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実走60キロ! 1億円で落札された10台のみ別注されたメルセデス「SLRマクラーレン クラウンエディション」の中身は「722エディション」だった!

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実走60キロ! 1億円で落札された10台のみ別注されたメルセデス「SLRマクラーレン クラウンエディション」の中身は「722エディション」だった!

722エディションよりもさらに希少! 10台のみ作られたSLR

スーパーカーやプレミアムカーのビジネススタイルとして「リミテッドエディション(限定車)」が活用されるようになって久しく、それら限定車たちは一定の時を経たのちにはコレクターズカーとして珍重される事例も多いようです。世界最大級と称される自動車のお祭りとして、毎年7月に開催される「グッドウッド・フェスティバル・オブ・スピード(FoS)」。そのオフィシャルオークションとしても名門ボナムズ社が催した「Goodwood Festival of Speed」オークションの2024年版では、メルセデス・ベンツ「SLRマクラーレン」のあまり聞きなれない限定車「クラウンエディション」が出品されました。

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もうひとつの「722エディション」が存在した……?

2003年から2010年にかけて製造された現代メルセデス・ベンツ初のスーパーカー「SLRマクラーレン」とその係累は、ダイムラーと当時のF1パートナーであったマクラーレンが、高性能スポーツカーの開発、製造、生産における経験を総結集したモデル。そして、1955年に登場した伝説的なレーシングスポーツ「300SLR」へのオマージュを体現したボディが示すように、時代を先取りした技術開発が盛り込まれている。

しかし、「スーパーカー」という言葉は、SLRマクラーレンを正当に評価するものではない。その比類なき性能はともかく、SLRはメルセデス・ベンツの最高の伝統を受け継ぐラグジュアリーで精巧に設計されたグランツーリスモなのである。

ここでことさら言うまでもなく、SLRマクラーレンは今世紀初頭におけるクラス最高レベルのパフォーマンスを発揮した。スーパーチャージャーつきV8エンジンは626psを発生。0-100km/h加速はわずか3.8秒、0-200km/h加速は10.6秒、0-300km/h加速は28.8秒を標榜し、クーペ版の最高速度は334km/hといわれた。

5速オートマチック・トランスミッションは、高トルク用に最適化されたもので、「スピードシフト」システムによってさまざまなシフト特性を選択できる。

「722エディション」は150台限定モデル

そして2006年には、初の高性能バージョンとして「722エディション」が限定生産されることになった。「722」とは、スターリング・モスと彼のコ・ドライバーであったデニス・ジェンキンソンが1955年のミッレミリアで優勝したことにちなむもの。彼らの搭乗したメルセデス・ベンツ300SLRのゼッケンナンバーが、午前7時22分のスタートを意味する「722」だった。

722エディションは650psへのパワーアップ、ダンパーとエアロダイナミクスの改良など、標準車から多くのアップグレードが施されて、非常に人気が高かったものの、わずか150台しか生産されなかった。

しかし、722エディションと同じメカニズムとアップデートを共有しながら、さらにエクスクルーシブなSLRが存在した。

それが「SLRマクラーレン・クラウンエディション」だったのだ。

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知られざるSLRマクラーレンの限定車、マーケットの評価はいかに?

正直なところ、筆者は寡聞にしてこの「SLRマクラーレン クラウンエディション」の存在すら知らなかったのだが、調べてみるとバーレーンの国王陛下がアラブの王族への贈り物としてオーダーしたものとのこと。

「クラウンエディション」は10台のみの限定製作で、生産ラインから選ばれた個体をベースに、アップグレードされたエンジン、カーボンファイバー製エアロパーツ、より硬いダンパー、19インチの軽量アルミホイールなど、722エディション仕様のフルパーツでアップグレードされたとのこと。ボディカラーは、シルバーやブラックなども存在したことがわかっている。

このほどボナムズ「Goodwood Festival of Speed」オークションに出品された、ワンオーナーのSLRマクラーレンは「クラウンエディション」の9台目。SLRとしては珍しい真紅のボディに、「シルバーアロー」らしい赤/黒レザーのインテリアがマッチした1台である。

もともと中東に行くはずだったのが選に漏れたのか、それとも当初から英国に留まる予定だったのかは不明ながら、マクラーレンの専用工場をラインオフして以来、このクルマはさるスーパーカー専門ディーラーが所有する、ブランドやジャンルをまたいで収集されたプライベートコレクションの一翼を担う存在として、これまで長らく静態展示されてきたとのことである。

近年になって、英国ノーフォークのロング・ストラットン近郊に本拠を構える、クラシックカーおよび近現代スポーツカーのスペシャリスト「ストラットン・モーター・カンパニー」によって、再び路上に乗り出すためのメンテナンスを施行。オークションで落札する次期オーナーがグランドツーリングにおける目覚しいポテンシャルを発揮する準備が整った、とボナムズ社のオークション公式ウェブカタログでは高らかにアピールされていた。

走行距離はわずか60キロのみ

このカタログが作成された時点で、オドメーターに刻まれた走行距離は、わずか60kmのみ。それを証明するドキュメントとして、ストラットン・モーター・カンパニーから提供された2008年購入時のインボイスと再整備のインボイスのコピーも、車両に添付して出品されていたようだ。

そしてボナムズは20万ポンド~30万ポンド(約3724万円~5586万円)という、かなりリーズナブルとも感じられるエスティメート(推定落札価格)を設定したのだが、実際にオークションが始まってみると、ビッド(入札)がみるみる跳ね上がり、終わってみればエスティメート上限の2倍近い56万3500ポンド。すなわち日本円に換算すれば、約1億800万円で落札されることになった。

とはいえ、ここ数年のSLRマクラーレン 722エディションは、今回のハンマープライスと同等、あるいはそれ以上の価格で流通している事例が多いことと比較すれば、やはり世界的な知名度というのは、この種のハイパーカーであってもかなりの影響力を及ぼすと実感させられてしまう、オークション結果となったようだ。

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