■スバル「WRX STI」ベースの限定車は、お金があっても買えるかわからない!?
2015年秋にSTI(スバルテクニカインターナショナル)が発売した「WRX STI」ベースの限定車「S207」は、カーナビなどの後付けオプションを含めると総支払い総額が700万円にもなるという、当時のスバル車としては未曾有の高額ながら、限定の400台が受注開始当日にほぼ完売しています。
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その2年後に発売された後継モデル「S208」も、同じく総額700万円級の国産車でありながら注文殺到が予想され、スバルの販売史上初となる「抽選」を行ったことでも話題になりました。
また、 2018年に発売された「RA-R」は車両本体価格で500万円弱と、前述の「Sシリーズ」よりもかなり安かったとはいえ、限定台数はやや多めの500台が発売開始からわずか数時間で完売。
このように最新のSTIの限定車は、お金があっても買えるかどうかわからない、入手困難な商品となっているのです。中古車の相場も高値安定が続き、場合によっては新車時の定価よりも高額で取り引きされることもあります。
STIの限定車が人気を博している理由を一言でまとめると、「STIブランドの向上」に尽きるといえるでしょう。
■スバルのモータースポーツ活動を担う「STI」とは?
2018年に創立30周年を迎えたSTIは、スバルのモータースポーツ活動や、世界記録挑戦プロジェクト遂行を担いながら、スバルのブランド力を向上させるために生まれた組織です。
ラリーやレースのマシンを設計・生産するのをはじめ、モータースポーツ参戦活動で得られた技術や設計思想をフィードバックした高性能車を限定販売したり、スバル車の性能を強化するパーツやグッズの販売を行ってきました。
1990年から2008年にかけて参戦した、WRC(世界ラリー選手権)では3度のマニュファクチャラーチャンピオン(自動車メーカーとしてのチャンピオン)に輝き、名実ともに「走りの世界一」を獲得しています。
WRCに参戦していた「インプレッサWRX」の高性能モデル「STIバージョン」が大人気を博し、毎年のように改良・発展型が発売されたことで、「STI」の名のつくスバル車の名声を高めました。
とりわけ、1998年にWRC三連覇記念車として発売された「22B(インプレッサ 22B-STiバージョン)」は衝撃的で、当時のスバル車としては史上最高額の500万円ながら、限定の400台が2日間で完売したことも伝説的な話題となり、STI限定車の名声をさらに高めます。
■性能を追求しすぎて全く売れなかった限定車も…
しかし、そんなSTI限定車の最高峰として登場した「Sシリーズ」は、最初から大人気だったわけではありません。
2000年に発売された記念すべき「Sシリーズ」の第一弾「S201」は、本気で性能を追求したエアロパーツがあまりに派手すぎたことなどが裏目に出て、予定を大幅に下回る台数しか売れずに終わっています。
後に続いた「S202」以降のSTI限定車は、中には売れ行きがイマイチ芳しくなかったモデルがあったりしながらも、おおむね堅調な人気で推移します。
やがて「性能面ではSTI限定車にハズレなし」のイメージが広まりますが、STIの限定車の評価がさらに向上し、STI限定車の信者ともいえる熱心なユーザーが定着し出したのは、2008年頃からでしょう。
スバル(当時は富士重工業)の車両開発部のカリスマ・辰己英治さんがSTIに移籍し、「車体のある部分はあえて剛性を落とすことで追従性を向上させる」という独自の理論を展開しました。
辰己英治さんが手がけた4代目「レガシィ」ベースの「S402」や、3代目「WRX STI」ベースの「S206」で強くてしなやかな乗り味を表現し、当時の欧州のプレムアムカーに近づいたと評価されます
その後もSTIは「Sシリーズ」以外に「R205」や「tS」などの限定車もリリースしました。販売面では必ずしも好結果を残したものばかりではありませんが、「STI限定車にハズレなし」のイメージが浸透し、その高い評価を不動のものとしたのです。そこから「S207」の即日完売などの新たな伝説が始まったのです。
■熱狂的なスバルファンはスペックがわからない段階で予約する
STI限定車の多くは、基本的には一台ずつ現車合わせで架装パーツを装着するなど、大量生産ラインではできない、細部まで手の込んだセッティングが施されていることが大きな魅力です。
特に「Sシリーズ」では最高出力など性能アップが図られながら、ノーマル車と変わらない耐久性が確保された上にメーカー保証も付くなど、一般的なチューニングカーとは一線を画す品質と安心感が得られることも人気の秘訣になりました。
「S208」や「RA-R」では、前作の「S207」で実施した内容(クランクシャフト、コンロッド、ピストンのバランス取り調整)に加え、フライホイールとクラッチカバーのバランス取りも実施しています。
カタログスペック的には、旧モデルと比較してわずか1馬力の向上に過ぎませんが、真の狙いはピークパワーの向上ではなく、エンジンの回転フィールと耐久性のさらなる向上にありました。
これにより、ベース車はおろか、前作「S207」とも別物と思えるほど痛快なフィーリングが得られるモデルに仕上がりました。
「STIの限定車はハズレなし」のイメージ効果は凄まじく、2010年頃からは、スペックなどの詳細がわからない段階でも注文するという熱心なファンが、筆者(マリオ高野)の推測では全国に100名ほど育ちました。
STI限定車はどれもリセールバリューが高いこともあって、旧STI限定車から乗り換えがしやすいのも人気のひとつでしょう。
「S207」以降のモデルは、即時完売だったり抽選になったりするので、まずは発売されるとわかった時点で予約をして、実際に買える権利を得たのちに、購入費用の捻出にかかるという人も少なくありません。
あまりにもリセールが強いので、たとえ無理をして買っても大きなリスクにならないことも後押しになります。
中古車でも新車時の定価以上の相場になるほどですから、個人はともかく、一部の販売業者がそれを見越して入手することもあったようです。中古車が高騰し続けているのは、海外の業者が買い付けていることが理由のひとつになっているともいわれています。
■最新の「S209」は北米のみの販売 STIの認知度アップを狙う
2019年1月に開催されたデトロイトショーで発表された最新作の「S209」は、「S208」の正当な後継モデルというのに北米専売ということで、物議を醸しました。もちろん、日本のスバルファンからは「日本でも販売してほしい!」との声が噴出しました。
341馬力というスバル車史上最強スペックと、ド派手なオーバーフェンダーによるワイドボディなど、内容、見た目ともにこれまでの「Sシリーズ」とは一線を画す迫力であり、最近のSTIコンプリートカーにはなかった領域まで踏み込んでいます。
また、スバルブランドは北米市場で大人気ですが、実は「STI」の名はコアなスビー(北米の熱狂的なスバルファン)以外にはあまり浸透しておらず、インパクトの強い「S209」を投入することで北米市場において「STI」のイメージを高める狙いもあるのです。
振り返れば、1998年に2日間で完売した「22B」は「WRC 3連覇記念」、2015年に1日で完売した「S207」はニュルブルクリンク24時間耐久レースのクラス優勝記念車だったなど、30年に及ぶSTIの限定車の中でも、特に注目されるのはモータースポーツでの栄光と関連が深いモデルでした。
やはり、STI限定車の人気は「戦う姿勢」と「戦いに勝つ」ことにあり、魅力の源泉はモータースポーツ活動にあるといえます。
STIは現在もニュルブルクリンク24時間耐久レースや国内トップカテゴリーのスーパーGTに参戦し続けていますが、このファイティングスピリットを絶やすことなく続ければ、STI限定車の人気はますます高まっていくに違いありません。
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