現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ホンダが世界でEV攻勢 SUVやスポーツカーを一気に電動化! でも日本向けEV戦略が保守的な訳

ここから本文です

ホンダが世界でEV攻勢 SUVやスポーツカーを一気に電動化! でも日本向けEV戦略が保守的な訳

掲載 9
ホンダが世界でEV攻勢 SUVやスポーツカーを一気に電動化! でも日本向けEV戦略が保守的な訳

■世界とは違う? 日本の特殊な自動車事情

「ホンダは日本でこれからどのようなEVを出してくるのか。もしかしたら、あっと驚くようなコンセプトモデルがサプライズで登場するかもしれない」

【画像】未来感スゴイ!電動SUVが中国で登場!(21枚)

 多くのメディアがそんな心構えをしながら、2022年4月12日におこなわれたホンダの電動化戦略の発表を見守っていました。

 確かに、会見の後半には、メディアやホンダファンの期待通り、ふたつのスポーツモデルをグローバルで投入することが明らかにされています。

 公開された画像からは、次期型の「NSX」や「シビックタイプR」のような雰囲気を感じます。

 会見後の質疑応答で、ホンダの三部敏宏社長はこの2モデルについて「ベール(に包まれた状態で)あり歯切れが悪いと思われるかもしれませんが、商品については(今日時点では)お話できません。電動車です。日本を含めたグローバル展開として、2020年半ばまでには出したい。ホンダならではの特徴とこだわりを持って開発中です。是非期待してほしい」と述べるにとどめました。

 こうしたスポーツモデルとは別に、日本向けEVについては、2024年前半に商用軽EVを新車価格100万円台で投入。

「(販売台数が多い)NシリーズをベースにEV化することで、コストを下げます」という説明です。

 搭載するバッテリーは、元々は日産が立ち上げ、現在は中国企業傘下となったエンビジョンAESCの日本国内工場から調達する、地産地消を徹底することが明らかになりました。

 さらにパーソナル軽EVとSUVタイプのEVについては、明確な導入年を明記せず、
”随時導入”と表現しています。

 一方で、海外に目を向けると、北米市場向けには2024年に、GMのEVプラットフォーム「アルティウム」を使う、ホンダブランドでのSUV「プロローグ」に加えて、アキュラブランドでもSUVを発売。

 中国市場向けには、2027年までに、ホンダが自社開発する新型EVを一挙に10モデル販売するといいます。

 このように、2022年代の前半から中盤にかけて、ホンダの主力市場であるアメリカと中国でホンダの各種EVの積極的な発売が目立つ一方で、日本でのホンダEV投入にはコンサバな印象が否めません。

 背景にあるのは、日本市場が世界でも稀なハイブリッド大国だという点でしょう。

 直近の2021年3月の乗用車販売総数で、国産車と輸入車を合わせた全体のうち、ハイブリッド車が46.6%でガソリン車の44.6%を越えています。

 ホンダだけで見ると、ハイブリッド車が59.4%、ガソリン車が40.5%となり、ハイブリッド車の比率の高さが目立ちます(一般社団法人 日本自動車販売協会連合会 調べ)。

 また、日本国内でのホンダといえば、軽自動車のベストセラー「N-BOX」の存在が極めて大きく、2021年度の販売総数は19万1534台となり、登録車と軽自動車を合わせた国内新車全体でNo.1に輝いています。

 こうした日本特有の市場性を十分に考慮しながら、ホンダとしては日本では市場の変化を見ながら、緩やかなEVシフトを考えていることが今回の会見でわかりました。

■ホンダのEV戦略は世界から遅れをとらないのか?

