6月15日~16日、フランスのサルト・サーキットで開催された第92回ル・マン24時間耐久レースの決勝レース。5人の日本人ドライバーが参加したLMGT3クラスのなかで、ふたりの日本人を擁した濱口弘/ニコラス・ピノ/佐藤万璃音組ユナイテッド・オートスポーツの95号車マクラーレン720S LMGT3エボがレース途中までトップ争いを展開するも、駆動系のトラブルでリタイアとなった。レース後、佐藤に悔しい思いを聞いた。
23台という台数、世界中のGT3メーカーがバックアップする強豪チームが多数参戦する激戦区となった2024年のLMGT3。多くのGT3レースで実績を残してきた濱口をブロンズドライバーに据え、ピノと佐藤を擁したユナイテッド・オートスポーツの95号車マクラーレンは、予選では19番手となりハイパーポール進出はならず。しかしレースでは序盤から快走を続けてきた。
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レースでは他のチーム同様、佐藤がスタートドライバーを担当し、濱口、ピノ、濱口と明るい時間をリレー。非常にペースも良く、明け方にふたたび濱口がドライブした後、佐藤に交代しトップ3圏内を確固たるものとしていた。
このままいけば表彰台、さらに優勝も見えてくる……と期待が高まった95号車だったが、スタートから19時間7分が経過したところで駆動系の不調を抱えピットイン。僚友の59号車もコース上でストップするなど、チームにとっては悔しい結果で終えることになった。
レース後、表彰台の下に多くのファンが集まるなか、チームメンバーと話していた佐藤に聞くと「駆動系の問題でした」とトラブルの原因を語った。ユナイテッド・オートスポーツからも同様にトラブルの原因が発表されている。
「スタートを任せてもらって、19番手からアンダーカットもうまくいき、6番手でクルマを渡すことができましたし、ペースも良かったんです。3回くらいラップダウンになりかけましたが、僕が乗っている間にいつも周回を戻せて、いろんなライバルを抜いてトップ争いを展開することができました」と佐藤。
「最後のピットのときも事実上トップ争いだったので、悔しいです」
2015年から単身ヨーロッパで戦いFIA-F2まで戦ってきた佐藤だが、2019年には初挑戦だった木村武史の無線サポートとしてル・マンを戦っていた経験はあった。2023年からはスポーツカーレースに移り、ヨーロピアン・ル・マン・シリーズのLMP2でランキング2位に入るなど活躍。そのパフォーマンスを買われ、今季はマクラーレンの実質的なワークスと言えるユナイテッド・オートスポーツでWECを戦っている。
佐藤にとっては初めてのル・マン24時間で表彰台が見えたレースだったが、「自分は今のLMGT3の規定で言うとプロ枠でしたが、自分以外のふたりともサルト・サーキットの経験があり、濱口さんはGT3の経験が僕よりもありました。いちばん経験がない自分が引っ張るのは難しい状況はあったのですが、走り出しから自分もかなりペースがあったと思います」とレースを振り返った。
「インセプション(ポールポジションだった70号車マクラーレン)と比べるとパフォーマンスは足りない部分はあったかもしれませんが、エンジニアもメカニックもみんな2週間すごく良い仕事をしてくれて、レースのときはパフォーマンスがあるクルマになっていたと思います」
濱口はリタイア後サーキットから出てしまったため話を聞くことはできなかったが、佐藤が表彰式まで残っていたのは理由があった。多くのファンが集い、勝者を祝福する表彰式の様子を目に焼き付け、2025年のレースに目を向けていたのだ。
「いま表彰台も観てきました。来年自分が行くところを確認してきたので、またすぐリベンジしたいと思っています」
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