ステルヴィオの弟分が登場
執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】どっちもかっこいいぞ……サイズ感はどう違うの?【トナーレとステルヴィオを比較】 全79枚
2022年2月8日、ステランティスグループの一員であるアルファ・ロメオは、ブランニューのSUVモデル「トナーレ」をワールドプレミア(世界初公開)した。
アルファ・ロメオの車種ラインナップでは、ステルヴィオの下に位置するSUVモデルとなる。
「トナーレ」という車名は、イタリア北部にある峠の名前に由来する。トナーレの上級モデルであるSUVの「ステルヴィオ(これもイタリア北部の峠の名前だ」と同様のネーミングをされたようだ。
公表されているトナーレのサイズは全長が4530mm、全幅が1840mm、全高が1600mmと比較的コンパクトなものだ。
日本に輸入されているSUVでは、アウディQ3(全長4490-4505×全幅1840-1855×全高1605-1610mm)や、BMW X1(4455×1820×1600-1610mm)などが、サイズ的に近い。
日本市場においても、上記のモデルをはじめ、サイズは微妙に異なるものの、メルセデス・ベンツGLAやジャガーEペイス、ボルボXC40といったプレミアムコンパクトSUVと鎬を削ることになるのだろう。
なお、今回の発表では日本仕様や導入時期などについてはアナウンスされていない。
では、アルファ・ロメオのブランド変革(イタリア語で「Metamorfosi」)を体現するモデルとして登場したというトナーレの概略を、紹介していこう。
外観 官能性とダイナミズム
2019年のジュネーブ・モーターショーで、トナーレという名前のSUVコンセプトモデルが公開されたが、今回の市販モデルはそのデザインを大きく変えることなく発表された。
デザインを手がけたのは、チェントロスティーレ・アルファ・ロメオ(英語風にいえば「アルファ・ロメオ・スタイルセンター」)。
イタリアン・デザインの独自性とアルファ・ロメオならではのオリジナルで現代的なスタイルを、長い伝統を誇るプレステージ性と融合し、未来を見据えたものとしている。
フロントエンドでは、独立したエレメントとなって浮かんでいるように見えるシールド(盾)が目を惹き、その下にはメイン・サイドエアインテークが左右に配置されている。
SZザガートやプロテオ・コンセプトカーを想起させる、フルLEDアダプティブ・マトリックスを備えた「3+3」ヘッドライトはマレリと共同開発され、ユニークなフロントラインを創出し、ドライバーに最高レベルの視認性を提供する。
しかも、デイタイム・ランニングライトやダイナミック・ターンシグナル、イグニッションのON/OFFで作動するウエルカム&グッドバイ機能も備えている。
テールライトにもヘッドライトと同じデザイン・エレメントを採用し、リアを完全に包み込むサインカーブ(正弦波)形状を採用して、非常にユニークで他車と一線を画するライトシグネチャーが生み出されている。
8Cコンペティツィオーネへのトリビュートともなっている、すべてを包みこむようなリアウインドウ、アルファ・ロメオ独自のスタイルである「テレフォンダイアル」デザインの5ホール・アロイホイールなどによっても、トナーレの官能性とダイナミズムが示されている。
内装 レースの歴史にヒント
インテリアは、レースの歴史にヒントを得ている。
ドライバーに明確に焦点を当てており、あらゆる操作系へのアクセスは容易で、安全かつ比類なきドライビング体験に貢献している。
パッセンジャーに対しても同様の注意が払われており、快適なドライブを実現できる理想的な空間が創出されている。乗員を中心に設計された車内環境の特徴は、細部への徹底的なこだわりと最高品質のあくなき追求であるという。
インテリアの特徴としては、「テレスコピック」インストゥルメントパネルやスポーツタイプのステアリングホイール(アルミ製のシフトパドル付き)などが挙げられる。
メーターパネルはフルデジタルの12.3インチスクリーン、そして10.25インチのタッチスクリーンも備わる。
センターコンソールにはDNAドライビングモード・セレクターが備わる。ダッシュボードのエアコン用ベントは、中央はスリムな形状で外側はタービン形状とされた。
シート地の材質はグレードにより異なるが、スポーツウエアで使われるネオプレン・ファブリックをはじめ、最上級グレードではアルカンターラとヴィーガンレザーのバックグラウンド・コントラストカラーによりグラデーション効果を演出した仕様まで用意される。
そんなトナーレのインテリアは、居心地の良い乗員コンパートメントの中に、走りを楽しみたいドライバーに高く評価されているダイナミックな機能を備え、傑出した車内体験を生み出してくれるという。
PHEVも パワートレイン
トナーレのパワーユニットには、ハイブリッドとプラグインハイブリッドも設定された。
エントリーモデルでは、131.8psと24.5kg-mを発生する新開発の1.5L直4ガソリンターボエンジンに、専用の7速DCT(デュアルクラッチ・トランスミッション)と48V仕様で15kWと5.6kg-mを発生する電気モーターを組み合わせたハイブリッドのユニットが搭載される。
ハイブリッドGTV(可変ジオメトリーターボ)エンジンは、1.5Lの直4ガソリンエンジンに7速DCT、可変ジオメトリーターボ、48Vの主電源システム、15kW/5.6kg-mを発生する電気モーターを組み合わせたハイブリッドで、モーターのみでの走行も可能だ。
