F1には昨シーズンから、チームの予算上限を設定するファイナンシャル・レギュレーションが導入された。ただ今季はインフレや輸送コスト高騰の影響で、多くのチームが予算上限額を満たすために苦労している。
この予算上限を満たすために、チームスタッフを減給したり解雇するようなこととなれば、F1にとっての大惨事であるとレッドブルのクリスチャン・ホーナー代表は考えている。
■F1新冷戦。予算制限の上限緩和派と断固反対派……二極化するチーム間対立にF1はどう対応すべきか?
2022年シーズンのチームの予算上限額は1億4000万ドルに制定されている。しかし今年は世界的にインフレに見舞われ、さらに輸送コストも高騰しているため、この予算額を圧迫。各チームは制限金額内に支出を抑えるのに苦労している。フェラーリやマクラーレンなどは、外的要因により支出が増加したため、上限額を超えてしまう可能性が大いにあると、既に公に認めている。FIAやF1としても、この対策を講じるための検討を進めている。
ただ、全てのチームが上限額の引き上げに賛成しているわけではない。特に小規模チームは引き上げに反対し、当初の制限額を維持すべきだと主張している。
この状況を受けて一部のチームは、アップデートの計画を中止し、支出を減らそうとしているようだ。
レッドブルのホーナー代表は、この状況に特に危機感を抱いている。もし予算上限が緩和されなければ、チームとしてはスタッフのサラリーを減給するか、あるいは解雇しなければならないと語る。
「我々は全てを統治しなければいけない」
ホーナー代表はそう語った。
「私は、予算上限の不確実性の問題であり、我々が目にしているインフレの影響も受けていると思う。そして支出の要因は、パーツと人員に関するモノだ」
「自分達の手に負えない何かの打撃を与える、F1にとっての大惨事になると思う。そこには、対処しなければならない道徳的な問題もある」
「誰も、これだけのインフレを予測できなかった。FIAが、リバティ・メディアと共にそれを検証していることを私は理解している」
ホーナー代表は、現在の予算上限に関する問題は、トップチームのみならず、全チームにとって大問題になりつつあると指摘する。
「おそらく私は、この問題について最も話をしているひとりだろう。しかしこの問題に最も苦しんでいるのは、我々ではないだろう」
「メルセデスは、我々よりも多くのスタッフを雇用し、給与額も高いと思う。フェラーリもまた、コストが非常に大きなチームだ」
「中団チームのいくつかは、元々予算上限額をもっと引き下げるように要求していた。そんなチームでも、予算上限額を超えてしまうかもしれないということを聞いた。それが、現在の状況を示している」
「それは、開発に関する話ではない。開発がコスト増の最大の要因ではないんだ。輸送、エネルギー、公共費など、レースに行くためのコストが上がってしまっているんだ。青天井に上がってしまっているんだ」
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