現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > なぜ日産 GT-Rやエルグランドは10年以上売り続ける? ご長寿モデルが増加する事情とは

ここから本文です

なぜ日産 GT-Rやエルグランドは10年以上売り続ける? ご長寿モデルが増加する事情とは

掲載 更新 52
なぜ日産 GT-Rやエルグランドは10年以上売り続ける? ご長寿モデルが増加する事情とは

■フルモデルチェンジ周期の限界はどれくらいなのか?

 最近、発売されてから10年以上を経過したロングセラーモデルが増えました。

わずか197台… 幻の「スカイラインGT-R」とは

 10年以上経過した車種は登場順に、2007年登場の日産「GT-R」、トヨタ「ランドクルーザー」、三菱「デリカD:5」、2008年登場の日産「フェアレディZ」、2009年登場の日産「フーガ」とトヨタ「ランドクルーザープラド」、2010年登場の日産「エルグランド」「マーチ」、三菱「RVR」、2011年登場のレクサス「CT200h」、トヨタ「アクア」という具合です。

 1980年代までの日本車は、フルモデルチェンジの周期が約4年で、2年後にマイナーチェンジを挟むパターンが一般的でした。初回車検も2年後だったからです。

 4年ごとにフルモデルチェンジすれば、2回目の車検を受ける前に売却すると、常に新しいクルマに乗り替えられました。

 しかし1983年に初回車検が3年後になった影響もあり、4年の周期が次第に延びていき、1990年以降は5年以上の車種が増えましたが、それでも10年を経過することはほとんどなかったです。

 なぜ最近は長年にわたりフルモデルチェンジされない車種が増えたのでしょうか。

 先に挙げた長寿モデルのなかで、フェアレディZは次期型のデザインなどを2020年9月に公表しました。ランドクルーザーも2021年にフルモデルチェンジを控えています。

 スポーツカーや悪路向けのSUV、商用バンなどは、生産台数が少ないこともあってフルモデルチェンジの周期が長くなり、10年以上の車種もあります。

 その一方で、軽自動車やコンパクトカー、ミニバン、セダンなどの周期は6年から7年が多いです。

 これらのカテゴリは、スポーツカーや悪路向けのSUVに比べて売れ行きが好調で、ライバル車同士の競争も激しいからです。販売面で優位を保つには10年以上では長すぎるのです。

 たとえばトヨタ「ヤリス」は2020年に発売されましたが、その前身となる「ヴィッツ」は2010年に登場しています。10年ぶりのフルモデルチェンジで、これが周期の限界でしょう。

 すでに販売を終えた最終型のトヨタ「エスティマ」は2006年に発売。2016年にはフルモデルチェンジではなくマイナーチェンジを受け、この3年後の2019年に廃止されています。

 発売の10年後にマイナーチェンジをしたのでは、その後のフルモデルチェンジは難しいわけです。

 冒頭で取り上げた車種の場合はどうでしょうか。

 ミニバンのエルグランドとデリカD:5、ハッチバックのマーチとレクサスCT200hについて、フルモデルチェンジするかどうかはわかりません。

 ミニバンは少子高齢化の影響で、今後の需要が下がる可能性があります。いまでは3列シートのSUVも選べ、海外のニーズも見込みにくいです。

 また、ハッチバックの需要も世界的に先細りしており、ボルボ「V40」は終了しました。その代わりコンパクトSUVの「XC40」が用意されています。

 そうなるとレクサスCT200hも、コンパクトSUVのUXに統合される可能性があります。

 マーチも同様で、2020年12月にフルモデルチェンジした日産新型「ノート」は国内専用車なので販売に力を入れることから、相対的にマーチのニーズは下がります。

 RVRは、以前の三菱の経営計画にフルモデルチェンジをおこなう記載がありましたが、いまは消滅しています。

 RVRはクロスオーバーSUVの「エクリプスクロス」とプラットフォームが共通で、ホイールベース(前輪と後輪の間隔)の数値も等しいです。

 全長はRVRのほうが180mm短いのでコンパクトですが、三菱のSUVには「アウトランダー」もあります。大/中/小と3車種をそろえる必要があるか疑問でしょう。

 コンパクトなハイブリッド専用車のアクアもニーズが薄れています。アクアが登場した2011年には、コンパクトな5ナンバーサイズのハイブリッドモデルは珍しかったのですが、いまではヤリス、「ヤリスクロス」、「シエンタ」など、トヨタは複数のコンパクトモデルにもハイブリッドを用意しています。

 アクアの役目は終わったと見ることもできますが、アクアはコンパクトなハイブリッドのイメージリーダーとして次期型の開発が進んでいるという話もあります。

■マイチェンでも大幅進化が可能になったのはなぜ?

