているように見えるフローティングデザイン。カップホルダーなどの表面にはコルク材が使われている。これはマツダの前身がコルク製造会社であることのオマージュ。
【 ココがポイント!】回生ブレーキの効き方をパドルレバーで調整
ハイブリッド車やガソリン車では変速機のシフトとして使われるパドルレバーだが、EVでは回生ブレーキの効き方をコントロールするレバーとして用いられる。左右2段階ずつシフトできる。
電気自動車の性能、質感の高さともにハイレベル
[運転性能]車両運動制御技術「エレクトリックGベクタリングコントロールプラス」を導入したが下回りの重さがやや気になる。17/20点
[居住性]前席は視界が良く運転しやすい。後席はドアの開閉、広さともにフル5シーターとは言い難い。あくまでプラス2。17/20点
[装備の充実度]先進安全装備はハイブリッドモデルと同じ。EV用のコネクテッドサービスも搭載されている。回生レバーも使える。18/20点
[デザイン]ルーフ後半をなだらかにしたクーペスタイルと3トーンのカラーがおしゃれ。一目でEVとわかるアイコンが欲しい。17/20点
[爽快感]パドルシフトを使い分ければ街中から高速道路、山間路をそれぞれ楽しく走行できるセッティングはすばらしい。19/20点
[評価点数]88/100点
取材・文/石川真禧照
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