高級ミニバン フルモデルチェンジ!
執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】箱型からマッチョ体型に! 新型「アルファード」細部まで見る【ヴェルファイアも】 全124枚
トヨタが、LLクラス・ミニバンのアルファード/ヴェルファイアをフルモデルチェンジした。
アルファードは、ミニバンブームの2002年に高級志向のユーザーに向けた「トヨタの最高級ミニバン」として誕生。2008年には2代目に進化し、より個性を求めるユーザーのニーズに応えるべく「ちょい悪弟」のヴェルファイアが加わった。
今回の新型で、アルファードは4代目、ヴェルファイアは3代目となる。
まだまだ世界的にSUVブームは続いており、日本でも軽から高級車まで、人気の中心はSUVといっても過言ではない。それでも日本ではSUVに対抗するボディタイプとして、ミニバンが健闘していることは否めない。
とくに、LLクラスと呼ばれるミニバンは、企業のVIPや政治家、相撲力士をはじめとするスポーツマンなどからサルーンに代わるクルマとして愛用者が増えている。その始まりは、トヨタの会長となった豊田章男氏らしいのだが……。
SUVに押されているとはいえ、ホンダはオデッセイを今秋には復活させるし、レクサスも最高級ミニバンのLMを日本に初導入する。そして、アルヴェルのライバルである日産エルグランドも全面刷新の噂が流れている。
このように高級ミニバンが再注目されている状況だが、トヨタは「新型は大型高級サルーン」を目指すという。
サイズ判明 筋肉質なスタイリングに
新型アルファードのボディサイズは、全長4995×全幅1850×全高1935mm、ホイールベースは3000mm。
従来型より全長こそ長くなっているものの、一般的な機械式駐車場の制限サイズ(全長5000×全幅1850mm以下)に収まる外寸を維持して、それ以外はホイールベースも含めて変わっていない。
全体的なカタマリ感を意識し、あたかも“闘牛が躍動している”ようなデザインに取り組んだという。
フロントには突進するような力強さを生み出すべく、エンブレム部分が最先端になる逆傾斜の形状とし、ボディサイドは、地面を蹴り出す力強さを感じられるようダイナミックに凹凸を持たせている。
ミニバンというと車体側面が平面の「箱型」と思われがちだが、そうならないように抑揚を持たせているが、これは従来型に比べて倍以上の凹凸が与えられているという。
また、従来型では、アルヴェルの兄弟の顔つきはヘッドランプからグリル、バンパーに至るまで差別化が図られていたが、新型では遠目に見ると違いが分かりにくい。
それでも近くで見比べてみると、横桟基調のグリル、ヘッドランプ、バンパースポイラーの形状などは意匠が変更されている。
内装 2列目・3列目シートの進化は?
インテリアでは、コクピットに座ると12.3インチのカラーTFTメーターと、センターダッシュの14インチのHDディスプレイオーディオが目をひく。
ドライビングポジションや2列目シートの構造を工夫し、3列目においてもシート脇のクオータートリムやバックドアトリムの薄型化など、0.1mm単位で検討。運転席と2列目、および3列目との距離は従来型比でそれぞれ5mm/10mm広い席間距離を確保した。
なお新型は、全グレードとも2列目に「キャプテンシート」を採用した3列7人乗り(2-2-3)となっており、2列目をベンチタイプにした3列8人乗り(2-3-3)は、まだ設定されていない。だが、レンタカーなどでの需要もあることから、将来的には設定されると想像できる。
このクルマの特等席であろうキャプテンシートの2列目は、上級グレードの「エグゼクティブラウンジ」では480mmのパワーロングスライド、オットマン&アームレストヒーター、回転格納式テーブルなど快適装備が満載。
ただ2列目がキャプテンシートだけとはいえ、シートアレンジは多彩だ。
スライド可能な3列目は左右跳ね上げ式で、薄型化してスペースアップ時のラゲッジ空間を確保。床下にも収納スペースが備わり、脱着折りたたみ式のデッキボードを外せば高さのある荷物も収納できる。
パワートレイン 「今は」3種類
パワートレインは、現在のところ3種類が用意されている。
「2.5Lガソリンエンジン+モーター」のシリーズパラレルハイブリッドはアルヴェルに共通だが、「2.5Lガソリン(182ps/24.0kg-m)」はアルファードのみ。
一方、「2.4Lターボ(279ps/43.8kg-m)」はヴェルファイアのみに搭載される(後述)。
組み合わされるトランスミッションは、ハイブリッドは電気式無段変速機、ガソリンエンジンはスーパーCVT-i、ガソリンターボはダイレクトシフトの8速ATとなっている。駆動方式は、いずれも2WD(FF)と4WD(ハイブリッドはE-Four)が設定されている。
ハイブリッド車は優れた動力性能と燃費性能の両立が図られており、システム最高出力は250psというハイパワー。
同時に従来型から燃費性能を向上させ、E-FourでWLTCモード燃費は16.5km/Lを達成している。
また、従来型ではハイブリッド車は4WD(E-Four)のみだったが、さらに燃費性能が魅力(WLTCモード燃費は17.5km/L)の2WD(FF)も新設定された。
なお、アルファードの車両重量はガソリン車が2060kg、ハイブリッド車が2160~2230kgだ(いずれもFF)。
TNGAを採用 注目の装備は?
