少し大きく、軽くなった7代目
SUV台頭、一方ではクルマ離れ、そんな事情はあれど3シリーズ=BMWの主役というポジショニングは揺るがない。
BMW 3シリーズ 新旧スタイリング比較 G20とF30、並べてみよう
Dセグメントの4ドア・セダンの人気は世界的に根強いし、BMW 3シリーズはセグメントを牽引する存在でもある。
3月9日に世界一斉発売となった7代目はどんな進化を遂げているのか?
新型3シリーズの見た目は、キープコンセプトで先代とよく似ている。先代とのもっとも簡単な見分け方はキドニーグリルが分割されているか否か。新型は最近のBMWの例にもれず2個の「鼻の穴」が一体成型されているのである。
一方リアはランプユニットが以前より横長でシャープな印象で高級感を増している。
ボディの外寸は全長が先代比で+70mmで4715mm、全幅は+25mmで1825mm、ホイールベースは+40mm。ここまでは純粋な縮尺拡大に思えるのだが、前が+43mm、リアが+21mmのトレッドに関しては、攻撃的なハンドリングを感じさせてくれる。
ちなみにこのボディサイズは世紀を跨いだ5シリーズのそれとほぼ一緒。もちろんボディサイズは大きくなっても、しっかり(約55kg)軽量化されている点はイマドキらしい展開である。
新型は3つ目がウリ
「六本木のカローラ」と呼ばれたE30からE36、そこからE46へのフルモデルチェンジでは、3シリーズはガラリと意匠を変えていた。
だがシリーズ全体の変遷を思い浮かべると、代替わりを経るごとに変化の幅が少なくなっていることがわかる。スタイルは飽和に近づいている?
ともあれ、大きく進化しているのは中身の方だ。
プレスリリースの中で強調されているのは高性能3眼カメラ・システムを用いた運転支援システムであり、3シリーズ全車に標準で装備される。長距離、中距離、そして周辺監視に分けられたカメラの効能はレーンキーピングやACC(アクティブクルーズコントロール)に効いてくるはずである。
またBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタント機能も採用されており、「OK、BMW!」のような掛け声によって起動する音声認識による操作も可能になっている。
本邦導入の第1弾モデルは日本専用(!)として用意された320iが3グレード、330iがMスポーツのみという4モデルで、パワーユニットは全て2ℓ直4ターボ+8速ATをベースとしている。
今回試乗したモデルは258ps版のエンジンを搭載する330i Mスポーツである。
上質なオーラが備わった
数台用意されていた試乗車が全てMスポーツ専用のポルティマ・ブルーだったこともあり、パッと見に目新しさはない。
だがボンネット上に走る4本のプレスラインや、カンナをかけられたように面が露出するトランクリッドの端など全てのラインがシャープな印象で全体の質感を上げている。
以前ならM3のようなモデルしか持ち合わせていなかったオーラが「Mスポ」にまで波及しているような感覚だ。
ウェッジが効いた造形はインテリアにも共通しており、勢いのあるデザインの中にきれいに操作系がはめ込まれている。先代ではダッシュパネル上でちょっとした違和感を放っていたディスプレイも今回はデザインの中にしっかり溶け込んでいる。
コクピット内の白眉は1枚のLCDパネルを使用したフルデジタルメーターパネルで、左側のスピードメーターはいつも通り時計回りだが、右側のタコメーターを反時計にすることで2個のメーター間のスペースを有効活用しており、そこにナビをはじめとする情報を表示して、ドライバーの視線の移動を少なくしている。
「OK、BMW!」は要学習
室内空間はフロントが適度にタイトでスポーティな感じはこれまでと同じだが、先代3シリーズで拡大されたリアは今回さらに広くなったように感じる。
Mスポーツ専用のフロントシートはかなり厚みがありホールド性が高そうな形状だが、オプション装備の上質なヴァーネスカ・レザーが滑るため腰を固定するのが若干難しい。
エンジンを起動させつつ、走り出すよりも先に試してしまったのは「OK、BMW!」の掛け声ではじまるBMWインテリジェント・パーソナル・アシスタントだった。
このシステムは、少し前にデビューした「ハイ、メルセデス!」と似たようなものだが、こちらはオーナーが呼び名を自由に変えられるという特徴がある。
車内に想定問答集のような紙切れが用意されていたのでその通りに試してみたのだが、こちらの言葉をしっかりと聞き取れなかったりしてシステムのご機嫌を伺わなければならなかった。
まあ「学習機能付き」なので、これから賢くなっていくことに期待である。
やっぱり3は走りが肝心
Dセグ・サルーンの中でも特に3シリーズに期待してしまうのはやはり走りだ。
以前の3シリーズは国産車ならFF、4気筒と相場が決まっていたボディサイズにFRレイアウト+直6を詰め込んでアドバンテージを得ていたが、現代の3の長所はスポーティなハンドリングである。
太めのステアリングを微かに切ったところから車幅が増したフロントがググッと沈み込み、前輪でアスファルトを鷲掴みにするような水平移動がはじまる。
目隠しして「これが新型M3ですよ」と言われたら、そんなもんかと思ってしまうくらい、新型3シリーズは走りの質感も相当に高いのである。
とはいえ今回の試乗車はフルオプションに近く、アダプティブMサスペンションやMスポーツ・ディファレンシャルを備えていたわけだが、硬いボディがやけに軽く感じられたので、新型3シリーズ自体の素性が相当にスポーティであることは間違いない。
最大の進化は運転支援にアリ
近年の新型車試乗ではオートクルーズ機能のチェックが欠かせない。
BMWで言うところのACC(アクティブ・クルーズ・コントロール)である。ステアリング上のスイッチでシステムを起動させ、ダイヤルでスピードを設定すると、あとは前走車との距離を一定に保って走ってくれる。
今となっては常識ともいえる機能だが、新型3シリーズは「3つ目」のおかげでACCの走行軌道が格段に滑らかになっていて驚かされた。
最も滑らかなメルセデスやボルボですら、直線路でも右~左~右と微かに蛇行しており、コーナーではカクッ、カクッと多角形コーナリングしていた。
運転をクルマ任せにしているとはいえ、こちらはちゃんと仕事してくれるかソワソワしていたのである。
それが新型3シリーズは、ハンドリングも加速も減速もこれまでで最高レベルに上手い。運転の上手いひとは遠くを見て運転しているというが、まさに長距離のカメラが効いているのかもしれない。
日本だと大きくないですか?
クルマ単体の出来に関してはハナマルをあげたいくらいの新型BMW 3シリーズだが、買いかと言われると微妙なところだ。
これまで2代目と4代目の3シリーズを所有したことのある筆者なら、1シリーズを買うだろう。
都市部の住宅街に住んでいるひとにとってはどうにも大きいのである。特に今回は車幅が1800mmを越えてしまった点がネックだ。
もちろんパーキング・アシスタントや、直近の50mほどのルートを覚えていて、正確にバックで戻ることができるリバース・アシストという運転支援も備わっているが、そうは言っても実寸ばかりはどうにもならない。
もちろんサイズが許すのであれば、ライバルと比べても買いだと思う。とはいえ330iのエンジンにそこまで刺激を感じなかったので、「新型3シリーズ欲しい!」というひとは今回試せなかった184ps版の320iやもうじきデビューすると言われているディーゼル・モデルの評価を待ってからでも遅くないのでは?
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