 このように見てくると、車種によって事情の違いはあるものの、基本的にはフルモデルチェンジの限界はいまのところ約10年と考えられます。

 衝突安全性能や衝突被害軽減ブレーキを大幅に進化させて性能を高めたり、軽量化を実施するにはフルモデルチェンジが必要で、10年を超えると古さも目立つからです。

 とくにいまは、衝突被害軽減ブレーキや運転支援機能の採用などにより、車両重量が増える傾向にあります。

 そのままでは環境/燃費性能を悪化させるので、軽量化もセットで実施しなければなりません。プラットフォームの刷新を含めて、フルモデルチェンジのニーズは依然として高いです。

 ただし昨今は、膨大なコストを費やしてプラットフォームを刷新するなら、電動化(ハイブリッドやプラグインハイブリッドを含む)への対応が不可欠になりました。

 電動化に対応した新しいプラットフォームを使ってフルモデルチェンジするため、車種によってはタイミングを調節しています。

 たとえば「マツダ6(旧アテンザ)」は2012年に発売されましたが、2018年にはインパネやタイヤまで刷新する規模の大きなマイナーチェンジを実施しました。

 レクサス「IS」も2013年に発売され、2020年に大幅なマイナーチェンジを実施。走行安定性と乗り心地を大幅に向上させています。高コストなフルモデルチェンジするにはタイミングが良くないためです。

 マイナーチェンジで済ませた背景には、ボディやプラットフォームに関する解析能力の向上もあります。

「どの部分に手を加えると、いかなる効果が得られるのか」という知見が高まり、以前に比べるとマイナーチェンジで進化する度合いが大きくなったというわけです。

 外観などのデザインが安定成長期に入ったことも、フルモデルチェンジの周期が長引いた理由です。

 日産「スカイライン」の場合、2代目(発売は1963年)、3代目(1968年)、4代目(1972年)の外観は、フルモデルチェンジの度に急速にカッコ良くなりました。4代目は2代目の9年後に登場しましたが、外観はまったく違うクルマに見えます。

 これに比べて、11代目(2001年)、12代目(2006年)、13代目(2013年)は、あまり代り映えがしません。1960年代に比べて2000年以降は、外観デザインの進化が穏やかになったからです。

 これは外観を刷新するフルモデルチェンジのニーズが薄れたことも意味します。

 さらにミニバンは、車内を広く確保する必要があるため天井の高さやピラー(柱)の角度がある程度決まってしまいます。

 トヨタ「アルファード」の初代(2002年)と2代目(2008年)は違いが分かりにいのですが、3代目(2015年)は印象を変えました。主に変化したのはフロントマスクで、ボディの基本デザインはあまり変化していません。