最高出力は、162.2ps。ガソリンエンジンならではのパフォーマンスを備えながら、ディーゼルエンジンに匹敵する燃料経済性を達成している。
トップモデルは、プラグインハイブリッドのQ4だ。このシステムは、1.3Lのマルチエア ガソリンターボエンジンで前輪を駆動し、電気モーターで後輪を駆動する。駆動用バッテリーの容量は15.5kWhで、システムの合計出力は278.8psを発生。0-100km/h加速はわずか6.2秒だ。
7.4kWの急速充電器を使用すると、わずか2.5時間でフル充電が可能。電動モードでの走行可能距離は、市街地サイクルで最長80km、複合サイクルでは60km以上だ。
また、131.8psを発生する1.6Lディーゼルエンジンと6速DCTを組み合わせた前輪駆動モデルも設定される。
ドライビングプレジャーの最大化
アルファ・ロメオの矜持である、ドライビングプレジャーを最大化するため、伝統的な考え方である前後アクスル間の完璧な重量配分も達成されている。これは、重量のあるコンポーネントをできるだけ車両の中心に配置することで実現した。
サスペンションには、マクファーソン・ストラット式を採用。コンフォート/スポーツの切り替えが可能な電子ショックアブソーバーも設定されている。
前輪駆動のハイブリッド車とディーゼルエンジン搭載車には、エレクトリック・セルフロッキング・ディファレンシャルが標準装備される。
これによりスポーティかつ効果的なドライビング・ダイナミクスを達成し、滑りやすい路面では高いコントロール性能を提供するばかりでなく、アンダーステアを大幅に抑制し、前後方向の加速を助け、より高いロードホールディング性能を実現する。
プラグインハイブリッドのQ4では、ハイブリッド・オールホイール・ドライブを装備。
雪道や凍結路面でも安全な走行を可能にする理想的なトラクションを確保する。
より多くのトラクションが必要な路面では、エンジンは自動的に作動して前輪を駆動し、後輪用の駆動モーターも作動して、最大278.8psの出力を発生して、高性能で楽しく安全な走行が可能になる。
自動運転はレベル2
トナーレは非代替性トークンのNFTテクノロジーを搭載している。
これは、車両のライフサイクルの各段階で、修正不能な機密情報を記録して活用するものだ。
ユーザーの同意が必要だが、NFTに車両データを記録させておけば、そのクルマが適切にメンテナンスを受けたことを示す証明書を発行することができ、残存価値に好影響が期待できるというものだ。
また、アマゾン・アレクサ音声アシスタントも搭載しており、トナーレを荷物の再送先に指定できたり、車両の状態に関するアップデートを自宅で定期的に受け取ったり、充電状態や燃料残量の確認、観光名所の探索や、クルマの現在の場所を見つけたり、リモートのロック/ロック解除コマンドの送信など、さまざまな機能を活用できる。
先進運転支援システム(ADAS)では、車両前後および側面方向を監視するフロントカメラと、「インテリジェント・アダプティブ・クルーズコントロール」(IAAC)と「レーン・センタリング」(LC)システムを組み合わせて、レベル2の自動運転を実現するものが装備されている。
安全装備では、フロント/サイド/カーテンエアバッグに加え、ドライバー/車両/道路間の相互作用を完璧にする革新的なデバイスとテクノロジーを標準装備し、アクティブおよびパッシブセーフティ機能も満載している。
快適装備でも、デュアルゾーン・エアコン、洗練されたインフォテインメント・システム、ヒーター/ベンチレーション機能を備えたフロントシート、心地よいアンビエントライト、ハーマン・カードン製の14スピーカー・サウンドシステムなど、高レベルで充実している。
グレードは2種類
トナーレのグレードは「Super(スーパー)」と「Ti」の2種類が設定されている。
エントリーグレードとして設定された「スーパー」は、スポーティな雰囲気を備えた数多くのオプションを含む「Sprint(スプリント)」パックでカスタマイズ可能だ。
トナーレのエレガンスと傑出したキャラクターをさらに引き上げる「Ti」には、パフォーマンスとスポーティさの頂点を追求した「Veloce(ヴェローチェ)」パックが用意されている。
生産は、ナポリのポミリアーノ・ダルコに位置する、ステランティスのジャンバッティスタ・ヴィーコ工場の専用生産ラインでおこなわれる。
前述のように、今回のワールドプレミアでは日本仕様に関してはアナウンスされていない。
したがって、ここで紹介したパワートレインや装備がすべて日本仕様に採用されるかどうかはわからない。
だが、日本の街中でも扱いやすそうなサイズ、ハイブリッドを中心とした魅力的なパワートレイン、そして充実した安全&快適装備を採用したトナーレが2022年内に日本導入されることは、年頭にFCAジャパンのポンタス・ヘグストロム社長によって公言されている。
車両価格も日本仕様の装備で大きく変わるだろうが、ライバルたちの価格帯を考慮すれば、エントリーグレードは400万円台から設定されるのではと思われる。
世界的にまだまだ続くSUVブーム。トナーレの導入は、日本でも世界でも、プレミアム・コンパクトSUV市場をさらに活性化させることは、間違いなさそうだ。
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みんなのコメント
そもそも、兄貴分であるステルヴィオの超絶不人気の原因は分かってるのか??
小気味いい小型セダン出して欲しいな。