 三部社長は「EV黎明期(である2020年代半ば頃まではホンダとして、国や地域別で)たくさんのEVプラットフォームが出ますが、落としどころは考えています。2030年以降はEV普及期となるので、グローバルで小型、中型、大型(という括りで統一したプラットフォーム)になります」と将来予想図を示しました。

 具体的には、中小型車向けを想定して、2026年からホンダが自社開発する「ホンダeアーキテクチャー」を採用したモデルを投入。

 さらにサイズの大きなEVは、GMアルティウムを拡充し、2027年から北米で投入するといいます。

 このクラスのモデルでは、コストと航続距離で従来のガソリン車と同等レベルを実現することを目指します。

 こうしたホンダのEV戦略を見ていると、日本のユーザーも「なんだかホンダは、日本でのEVがコンサバ過ぎない?」という印象を持つ人が少なくないでしょう。

 なぜなら、2022年は日本での「EV普及元年」と呼べるように、各メーカーが次々と新型EVを導入するからです。

 たとえば、日産「アリア」やトヨタ「bZ4X」、スバル「ソルテラ」といった国産車のほか、輸入車ではボルボ「C40 Recharge」、アウディ「Q4 e-tron」、そしてヒョンデ「アイオニック5」などが登場します。

 また、日産と三菱の共同開発の軽EVも登場することになっており、ホンダが2024年の発売を目指す軽商用EVは日産・三菱の2年遅れ、またSUV登場はさらに遅れることになります。

 海外メーカーでは、ジャガーが2025年、ボルボが2030年、そしてメルセデス・ベンツは「市場環境が整えば、2020年末にグローバルでEV(またはFCV)100%を目指す」との意向を示しています。

 ホンダはすでに「ホンダe」を国内販売していますが、開発担当者らも「欧州規制が開発での主な理由」と言い切るモデルであり、日本向けは日本のEV市場に対する様子見をするかのように販売台数は限定的です。

 ホンダは「2040年にグローバルで新車100%をEVまたはFCV」を宣言しており、また今回の会見では「2030年にグローバルで30機種を展開し、2030年の年間EV生産台数を200万台以上」とする方針を表明しています。

 はたして、日本のEV市場はこれから、いつ、どのように大きく変化していくのか、ホンダの日本向けEV戦略の行方を注視していきたいと思います。

文:くるまのニュース 桃田健史
【キャンペーン】第2・4金土日は7円/L引き!ガソリン・軽油をお得に給油!(要マイカー登録&特定情報の入力)