 いまはマイナーチェンジによる進化が大きくなり、なおかつデザインは安定成長期に入りました。

 さらに環境性能や自動運転といった開発コストも大幅に増えたので、車両開発の投資は相対的に下がりました。

 その結果、フルモデルチェンジの周期が長引いています。ただし限界もあり、それは約10年といえるでしょう。

こんな記事も読まれています

日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
日産が新型「車中泊ミニバン」発売! 巨大ベッド&高性能四駆を搭載した「4人乗りセレナ」がスゴい! 車高アップで走破性高めた新モデルとは?
くるまのニュース
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
総長のビュイックで練習し、運転免許を取得!?|長山先生の「危険予知」よもやま話 第30回
くるくら
コンパクトバッテリーで小型軽量化!「18V XR ブラシレス・インパクトドライバー」がデウォルトから12月上旬発売
コンパクトバッテリーで小型軽量化!「18V XR ブラシレス・インパクトドライバー」がデウォルトから12月上旬発売
バイクブロス
2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
2024年新型イプシロン登場で高らかに復活したランチア!! 10年前は消滅の噂が絶えない大ピンチだった[復刻・2013年の話題]
ベストカーWeb
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
ポルシェがサーキットで最高のパフォーマンスを発揮する、モータースポーツテクノロジー
LE VOLANT CARSMEET WEB
ドゥカティ スクランブラー・アイコン試乗「初めての大型車にもアリ!? 軽い車体に元気なエンジン、日常的な速度域が楽しい」
ドゥカティ スクランブラー・アイコン試乗「初めての大型車にもアリ!? 軽い車体に元気なエンジン、日常的な速度域が楽しい」
モーサイ
トリッキーなステージに苦戦の声「どれも本当に過酷」「ハードでもオーバーヒート」/ラリージャパン デイ3コメント
トリッキーなステージに苦戦の声「どれも本当に過酷」「ハードでもオーバーヒート」/ラリージャパン デイ3コメント
AUTOSPORT web
斬新なのは顔だけじゃない! キアの3列シートSUV最強『EV9 GT』発表…ロサンゼルスモーターショー2024
斬新なのは顔だけじゃない! キアの3列シートSUV最強『EV9 GT』発表…ロサンゼルスモーターショー2024
レスポンス
EUROCARBODY 欧州のエンジニアが選んだ1位はホンダN-VANe
EUROCARBODY 欧州のエンジニアが選んだ1位はホンダN-VANe
Auto Prove
「個人的な想いは捨ててきた」と勝田。ラリージャパン最終日で、タイトル防衛のための葛藤を明かす
「個人的な想いは捨ててきた」と勝田。ラリージャパン最終日で、タイトル防衛のための葛藤を明かす
AUTOSPORT web
メルセデス・ベンツ CLEカブリオレにボディを拡大したAMG53 4MATIC を追加
メルセデス・ベンツ CLEカブリオレにボディを拡大したAMG53 4MATIC を追加
Auto Prove
「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?
「永遠に有料…?」 とっくに無料化されている“はず”の道路たち なぜまだお金とるの?
乗りものニュース
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
トヨタ本気の「小さな高級車」に驚きの声! めちゃ豪華な「本革×本木目」内装を採用! 小型車に「クラウン品質」取り入れた“直列6気筒エンジン”搭載モデルに反響あり!
くるまのニュース
結局さぁ……日産[GT-R] とヒョンデ[IONIQ5 N]って結局どっちが良いの??
結局さぁ……日産[GT-R] とヒョンデ[IONIQ5 N]って結局どっちが良いの??
ベストカーWeb
直6のMシリーズが欲しいならE34型「M5」が狙い目! BMWのヤングタイマーで最高の1台を600万円で手に入れられる!?
直6のMシリーズが欲しいならE34型「M5」が狙い目! BMWのヤングタイマーで最高の1台を600万円で手に入れられる!?
Auto Messe Web
【このAMGゲレヴァーなんぼ?】V12を搭載したゲレンデヴァーゲン 生産台数わずか5台の「メルセデス G63 AMG V12」の価格は?
【このAMGゲレヴァーなんぼ?】V12を搭載したゲレンデヴァーゲン 生産台数わずか5台の「メルセデス G63 AMG V12」の価格は?
AutoBild Japan
トヨタ、2025年のWRC参戦体制を発表。勝田貴元含む4名のフルタイムドライバーを揃え全タイトル獲得目指す
トヨタ、2025年のWRC参戦体制を発表。勝田貴元含む4名のフルタイムドライバーを揃え全タイトル獲得目指す
motorsport.com 日本版
【屋根開き版が追加】メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ 一年中快適に楽しめる装備も充実
【屋根開き版が追加】メルセデスAMG CLE 53 4マティック+ カブリオレ 一年中快適に楽しめる装備も充実
AUTOCAR JAPAN

みんなのコメント

52件
  • だらだら無駄に長い記事だな
    台数売れない車に開発費投入したくないだけだろ
  • ゴーンにいいように食い潰されて開発予算が枯渇したからでしょうね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索
アルファードの車買取相場を調べる

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

この記事に出てきたクルマ

新車価格(税込)

540.0872.0万円

新車見積りスタート

中古車本体価格

14.92199.0万円

中古車を検索

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村