新型アルファード/ヴェルファイアでは、プラットフォームを刷新。TNGAプラットフォーム(GA-K)をミニバン用に最適化した。
またロッカーをストレート構造とし、同時に車体底部の後方にブレースをV字型に設けることで、車両剛性を約50%アップした。
加えて構造用接着剤を、乗員の足元付近には高減衰タイプのものを、車両後方のねじれ等が生じやすい箇所には高剛性タイプのものを最適に塗布。ボディの変形を効果的に抑制し、優れた操縦安定性と乗り心地を実現した。
安全&快適装備は、トヨタの最高級ミニバンにふさわしく充実しているが、ミニバンならではの装備としては、スーパーロングオーバーヘッドコンソールがある。
これは、従来は天井の左右などに点在していた照明・各種スイッチ類、エアコン吹出し口などの機能を天井中央に集約。反対側の窓を開閉したり照明を調節できるなど、後席のどこにいても使いやすい操作性を実現した。
また、子ども・高齢者の乗降性を高めるため、スライドドア部のユニバーサルステップをトヨタとして初めて右側にも採用。
ドアの開閉に連動して地上から約220mmの位置にステップが現れ、1歩目の高さが下がる。
さらに、ムーンルーフのシェードは、空を観たい・日差しを遮りたいといったユーザーごとの希望を同時に叶えられるよう左右独立タイプを採用した。
「ヴェルファイア」だけの違い
従来型のアルヴェルは、2車種の販売に大きな差がついている。2015年からの累計では約7:3の割合だったが、2022年の台数は、アルファードの約6万台に対し、ヴェルファイアは約2000台にまで落ち込んでしまった。
そこで、新型ではヴェルファイアの差別化を図るため、デザインにとどまらず走りの面でも「運転する喜び」を感じられるような“個性”が与えられた。
その1つが、前述の2.4Lターボエンジン(279ps/43.8kg-m)だ。
高い加速応答性能と十分な駆動力を持ち、アクセルペダルの操作に対して気持ちよく加速。従来型3.5L V6に対して低速度域のトルクを増大し、加えてペダルストロークを短くしたことで、少ない操作量でも車両の重さを感じさせない力強い加速を実現する。
さらに専用のサスペンション・チューニングやボディ補強を施した。また、ラジエターサポートとサイドメンバーを繋ぐヴェルファイア専用のボディ剛性部品を追加し、走り出しから車両がしっかり動く応答性の良さを実現。
加えて、ヴェルファイア専用の「Zプレミア」グレードを設定した。黒色の「漆黒メッキ」を基調とした金属加飾により、アグレッシブでありながら、モダンで上質なデザインを採用している。
価格・PHEVについて
新型アルファード/ヴェルファイアでは、受注から納車までの期間を短縮するために、従来型に比べてグレードを簡素化している。
車両価格とグレードは、以下のとおりとなっている。
アルファードの価格
・Z(2.5Lガソリン):540万円/559万8000円(FF/4WD)
・Z(ハイブリッド):620万円/642万円(FF/E-Four)
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド):850万円/872万円(FF/E-Four)
ヴェルファイアの価格
・Zプレミア(2.4Lターボ):655万円/674万8000円(FF/4WD)
・Zプレミア(ハイブリッド):690万円/712万円(FF/E-Four)
・エグゼクティブラウンジ(ハイブリッド):870万円/892万円(FF/E-Four)
月販基準台数は、8500台/月。そのうち、アルファードが約70%、ヴェルファイアが約30%と見込んでいるが、前述のようなヴェルファイアへのテコ入れが奏功するか、注目してみたい。
なおトヨタでは今後、アルファード/ヴェルファイアにプラグインハイブリッド車(PHEV)の投入を予定しているという。
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みんなのコメント
前のモデルより、いい感じですね。
しかし、一番下のグレードで540万ですか。
トヨタさん、強気ですね。