こんな記事も読まれています

EVの快適性と効率を向上、3in1熱管理システム「ヒーテッドチラー」発表…独Webasto
EVの快適性と効率を向上、3in1熱管理システム「ヒーテッドチラー」発表…独Webasto
レスポンス
新車20万円! ヤマハ「“新型”150ccネイキッド」に反響多数! 「この価格は魅力的」「日本でも安く売ってくれれば嬉しい」の声 インドで発表された「FZ Rave」とは?
新車20万円! ヤマハ「“新型”150ccネイキッド」に反響多数! 「この価格は魅力的」「日本でも安く売ってくれれば嬉しい」の声 インドで発表された「FZ Rave」とは?
くるまのニュース
ヤマハ発動機、高校生ロボット競技大会に公式コースを貸与…若者のものづくりを支援
ヤマハ発動機、高校生ロボット競技大会に公式コースを貸与…若者のものづくりを支援
レスポンス
鉄道とBEVトラックは理想的な組み合わせ!? MANが「モーダルコンビネーション」で新車輸送を脱炭素化!
鉄道とBEVトラックは理想的な組み合わせ!? MANが「モーダルコンビネーション」で新車輸送を脱炭素化!
ベストカーWeb
トヨタ「スライドドア“SUV”」初公開! 迫力エアロの「高性能モデル」GRMN! カクカクデザイン×画期的「リンクドア」搭載のセンチュリーSUV登場
トヨタ「スライドドア“SUV”」初公開! 迫力エアロの「高性能モデル」GRMN! カクカクデザイン×画期的「リンクドア」搭載のセンチュリーSUV登場
くるまのニュース
ジムニー乗りに激推し!! 見た目はオプカン、でもスタッドレス!! 冬でも自分好みにイケちゃう
ジムニー乗りに激推し!! 見た目はオプカン、でもスタッドレス!! 冬でも自分好みにイケちゃう
ベストカーWeb
三井ダイレクト損保、IT奨励賞を2年連続受賞…データドリブンマーケティングで業務プロセス改革
三井ダイレクト損保、IT奨励賞を2年連続受賞…データドリブンマーケティングで業務プロセス改革
レスポンス
トヨタの新しい「クラウン エステート」は642万円から! 70周年記念の特別仕様車に専用バイトーンカラーをオプション設定【新車ニュース】
トヨタの新しい「クラウン エステート」は642万円から! 70周年記念の特別仕様車に専用バイトーンカラーをオプション設定【新車ニュース】
くるくら
“南米の大国”約10年ぶりの超音速戦闘機が空を飛ぶ なぜ長期間の“空白”が生まれたのか?
“南米の大国”約10年ぶりの超音速戦闘機が空を飛ぶ なぜ長期間の“空白”が生まれたのか?
乗りものニュース
ダカールラリー2026、トーヨータイヤは世界王者チームと13連覇目指すTLCチームを支援
ダカールラリー2026、トーヨータイヤは世界王者チームと13連覇目指すTLCチームを支援
レスポンス
ブレイズの新型電動アシスト自転車「スタイル e-バイク」、名古屋市ふるさと納税の返礼品に
ブレイズの新型電動アシスト自転車「スタイル e-バイク」、名古屋市ふるさと納税の返礼品に
レスポンス
EU、日本の「軽自動車」参考に独自規格の「小型EV枠」新設へ[新聞ウォッチ]
EU、日本の「軽自動車」参考に独自規格の「小型EV枠」新設へ[新聞ウォッチ]
レスポンス
冬キャンプが激変! 極厚「Bears Rock封筒型寝袋-30℃」に注目の新色登場
冬キャンプが激変! 極厚「Bears Rock封筒型寝袋-30℃」に注目の新色登場
ベストカーWeb
レクサスの新「ちいさな“高級SUV”」発表で反響殺到! 「着実にアップデートしてる」「LBXより好き」の声も! ロングセラーモデル「UX」に寄せられた“熱視線”とは
レクサスの新「ちいさな“高級SUV”」発表で反響殺到! 「着実にアップデートしてる」「LBXより好き」の声も! ロングセラーモデル「UX」に寄せられた“熱視線”とは
くるまのニュース
【フォルクスワーゲン】ディズニー最新作「ズートピア2」にIDシリーズが出演!
【フォルクスワーゲン】ディズニー最新作「ズートピア2」にIDシリーズが出演!
Auto Prove
数々の偉業を達成したホンダ/HRCとレッドブルの提携が終了「ホンダの技術と人材が貢献できたことは大きな喜び」とHRC渡辺社長
数々の偉業を達成したホンダ/HRCとレッドブルの提携が終了「ホンダの技術と人材が貢献できたことは大きな喜び」とHRC渡辺社長
AUTOSPORT web
2025年王者ランド・ノリス、来季カーナンバー「1」を使用へ「『オレたちはナンバー4だ!』って言うのは、あんまり格好良くないからね」
2025年王者ランド・ノリス、来季カーナンバー「1」を使用へ「『オレたちはナンバー4だ!』って言うのは、あんまり格好良くないからね」
motorsport.com 日本版
東武線「寝過ごし注意の駅」が1年で最も賑わう!?  一大イベントに1万5800人が詰めかける
東武線「寝過ごし注意の駅」が1年で最も賑わう!? 一大イベントに1万5800人が詰めかける
乗りものニュース

みんなのコメント

9件
  • もうね、電動化以前の問題。
    ホンダユーザーの場合はいつも1980〜90年代を
    引き合いに出して文句ばっか。

    挙げ句の果てにはブリオみたいに
    安価で低品質な新興国モデルを売れという始末。

    日産を見て学習していないの?
    日産ユーザーはタイで作られたマーチを
    毛嫌いしているのにあなた方が新興国モデルで
    満たされる訳が無いし、それより前に廉価な
    クルマとして用意されたロゴにも文句ばかり。

    つまりあなた方が満たされるクルマは
    どのメーカーを探しても無いよ。
    文句しか言わない高齢者ユーザーばかりで
    ホンダがかわいそうだ。
  • EVに関しての消費者動向はメーカー側の都合や思惑通りにいかない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村