シンガーソングライターだった河島英五さんのヒット曲「時代おくれ」には「目立たぬように はしゃがぬように 似合わぬことは無理をせず~~」という、深く心にしみる歌詞がある。だが、トヨタ自動車とマツダ、SUBARU(スバル)の3社の社長と技術開発部門のトップが一堂に会し、3社の「らしさ」を生かして環境性能を高めたご自慢の次世代エンジンを熱心にアピールすれば、目立たないわけもない。
きょうの各紙をみると、読売が「トヨタ、新エンジン開発へ、環境対応車競争力強化」とのタイトルで経済面のトップ記事で掲載。「エンジンとモーターを組み合わせたプラグインハイブリッド車(PHV)やハイブリッド車(HV)向けに、新たなエンジンを開発。電気自動車(EV)の販売が伸び悩むなか、強みを持つエンジンの技術に磨きをかけることで環境対応車の市場で競争力を強化する」と取り上げている。
トヨタ、スバル、マツダ首脳が揃って次世代エンジン開発を宣言「電動化時代に最適なエンジンを」その内容とは
日経も「トヨタ、HVの次の布石、PHV向けエンジン小型化、先行BYDに対抗」との見出しで「環境対応車を軸に中国勢が世界の車産業の勢力図を塗り替えつつある」としながら「EV変調でエンジンの技術開発が再び競争力を左右する可能性が出てきた」と指摘する。
また、朝日は「エンジン『脱炭素』に活路、トヨタ・マツダ・スバルEVシフト背景」として「EVだけに絞らない全方位戦略をアピールする狙いだ」と伝えている。
毎日も「次世代エンジン脱炭素追求、トヨタ・マツダ・スバル共同発表会、小型・高効率化目指す」として「EV市場の成長で進む『脱エンジン』の流れの中で、エンジンの改良を通じた地球温暖化対策をアピールする狙いがある。トヨタの佐藤恒治社長は『3社の“らしさ”を生かし、エンジンの可能性を追求していく』と話した」とも。
読売と日経、それに産経がトヨタの新エンジンに的を絞った記事に対して、朝日、毎日、東京はトヨタに偏らず、3社の「らしさ」をバランスよく取り上げている。それはともかくとして、トヨタと資本関係がある国内の自動車メーカーのうち、何故か、スズキは、自慢する次世代エンジンを持ち合わせていないのか、「時代おくれ」の歌詞ではないが一線を画して参加していなかった。
2024年5月29日付
●トヨタ新エンジン開発へ、環境対応車競争力強化、マツダ・スバルも(読売・9面)
●ライドシェア全面解禁隔たり、多い制約法制度見直し求める声 (朝日・7面)
●キャッシュレス限定バス解禁、7月にも、経営難・運転手不足で(産経・10面)
●新幹線、初の価格変動制、JR九州、日時や列車ごと (日経・13面)
●EVの現在地(下)、多様化は現実的な軌道修正 (日経・27面)
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